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公開日:2026年06月26日

月例消費レポート 2023年6月号
消費は足踏み状態が続いている-続く値上げの悪影響を乗り切れば夏の消費回復に期待が持てる
主任研究員 菅野 守

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 足許で支出全般の伸びはマイナスが続き、費目別でも悪化の領域が目立ちつつある。

 日常生活財で改善が続いてはいるが、耐久財ではほぼ総じて低迷しており、消費は足踏み状態が続いている。

 雇用環境は改善の動きがみられ、収入環境は底堅さを保っているが、マインドは方向感が定まらない。

 値上げの悪影響は家事・家具用品や食料などで根強く残る中で、消費者物価では伸びが再上昇する気配もうかがわれる。

 2023年6月に入ってからも続く円安の加速に歯止めがかからない限り、更なる値上げの可能性は高く、ようやく見え始めてきた消費回復の動きにも水を差しかねない。

 五月雨式に続きそうな値上げの悪影響を乗り切れるかが今後の消費の鍵となり、それを乗り越えれば夏の消費の盛り上がりに消費回復への期待がもてるだろう。

 JMR消費INDEXは2023年4月に53.3へと、3ヶ月連続で低下している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、4月は、支出関連3指標全てが悪化している。販売関連では、改善が10指標中7指標となり、前月と変わりはない(図表2)。

 消費支出の伸びは、名目と実質ともに2ヶ月連続でマイナスとなっている(図表4)。

 10大費目別では、4月は名目ではプラスとマイナスが5費目ずつと拮抗しており、実質ではマイナスが6費目となりマイナスの側がわずかに優勢である(図表5)。

 家具・家事用品と食料の2費目は引き続き名目でプラス・実質でマイナスとなっており、名目と実質の伸びの差も顕著なことから、依然として値上げの悪影響を被り続けている(図表5)。

 物価の動きに着目すると、輸入物価の伸びは2022年9月以降、一貫して低下が続いている。国内企業物価の伸びも2022年12月以降低下が続いている。だが他方で、消費者物価の伸びは2023年4月に、わずかながらも再び上昇している(図表6)。

 財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、サービスでは2022年8月以降、物価の伸びは上昇を続けている。財では2023年4月に、再び上昇の動きをみせている(図表7)。

 販売現場では、小売業全体の売上は息長くプラスが続いている。チャネル別では2023年4月も、家電大型専門店を除く5業態でプラスとなっている(図表11図表12)。

 外食売上は、全体で17ヶ月連続のプラスであり、業態別でも3業態全てで14ヶ月連続のプラスである(図表20)。

 新車販売は、2023年5月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに5ヶ月連続のプラスである(図表13)。

 他方、家電製品出荷については、黒物家電と情報家電は総じてマイナスである。白物家電も、洗濯乾燥機を除き概ねマイナスである(図表14図表15図表16)。

 新設住宅着工戸数は、全体では2023年2月以降、3ヶ月連続のマイナスである。利用関係別では、持家、分譲住宅・マンション、分譲住宅・一戸建ての全てでマイナスとなっている(図表17)。

 3大都市圏別にみても、持家と分譲住宅・マンションのいずれも、全ての地域でマイナスとなっている(図表19)。

 雇用環境について、有効求人倍率は4月に横ばいとなっており、失業率は3ヶ月ぶりに低下するなど、改善の動きがみられる(図表8)。

 収入は、現金給与総額と所定内給与額は16ヶ月連続のプラスであるが、超過給与額はわずかながらマイナスに転じている(図表9)。

 消費マインドについて、消費者態度指数は上昇を続けているが、景気ウォッチャー現状判断DIは2023年5月に低下に転じている(図表10)。

 総合すると、消費は足踏み状態が続いている。

 消費支出など支出全般の伸びはマイナスが続いている。10大費目別では、名目でもプラスとマイナスが拮抗する状態まで押し戻されている。

 小売販売や外食などの日常生活財では改善が続いているが、耐久財では唯一好調な新車販売を除くと総じて低迷している。

 雇用環境では改善の動きがみられ、収入環境は底堅さを保っている。ただし、マインドについては、方向感が定まらない状況にある。

 値上げの悪影響は、家事・家具用品や食料を中心に根強く残っている。加えて、消費者物価では、伸びが再上昇する気配もうかがわれる。

 今後公表される消費関連指標の2023年5月の数値は、旅行・レジャー関連を中心に消費の持ち直しが期待できそうだが、続く2023年6月の数値に関しては、5月ほどの好材料は期待薄とみたほうがよいであろう。

 円ドル為替レートの円安傾向は2023年6月に入ってからも続いており、6月13日以降は再び終値で140円台に乗せている。円安の加速に歯止めがかからない限り、更なる値上げの可能性は高そうである。そうなると、ようやく見え始めてきた消費回復の動きにも水を差しかねない。

 五月雨式に続きそうな気配がある値上げの悪影響を乗り切れるかが、今後の消費の鍵となりそうである。それを乗り越えられれば、来る夏の消費の盛り上がりに消費回復への期待がもてるだろう。


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特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

特集1.値上げの価格戦略

特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?


   

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