半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2019年11月01日

快進撃続くTHREE
―「ブルーオーシャンターゲティング」で第3の価値創造
ビジネス・ディベロップメント・マネジャー 舩木龍三



 ポーラ・オルビスグループの育成ブランド「THREE」の快進撃が止まらない。売上高は100億円を突破し、営業利益率も10%と収益性を向上させた。成功の要因は、競合が入り込めない、「ブルーオーシャンターゲティング」の発見にある。


図表1.THREEの売上高推移と取り組み
図表


「ブルーオーシャンターゲティング」

「THREE」は、効果効能期待とオーガニックコスメ期待の双方のニーズをもつ消費者にターゲティングしたと解釈できる。この相反する「ふたつの価値」を交差させて、今までにない「第3の価値」を創造した。

 効能効果期待層は、資生堂をはじめとする大手ケミカルコスメメーカーがつくる化粧品に関心が高い。オーガニックコスメにも関心があるものの、商品の性格上、効能効果は期待できないため使わない人が多い。

 一方、オーガニックコスメ期待層は、ケミカルコスメは効果効能が期待できるものの安全性に不安を感じている。

 THREEは、このふたつのニーズが交差する部分にユーザーがいることを発見し、ターゲティングしたと考えられる。このターゲットは、ケミカルコスメメーカーもオーガニックコスメメーカーも参入できないのである。


図表2.相反する価値を交差させて「第3の価値」創造
図表


 「THREE」のホームページには、以下のようなコンセプトが掲げられている。

〔 3 〕は創造を意味する数字
この世界が「陰」と「陽」で成り立っているように、
相反するもの同士の間に生まれる未知なる存在、新たなる本質。
たとえば、自然とテクノロジー。
不変の条理と、移りゆくモード。
分散した個性と、ゆらぎなき均整。
かけ離れた価値と価値を掛け合わせ、
想像を超える第3の価値が一人一人の中に存在しはじめること。
やがてまだ知らない自分らしさへ繋がるもの。
それがTHREEという創造性。(「THREE」ホームページより)


独自のマーケティングモデル

 こうしたターゲットに対して、独自のマーケティングモデルを生み出した。

 ひとつは、常に半歩先を行く提案。例えば、オーガニック・精油・日本発というもの。オーガニックコスメは海外由来原料の場合が多いのだが、日本発という独自の発想を加えている。また、化粧品という枠を超え、ライフスタイルブランドとして独自性を発揮している。

 ふたつ目は、次の出店につながるブランド発信地づくり。ファッション感度の高い人が多い青山に「THREE AOYAMA」というフラッグシップショップを出店。カフェやスパとも連動し話題をつくり、出店要請が来るような仕組みとなっている。

 三つ目は、単純には作れないシンプルなパッケージだ。エフォートレス(無理のない自然な感じ)でスリーク(なめらかでつやのある)。これまでの化粧品にはないパッケージで、差別化している。

 四つ目は、ファッション業界にアプローチしていることだ。これまで何度もファッション業界とコラボレーションしている。昨年は「THREE AOYAMA」5周年を記念して、「自由な発想で丁寧なものづくり」を信条とするAetaとともに、機能性と美しさ、心地よさを備えたコラボレーションポーチを発売した。

 五つ目は、顧客のいるところに、チャネルを配置すること(セミセルフ、直営店)。百貨店のしがらみに捉われない出店は、あくまで顧客優先のチャネル展開だったのである。

 「THREE」を運営する株式会社アクロの石橋寧現会長の言葉を振り返る。

「当社のブランドは100%自然由来ではなく、それを最良とも考えていない。天然由来率は99%が最高値で、自然の力と科学の力、互いの良い点を最大限に活かし、化粧品としての機能を十分に発揮することが重要と考えている。都会的で洗練されたスタイリッシュさが失われぬよう、内容物だけでなく、外箱や容器などの細部にも強いこだわりを持ち、ブランディングを行ってきたい」(「週刊粧業」2014年6月2日号より)

 まさに、自然と科学を融合させて、ターゲットに対して「THREE」独自の価値を生み出しているのである。この価値は、どのメーカーにも創れない。

 10年連続持続成長を遂げてきた「THREE」の成功要因は、どの化粧品メーカーもターゲティングできない、「ブルーオーシャンターゲティング」を発見したことに尽きる。そして、そのセグメントに対し、素直にマーケティングを展開したことだ。ライフスタイルブランド化や直営フラッグシップの出店、ファッション業界とのコラボレーション、チャネル展開をみればわかる。

 「世界で通じる日本発ブランドを」が夢の「THREE」は海外展開が進んでいる。タイ、台湾、インドネシア、マレーシア、 香港、韓国、シンガポールの7ヶ国に進出し、店舗数は55店になった。この1年で19店舗増えている。海外売上比率は20%に達している。今後も世界で通用するブランドとなるため、海外展開をさらに加速させていくだろう。



特集:中堅企業の成長戦略


参照コンテンツ


業界の業績と戦略を比較分析する


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2026.01.16

成長市場を探せ 8年連続プラスのスナック菓子、インバウンドも貢献(2026年)

2026.01.15

25年11月の「現金給与総額」は47ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2026.01.14

25年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばいに

2026.01.13

企業活動分析 ウエルシアの25年2月期は、調剤堅調も人材投資などの人件費増加で増収減益に

2026.01.09

消費者調査データ シャンプー(2026年1月版) 首位は「パンテーン」、迫る「ラックス」、再購入意向には高機能ブランド並ぶ

2026.01.08

25年12月の「乗用車販売台数」は6ヶ月連続のマイナス

2026.01.07

25年11月の「新設住宅着工戸数」は再びマイナスに

2026.01.06

企業活動分析 任天堂の25年3月期は、Switch末期で減収減益も、6月発売のSwitch2発売好調で反転の布石に

2025.12.26

消費者調査データ レトルトカレー(2025年12月版) 首位「咖喱屋カレー」、再購入意向上位はソースタイプやPBが

2025.12.26

25年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で9ヶ月連続のプラス

2025.12.26

25年11月の「全国百貨店売上高」は4ヶ月連続のプラス

2025.12.26

25年11月の「ファミリーレストラン売上高」は45ヶ月連続プラス

2025.11.28

25年11月の「ファーストフード売上高」は57ヶ月連続のプラスに

週間アクセスランキング

1位 2025.12.16

提言論文 高消費時代への戦略経営と価値マーケティング(2025年)

2位 2019.04.16

MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (1)GAFA、増税、キャッシュレスなどへの対応

3位 2019.02.04

MNEXT 眼のつけどころ 巨大融合メディアへの戦略的対応―情報チャネルの再設計の提案

4位 2022.11.29

MNEXT 2023年の消費と戦略経営~マーケティングの6つの革新~

5位 2022.01.28

MNEXT 眼のつけどころ ePOPで成熟ブランドのリブランディング― 2022年春の提案

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area