花王の2020年12月期連結決算は売上高1兆3,820億円(前年同期比8.0%減)、営業利益1,756億円(同17.1%減)と減収減益、新型コロナ感染症拡大により事業に大きな影響が出た。衛生意識の高まりにより、ハンドソープ、手指消毒液、ホームケア製品全般で需要が高まり、日本を中心に売上・利益とも伸長。一方で、化粧品事業では、日本でインバウンド需要が消滅、外出自粛の影響もあり市場が大幅に縮小し、売上・利益ともに大きく減少した。同様に海外でも中国を除く世界中での大規模なロックダウンの影響から、前期を下回る結果となった。2020年12月には、2030年までにあるべき姿(K30)として、「グローバルで存在価値のある企業」を目指すことを発表。その実現に向けて2021年からは花王グループ中期経営計画「K25」(2021~2025年)をスタートさせた。過渡期にある現在に対応した新しいビジネスモデルの構築が必要と考え、コンシューマープロダクツ事業の事業体制を再編。日々の暮らしと社会を支え、快適な生活の向上に貢献する「ハイジーン&リビングケア事業」、健康美を最大化する身体全体のケアを提案する「ヘルス&ビューティケア事業」、人類の声明を守る新規事業を推進する「ライフケア事業」を新設、化粧品事業についても新しい運営体制に移行した。2021年度は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進、さらなる意思決定のスピードアップとグローバルな成長を加速させるべく、「K25」を支える事業基盤を構築することに注力する。
企業活動分析レポートのダウンロードには有料の会員登録が必要です。
レポートでは企業の戦略や活動を当社独自のフレームに沿って時系列で整理しています。競合比較や業界分析などに幅広くご活用いただけます。
分析レポートのダウンロード
- バックナンバー

企業活動分析に関する基調論文
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- 戦略ケース 快進撃続くTHREE―「ブルーオーシャンターゲティング」で第3の価値創造(2019年)
- 戦略ケース アルビオンはいかにして"500億円の壁"を突破したか(2019年)
- 戦略ケース 高成長を長期維持する業務用ヘアケアNo.1「ミルボン」 ブレない基本戦略と強みを磨き続ける競争優位(2018年)
- 戦略ケース 急成長を続ける化粧品ブランド「THREE」 差別化と脱しがらみで日本発の世界ブランドへ(2018年)
- 戦略ケース 花王CMK 郊外型ドラッグの発注見直し(2008年)
- 戦略ケース 変容するトクホ市場 ~第二の成長ステージへ(2008年)
- 戦略ケース 「花王」 × 「P&G」 取引条件透明化で値下げ圧力克服(2007年)
- 戦略ケース 花王株式会社 カネボウ買収の可能性と落とし穴(2005年)
- 戦略ケース 花王、国内では無名のブランドに340億の真意(2005年)
- 戦略ケース 健康エコナ参入!マヨネーズ戦争のゆくえ(2002年)
- 戦略ケース 花王株式会社-情報による売場活性化戦略(1987年)
- 消費者調査データ 日焼け止め(2021年6月版) 逆風下でも強い「ビオレUV」、リピート意向は「スキンアクア」
- 消費者調査データ シャンプー(2020年11月版) 「ラックス」「パンテーン」「メリット」、盤石の定番ブランドを追うのは?
- 消費者調査データ 洗顔料(2020年3月版) トップを走る「ビオレ」、ロイヤリティの高い男性用洗顔料
- 消費者調査データ 入浴剤(2020年3月版) 安定の「バブ」「バスクリン」、リピート意向の高い高付加価値製品
- 消費者調査データ 衣料用洗剤(2019年11月版) 発売後半年、「アタックZERO」が6項目で首位獲得
- 成長市場を探せ ペーパータオル(2021年版)
競合他社の業績と比較分析する
おすすめ新着記事

2022年、値上げの春をどう乗り切るか
原材料高、原油価格高騰に端を発する値上げは様々な商品分野に波及し、コロナ禍で持ち直しつつあった消費マインドも再悪化が懸念されている。メーカーにとっても、値上げの巧拙が業績を左右する重要な局面だ。消費者ニーズを捉えて付加価値を高め、値上げ後も選択してもらえるような価格戦略・ブランドづくりが必要になってくるだろう。この値上げラッシュを乗り切り、物価上昇・消費低迷の市場環境下でも成長につなげるためのヒントを、当社が蓄積したケース・理論から紹介する。

強い「ハーゲンダッツ」、ファンつかむPB
家計調査によると、2021年の冷菓の支出金額は2年連続で1万円を超え、食糧費に占める割合も2年連続で過去最高となった。調査結果を見ると、店頭接触や購入経験など複数の項目で「ハーゲンダッツ」が首位に。特に3ヶ月以内購入では2位の「チョコモナカジャンボ」に9.7ポイント、今後の購入意向でも同じく「チョコモナカジャンボ」に9.3ポイントの差をつけた。

人種のるつぼ「川口市」 "本当に住みやすい街"は流通戦略の新たなモデルケース
テレワークの定着で職住分離が進み、生活者のライフスタイルが変化。それに伴い、人気のエリアも変わってきている。なかでも注目の街が、東京都北区に隣接する埼玉県川口市だ。川口市は、2021年度の税収が当初見込みより34億円上回る943億円になることを発表。コロナ禍で税収が落ち込む自治体が多いなか、バブル期以来の増額補正となった。買い物面では、都市型店舗と郊外型店舗が同居する"買住近接"エリアだ。居住者も多様で、ファミリーからシニア、日本人と外国人など、様々なライフスタイルが共存。多様性の街「川口市」には、今後の流通戦略のヒントを見出すことができる。



