アフターコロナの本格マーケティング
2023年の消費を捉える10のポイント

2022.10.13 代表取締役社長 松田久一

 ネクスト戦略ワークショップの開催に先立ち、当社代表取締役社長 松田久一が「消費社会白書2023」のポイントを紹介しています。

01

分断社会への展望と収入階層化

 日本の将来について悲観的な予想が拡散しています。

 そのなかでも、日本が「分断社会」に進んでいるという認識が高くなっています。その背景には、産業や企業によって異なる収益性格差がコロナ禍により拍車がかかり、個人収入に反映され、格差が拡大していることがあります。これは、成長経済の中流社会に慣れ親しんできた中高年には悲観的な見通しとして映っています。


02

20年世代交代と感情保守

 収入階層化と並んで社会を変えているのが、世代交代です。少子化のZ世代が注目されていますが、この変化は20年単位で変わる緩慢としたものです。寧ろ、高齢化によって、成長世代、X世代、Y世代の影響が大きくなっています。

 特に、現在の価値意識を支配しているのは、実態を先取りした階層社会意識が、「失われたもの」を守りたいという「感情保守」の意識です。


03

値上げ下のデフレマインド

 コロナ禍の終息によって、反動として消費のV字回復が期待されていました。しかし、長引くコロナ禍によって、堅実消費が定着しました。さらに、今年に入っての消費財の値上げラッシュは、インフレへの警戒感をもたらしましたが、消費よりも貯蓄というデフレマインドに繋がり消費の下押し圧力となっています。


04

都市ミドルとシニアがリードする消費

 消費の回復が緩慢ななかで、消費をリードしているのは、収入の高い都市ミドル層と資産を持つシニア層です。このふたつの層が消費リーダーとなりフォロワーが追随しています。このふたつのリード層には30-40代女性が含まれ消費を牽引していますが、Z世代は含まれていません。


05

マウンティング消費

 メジャーな消費意識は堅実ですが、トレンドは、上層階層の下層階層への「見せびらかし」であり、「マウンティング消費」です。現在の消費の典型は、電気圧力鍋、低温調理機、スチーム掃除機、ロボット掃除機などの「シン家電」であり、都市居住女性で話題となった「アフターヌーンティー」です。そして、有名なインポートブランドのショップでは行列ができています。品不足もありますが、「みせびらかし」消費への志向とも言えます。現代の「有閑階級」が行う「衒示的消費」です。


06

加工内食の浸透と効率化

 コロナ禍で、外食、中食から内食への転換が起こりました。いずれ、中食、外食への戻りがあると思われましたが、寧ろ、内食比率は上昇傾向にあります。それは、感情保守の高まりと関わりを持ち、食を充実させたいというニーズに繋がっています。

 この結果、手作りよりも加工食を活用した「加工内食」という食事が20%ほどのシェアを占める分類として捉えられるようになりました。

 さらに、収入格差や調理スキルの多様化からメニューを手作りする機会コストの差が生まれ、食コストの効率化がはかられています。


07

家事のイノベーション

 宅内時間の増加や家事分担意識の変化から家事を苦痛ではなく「エンタティメント」として捉える意識が生まれています。この意識に結びついているのが、ロボット掃除機などにみられるような「新家電」です。家電は、手間から解放される道具でしたが、より積極的に楽しむツール意識を生んでいます。


08

インナーレジャー

 海外旅行などの旅行を楽しむことが、現代人のもっとも強いレジャーでした。しかし、もっとも高いことに変わりはありませんが、宅内でテレビや動画配信によるドラマなどのイッキ見やゲームなど、楽しむ「インナーレジャー」への期待も高まっています。円安で海外旅行が割高になった現在では、宅内やこころを癒すなどの「インナー空間」の充実ニーズが強まっています。


09

感情で選ぶブランド

 収入格差は有名ブランド離れを起こしていますが、商品サービスをブランドで選ぶ志向は高くなっています。この背景には、ブランドの持つ商品選択負担を軽減するなどの効用があります。ロングテール化する商品を選ぶ際に、ブランドを感情で選べばもっとも効率的に商品選択でき満足できます。

 ブランドは、認知、記憶、試用、使用などのように、段階的に購買されるのではなく、消費者が認知資産により好き嫌い感情を利用して選択していることがわかりました。どうやって自社ブランドを好きになって頂くかが最大の課題ということもわかりました。


10

ロープライスチャネルと創造価値チャネル

 収入格差の拡大でもっともインパクトを与えるのは、個店チャネル選択です。収入400万円以下の低収入層は、インフレが近づくなかで、価格志向で買う場所を再選択しています。その結果、これまでの立地、品揃えや価格を基軸にした業態やネットでは対応できない「ロープライスチャネル」への形成期待が高まっています。

 他方で、買い物に楽しさなどの価値を求める層は、効率化や低価格ではなく、「創造的買い物」を求めています。このことから今後の消費財チャネルは、合理的な買い物に対応した効率化と、より楽しさを提供する価値化の軸で再編されていくと予想されます。


「消費社会白書2023」発表会 ネクスト戦略ワークショップ
感情社会の生活イノベーション―マーケティングが歴史をつくる
【オンライン開催】2022年11月10日(木)10:00~12:00

経済優先、欲望消費、中流社会という「戦後の基本枠組み」の崩壊と破壊。

明治維新、戦後改革につづく、青写真なき現代。

先はみえませんが暮らしはつづき、生活イノベーションが進んでいます。

どのように時代を読んで、反転攻勢のターンオーバーマーケティングをしかけ、

生きがいのある時代をつくるか。

――――時代をつくるマーケティングとは。


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