眼のつけどころ

20年後の東京をどうするか?―新しい消費文化の形成

2017.05.30 代表取締役社長 松田久一

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 20年後の日本経済はどうなるか。否、どうするかである。

 その鍵を握るのは、中央政府や地方政府ではなく、2017-2020年までの民間企業と消費者である。

 地域的にみれば、東京以外の地方は「渡り鳥」産業の二次産業依存を脱却し、人口減少を逆手にとって、農業の「超産業化」によって、五つほどの自立経済圏として復活すればよい(「眼のつけどころ 20年後の地方をどうするか?-超産業としての農業」参照)。行政区分の再分割によって、多くの公務員が削減でき、およそ300万人の公務員が労働力市場に放出されるはずである。これは、当面の人口減少を補ってあまりある労働力だ。その分、地方税などの税金は削減され、消費者の可処分所得は増加し、消費にまわることになる。

 もう一方で、日本のGDPの3分の1を超え、成長のエンジンとなるのは東京を中心とする一都三県の首都圏である。この経済圏が日本経済の成長の源泉であり、東京の成長と豊かさが、地方との交易によって経済の成長を牽引する必要がある。地方の農産物を世界に輸出するよりも東京に移出した方が、はるかに収益性が高い。

 日本経済の課題は、東京と地方をできるだけ違う文化、つまり、人々の暮らしぶりにし、移出入を行える「生産要素比率」、例えば「資本・労働比率」などの条件を変えることである。そして、東京を日本あるいは世界の経済成長の牽引車として育成することである。

 さて、どんな戦略をとればよいか。

 東京の他国や他都市にはない強みから分析してみる。