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(2019.11)
快進撃続くTHREE
―「ブルーオーシャンターゲティング」で第3の価値創造
ビジネス・ディベロップメント・マネジャー 舩木龍三





 ポーラ・オルビスグループの育成ブランド「THREE」の快進撃が止まらない。売上高は100億円を突破し、営業利益率も10%と収益性を向上させた。成功の要因は、競合が入り込めない、「ブルーオーシャンターゲティング」の発見にある。


図表1.THREEの売上高推移と取り組み



「ブルーオーシャンターゲティング」

「THREE」は、効果効能期待とオーガニックコスメ期待の双方のニーズをもつ消費者にターゲティングしたと解釈できる。この相反する「ふたつの価値」を交差させて、今までにない「第3の価値」を創造した。

 効能効果期待層は、資生堂をはじめとする大手ケミカルコスメメーカーがつくる化粧品に関心が高い。オーガニックコスメにも関心があるものの、商品の性格上、効能効果は期待できないため使わない人が多い。

 一方、オーガニックコスメ期待層は、ケミカルコスメは効果効能が期待できるものの安全性に不安を感じている。

 THREEは、このふたつのニーズが交差する部分にユーザーがいることを発見し、ターゲティングしたと考えられる。このターゲットは、ケミカルコスメメーカーもオーガニックコスメメーカーも参入できないのである。


図表2.相反する価値を交差させて「第3の価値」創造



 「THREE」のホームページには、以下のようなコンセプトが掲げられている。

〔 3 〕は創造を意味する数字
この世界が「陰」と「陽」で成り立っているように、
相反するもの同士の間に生まれる未知なる存在、新たなる本質。
たとえば、自然とテクノロジー。
不変の条理と、移りゆくモード。
分散した個性と、ゆらぎなき均整。
かけ離れた価値と価値を掛け合わせ、
想像を超える第3の価値が一人一人の中に存在しはじめること。
やがてまだ知らない自分らしさへ繋がるもの。
それがTHREEという創造性。(「THREE」ホームページより)


独自のマーケティングモデル

 こうしたターゲットに対して、独自のマーケティングモデルを生み出した。

 ひとつは、常に半歩先を行く提案。例えば、オーガニック・精油・日本発というもの。オーガニックコスメは海外由来原料の場合が多いのだが、日本発という独自の発想を加えている。また、化粧品という枠を超え、ライフスタイルブランドとして独自性を発揮している。

 ふたつ目は、次の出店につながるブランド発信地づくり。ファッション感度の高い人が多い青山に「THREE AOYAMA」というフラッグシップショップを出店。カフェやスパとも連動し話題をつくり、出店要請が来るような仕組みとなっている。

 三つ目は、単純には作れないシンプルなパッケージだ。エフォートレス(無理のない自然な感じ)でスリーク(なめらかでつやのある)。これまでの化粧品にはないパッケージで、差別化している。

 四つ目は、ファッション業界にアプローチしていることだ。これまで何度もファッション業界とコラボレーションしている。昨年は「THREE AOYAMA」5周年を記念して、「自由な発想で丁寧なものづくり」を信条とするAetaとともに、機能性と美しさ、心地よさを備えたコラボレーションポーチを発売した。

 五つ目は、顧客のいるところに、チャネルを配置すること(セミセルフ、直営店)。百貨店のしがらみに捉われない出店は、あくまで顧客優先のチャネル展開だったのである。

 「THREE」を運営する株式会社アクロの石橋寧現会長の言葉を振り返る。

「当社のブランドは100%自然由来ではなく、それを最良とも考えていない。天然由来率は99%が最高値で、自然の力と科学の力、互いの良い点を最大限に活かし、化粧品としての機能を十分に発揮することが重要と考えている。都会的で洗練されたスタイリッシュさが失われぬよう、内容物だけでなく、外箱や容器などの細部にも強いこだわりを持ち、ブランディングを行ってきたい」(「週刊粧業」2014年6月2日号より)

 まさに、自然と科学を融合させて、ターゲットに対して「THREE」独自の価値を生み出しているのである。この価値は、どのメーカーにも創れない。

 10年連続持続成長を遂げてきた「THREE」の成功要因は、どの化粧品メーカーもターゲティングできない、「ブルーオーシャンターゲティング」を発見したことに尽きる。そして、そのセグメントに対し、素直にマーケティングを展開したことだ。ライフスタイルブランド化や直営フラッグシップの出店、ファッション業界とのコラボレーション、チャネル展開をみればわかる。

 「世界で通じる日本発ブランドを」が夢の「THREE」は海外展開が進んでいる。タイ、台湾、インドネシア、マレーシア、 香港、韓国、シンガポールの7ヶ国に進出し、店舗数は55店になった。この1年で19店舗増えている。海外売上比率は20%に達している。今後も世界で通用するブランドとなるため、海外展開をさらに加速させていくだろう。



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