花王の現在の戦略は...
パフォーマンス戦略からの脱却
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花王の2022年12月期連結決算は売上高1兆5,511億円(前年同期比9.3%増)、営業利益1,101億円(同%23.3減)と増収減益だった。未曽有の原材料価格高騰に加え、中国・欧米の景気減速。さらには日本の生活防衛意識の高まり等、環境変化のインパクトとスピードに十分な対応ができず、営業利益が計画と大きく乖離する結果となった。トイレタリー事業においては、デジタル化の推進やメリハリ投資を通じてロイヤリティ向上、シェアアップを目指し、ファブリックケアやUVケア製品は新製品を中心にシェアを拡大したが、ベビー用紙おむつ、ヘアケアは事業変革中のため回復が遅れた。原材料価格高騰により利益は-460億円となった。化粧品事業は、日本は想定を下回るも緩やかに市場は回復し、売上はG11*の2桁伸長が牽引し前年を上回った。中国は都市封鎖等により市場が減速し、売上は前年を下回った。欧州はインフレによって下期にかけて消費が冷え込み、売上はほぼ横ばい。グローバル計では微増にとどまるも、G11は売上は対前年+5%、営業利益は+66億円となった。ケミカル事業では、海外の油脂製品を中心とした原料価格高騰に対する価格改定の貢献が大きく、売上は前年を上回ったが、市況の変動による在庫の評価損の影響もあり、利益は前年並みとなった。2023年度は、花王グループ中期経営計画「K25」(2021~2025年)の3年目となり、依然として不透明で厳しい経営環境が続くことが予想される中、「市況に依存しない強い事業体質に変える」、「戦略事業の強化とグローバル拡大」、「変化を先取りする急進事業を実益化する」という3つの方針に基づいた戦略を実行していく。それに加え、DXを駆使しあらゆる分野の改革を進めるとともに、投資効率を最大化するため事業別ROICを導入して事業ポートフォリオ改革を進め、EVA経営の進化を図る。
* G11:グローバルで展開する11ブランド。2018年5月、5つの事業体、49のブランドからG11とR8(国内中心に展開する8ブランド゙)に絞り込む
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