半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年11月25日

気になるあの街に行ってみた! Vol.2 銀座
ホコ天再開!銀座に誕生した注目のニュースポットと銀座を愛する人たちの新たな挑戦!(前編)
文・撮影/赤沢奈穂子


全文の閲覧には有料の会員登録が必要です。
登録済みの方はこちらからログインして全文をご利用ください。

 突然ですが「銀ブラ」の由来をご存じでしょうか。「銀座でブラブラする」や「銀座でブラジル珈琲を飲む」など諸説あるようですが、一般的には銀座でブラブラするという意味を使うことが多いようですね。

 この銀ブラに欠かせないものといえば、歩行者天国。今年は開始から50年という記念すべき年でしたが、残念ながらホコ天も例外なくコロナの影響を受けてしまいました。これまでは、よほどの悪天候でない限り、毎週末と祝日はほぼ休むことなく行われていたホコ天も、3月28日から長期休止せざるを得ない事態になってしまったのです。そして、歩行者天国の休止とともに銀座からは徐々に人影が消え、そこにいることすら憚られるほど無機質な街と化しました。さらに、4月からの緊急事態宣言後は、追い打ちをかけるように多くの店舗が休業。結果、もともと見通しのいい銀座のホコ天は、歩行者の天国にするまでもなくガランとした寂れた天国になってしまったのです。

 再開を果たしたのは、それから約3ヶ月後の6月13日。あいにくの雨の中、銀座にはホコ天の再開を喜び、銀ブラを楽しむ人々の姿がありました。そして、その日の正午、銀座のシンボル「和光本館」の時計塔から流れたのは、ニューノーマルへの希望と医療従事者への感謝を込めて作られた、この日だけの特別な鐘の音。戦火を免れた和光の鐘だからこそ、その音色は人々の胸にズシンと響き、どんな困難にも立ち向かっていくぞ!という強い希望をもたらしてくれたのです。


再開した歩行者天国
再開した歩行者天国

 そもそも、銀座の歩行者天国は1970年8月2日、新宿、池袋、浅草とともにスタートしました。中でも、銀座通り口から銀座8丁目までまっすぐ延びる約1キロメートルの車道を悠々と歩ける銀座の歩行者天国は、当時から別格だったのでしょう。翌1971年には、日清食品が銀座三越前で発売間もないカップヌードルの試食販売を実施。ホコ天で行うことで、外で歩きながら食べてもいい画期的なラーメンという印象を広く知らしめることに成功したのです。のちに、カップヌードルが世界規模のヒット商品となる礎は、実は銀座のホコ天で作られたものだったんですね。また、やはり銀座三越の一階に誕生したマクドナルド日本一号店でも、ホコ天で試食販売を実施。アメリカからやってきた、食べ歩きもできるハンバーガーという存在を初めて紹介したのも、やはり銀座のホコ天でした。そんな風に、流行の仕掛人たちに愛され、今も老舗百貨店やハイブランドなどが建ち並ぶ銀座のホコ天は、いつの時代も日本が誇る最強の流行発信地なのです。

 そして、ホコ天の再開に伴い再び銀座に賑わいが戻ってきた頃、さらなる呼び水となるべく大々的に誕生したのが「UNIQLO TOKYO」でした。女優の宮沢りえさんと歌舞伎俳優の市川海老蔵さんがアンバサダーをつとめ、今年6月19日に銀座3丁目にある商業ビル「マロニエゲート銀座2」(旧プランタン銀座)にオープン。売り場面積は約5,000平方メートルで、1階から4階までのフロアがユニクロという世界最大級のグローバル旗艦店として開業しました。

 オープニングセレモニーには、市川海老蔵さんも登場。オープンを華々しく盛り上げましたが、一方で、この日は「エアリズムマスク」の発売日でもあったので、マスク目当てに押し寄せた客が長蛇の列を成すなど、なんとも話題の絶えないオープニングになったのです。悔しくもコロナ禍でのオープンとなってしまった事態にあえてぶつけてきたかどうかはわかりませんが、この「エアリズムマスク」の発売は、間違いなく一日にして「UNIQLO TOKYO」の存在を世に知らしめることになったのです。


「UNIQLO TOKYO」外観
「UNIQLO TOKYO」外観

 店内のトータルクリエイティブディレクターを担当したのは佐藤可士和氏。デザインチームにはスイスの建築家ユニット「ヘルツォーク&ド・ムーロン」を迎え入れ、それまで不評だった低い天井を大胆にバッサリ取り除き、あえて打ちっぱなしのまま、開放的な地上4層の吹き抜けを出現させました。

 「UNIQLO TOKYO」のコンセプトは、「LifeWearのすべてをここに」。ユニクロがこれまで展開してきたライフウェアを、ここでは販売するだけでなく、展示品としても紹介しています。例えば、アーティストとのコラボTシャツや書籍などの展示スペースでは、アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングなどとのコラボ作品が並べられ、ちょっとしたミュージアム仕様に。また、4階には「UT(ユニクロTシャツブランド)」のアーカイブスペースを設置し、UTの全商品となる約1,000点ものTシャツを販売。欲しいTシャツのほとんどが揃うので、必然的に購買意欲も高まります。さらに、銀座ならではのサービスとして人気を集めているのが、世界にひとつだけのオリジナルTシャツが作れる「UTme!」というエリア。ここでは、銀座の老舗や人気店のロゴデザインなどを自由に使い、自分だけのオリジナルアイテムを創作できるので、Tシャツやトートバッグなどにプリントすれば、インバウンドなら真っ先に飛びつきそうなオシャレで粋な和アイテムを作ることも可能。身につけて銀ブラすれば、いつもより銀座が身近に感じられ、銀ブラがより楽しいものになるかもしれませんね。


店内は1階から4階までが吹き抜けに
店内は1階から4階まで吹き抜けに

続きを読む
「銀座2020」計画で生まれ変わった老舗「和光本館」と「セイコーミュージアム」

続きを読むには有料の会員登録が必要です。

後編(銀座復活を支えたふたつのプロジェクトと「夜の街」のママたちの奮闘)


今回訪ねた街はコチラ!

著者プロフィール

赤沢奈穂子

放送作家。
日本脚本家連盟、日本放送作家協会会員。
コピーライターから放送作家に転身後、日本テレビ「11PM」でデビュー。番組における最初で最後の女性作家に。テレビ、ラジオ、イベントなど数々の番組等に関わり、1993年渡米。NY、イスラエル、ロンドンでの約7年の居住を経て帰国。その後は、番組構成をはじめ、雑誌ライター、書籍の執筆、イベント運営など、幅広く活動している。既婚。2児の母。東郷奈穂子名義でも活躍中。

コピーライター作品「フルムーン旅行」
放送作家作品「テレビ東京/出没!アド街ック天国」ほか
近著に、萩谷慧悟ダイビングフォトブック「HORIZON」(2021)、「Azure Blue」(2022)、小西成弥フォトブック「treasure」(2022)など


連載:気になるあの街に行ってみた!


参照コンテンツ


シリーズ「移動」のマーケティング


おすすめ新着記事

消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い

調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。

消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.12.03

24年10月の「新設住宅着工戸数」は6ヶ月連続のマイナス

2024.12.02

企業活動分析 イオン株式会社 24年2月は、営業収益・営業利益ともに過去最高を更新し増収増益

2024.12.02

企業活動分析 宝ホールディングス株式会社 24年3月期は、バイオ事業不調により減収減益

2024.12.02

企業活動分析 TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)  23年12月期は減収減益、事業構造の転換へ

2024.11.29

月例消費レポート 2024年11月号 消費は一旦足踏み状態となっている-政策転換を消費回復への新たな起爆剤に

2024.11.29

24年10月の「ファミリーレストラン売上高」は32ヶ月連続プラス

2024.11.29

24年10月の「ファーストフード売上高」は44ヶ月連続のプラスに

2024.11.28

消費者調査データ No.417 シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い

2024.11.28

消費からみた景気指標 24年9月は6項目が改善

2024.11.27

24年9月の「全国百貨店売上高」は32ヶ月ぶりのマイナス、残暑で季節商品が苦戦

2024.11.27

24年9月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月連続のプラスに

2024.11.27

24年10月の「コンビニエンスストア売上高」は11ヶ月連続のプラスに

2024.11.26

24年9月の「広告売上高」は、5ヶ月連続のプラス

2024.11.25

企業活動分析 LIXILの24年3月期は海外の需要減の影響で減益へ

2024.11.25

企業活動分析 東京ガスの24年3月期は大幅な減収減益

 

2024.11.22

MNEXT 世を騒がす「雪崩」現象の正体―兵庫県知事選の分析

2024.11.22

MNEXT 「消費社会白書」で分析するアメリカ大統領選の接戦予想のはずれ

2024.11.22

MNEXT やはり起こった「雪崩」現象―「岩盤保守の正体」

2024.11.21

24年9月の「商業動態統計調査」は6ヶ月連続のプラス

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.11.22

MNEXT 世を騒がす「雪崩」現象の正体―兵庫県知事選の分析

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area