半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年08月21日

特集:コロナ禍の消費を読む
消費動向速報 コロナ下で進む電子マネー利用
主任研究員 菅野守


図表の閲覧には有料の会員登録が必要です。
登録済みの方はこちらからログインしてお読みください。

 コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。


「家計消費状況調査」電子マネーの利用状況:コロナ下で進む電子マネー利用

1.伸び続ける電子マネー利用率

 総務省公表の「家計消費状況調査」によると、総世帯での電子マネー利用率は、2015年第4四半期以降、上昇傾向にある(図表1)。新型コロナウイルス感染拡大の下でも、電子マネーの利用は伸びを続けている。


図表1.電子マネー利用率の推移

ログインして図表をみる


 都市階級別に、2018年第1四半期以降の電子マネー利用率の推移をみると、2018年第3四半期と2020年第2四半期を除き、大都市、中都市、小都市A(人口5万人以上15万人未満の市)、小都市B・町村(人口5万人未満の市及び町村)の順で高くなっている。特に、大都市と小都市B・町村では、利用率は2019年第3四半期以降上昇を続けている。一方で、中都市と小都市Aでは2019年第4四半期以降緩やかに低下を続けていることがわかる(図表2)。


図表2.都市階級別 電子マネー利用率の推移

ログインして図表をみる


2.電子マネー利用金額の伸びも勢いを増している

 電子マネーを利用している1世帯あたりの利用金額は、2015年第1四半期以降、上昇傾向にある(図表3)。


図表3.1世帯あたり電子マネー利用金額の推移

ログインして図表をみる


 電子マネー利用金額の前年同期比伸び率も、2017年第3四半期を底に上昇傾向にある。特に、2019年第1四半期から2020年第1四半期にかけて、一貫して上昇を続けてきた。2020年第2四半期の伸び率は前期に比べて若干低下しているが、その値は+27.8%と、引き続き高い水準を保っている(図表4)。


図表4.1世帯あたり電子マネー利用金額の前年同期比伸び率の推移

ログインして図表をみる


3.人口5万人未満の小規模市町村で伸びが顕著な電子マネー利用金額

 都市階級別に、2018年第1四半期以降の1世帯あたり電子マネー利用金額の推移をみると、概ね、小都市B・町村で最も高い。一方で、大都市の電子マネー利用金額は、2019年第4四半期以降、最も低くなっている。小都市B・町村では、利用金額は2019年第3四半期以降、一貫して上昇を続けている。大都市、中都市、小都市Aの利用金額は2020年第2四半期の時点で、21,200円以上21,500円未満という、非常に狭い範囲に収まっている(図表5)。


図表5.都市階級別 1世帯あたり電子マネー利用金額の推移

ログインして図表をみる


 都市階級別に、2019年第1四半期以降の、電子マネー利用金額の前年同期比伸び率の推移をみると、大都市、中都市、小都市A、小都市B・町村のいずれでも、伸び率の値は概ね上昇傾向にある。小都市B・町村では、伸び率は2019年第3四半期以降、一貫して上昇を続けている。大都市、中都市、小都市Aの伸び率は2020年第2四半期の時点で、25%以上27%未満という、狭い範囲に収まっている(図表6)。


図表6.都市階級別 1世帯あたり電子マネー利用金額の前年同期比伸び率の推移

ログインして図表をみる


 人口5万人未満の小規模市町村では、水準と伸び率の両面で、電子マネー利用金額の伸びが際立っている。残りの3階級では、電子マネー利用金額が同じような水準と伸び率をみせている点も、注目される。


4.コロナウイルス感染拡大の下でも伸び続ける電子マネー利用

 電子マネーの利用率と利用金額は、ともに伸び続けている。特に、2019年第3四半期以降は、利用金額の伸びは勢いを増した。直近の2020年第2四半期時点でも、伸び率の値は高水準を保っている。

 大都市以外の3階級では、電子マネー利用金額の伸び率は、消費税増税がなされた2019年第4四半期に急騰した。小都市B・町村では2019年第3四半期以降、大都市では2019年第4四半期以降、利用金額の伸び率は一貫して上昇を続けている。中都市と小都市Aでは、2020年第2四半期に伸び率は低下しているが、その値は25%以上と高水準を保っている。

 2020年7月以降、コロナウイルスの新規陽性確認者数は再び急上昇している。感染防止対策の側面からも、電子マネー利用には、引き続き追い風が吹くと考えられる。



特集:コロナ禍の消費を読む


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

2024.04.22

企業活動分析 カルビーの23年3月期は需要堅調もコスト高吸収できず減益に

2024.04.22

企業活動分析 亀田製菓の23年3月期は国内外好調で増収もコスト増で減益着地

2024.04.22

企業活動分析 大正製薬の23年3月期はOTCなど好調で増収増益

2024.04.19

企業活動分析 森永製菓の23年3月期は、「inゼリー」等好調で2年連続最高益更新

2024.04.18

24年2月の「商業動態統計調査」は36ヶ月連続のプラスに

2024.04.17

24年3月の「景気の現状判断」は14ヶ月ぶりに50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area