眼のつけどころ

新型コロナ禍で消費はどう変わるか
-シンクロ消費と欲望の姿態変容

2020.06.23 代表取締役社長 松田久一

01

コロナ後の消費の行方

 2020年、人々の予想外の事態が起こった。言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症の流行である。このウイルスの冷静なリスク評価を社会と先進国が合理的に許容できなかったことが大きいと思うが、政府の緊急事態宣言によって、問題は、経済、グローバル経済、社会、そして、政治へと拡大した。当方は、コロナ問題について行動経済学的な分析を試みる(コロナ分析)とともに、Twitter(@matsudahisakazu)でコロナ感染症の流行をできるだけ冷静に分析し半日先の予報をお届けしようとしてきた。この問題は「コロナに関する『早すぎ』と『遅すぎ』のタイミング-行動経済学的分析」として報告予定である。

 さて、6月末現在、コロナの流行は一定の収束傾向をみせ、経済活動と社会活動の再開が本格化し始めている。ここでは、当社の本業に戻り、「本分」を果たすべく、消費者ビジネスを展開する企業や売り手にとって、コロナ後の消費をどう見極めればよいのかを、半歩先んじて、仮説的に整理してみる。

 自粛解除で、消費はコロナ前に一挙に戻ると考えるのは間違いだ。解除後に人々が押し寄せた大型店も、平常営業になれば、店内は閑古鳥が鳴いている。強制的に行動制限した中国のような反動消費もほぼ期待できない。何かが変わったのだ。そして、どこかに向かって変化しようとしている。ここでは、この変化の方向を「シンクロ消費」として捉えて、政策立案のための確証課題としたい。

 問題を単純化するために、コロナ前(Before Corona Virus)とコロナ後(After Corona Virus)の対比で消費を、コロナ下(In Corona Virus)で特徴づけてみる。

02

コロナ前の消費―「東京アッパーミドル」がリードする経験消費

 平成から令和に変わり、消費トレンドは大きく変わらなかったが、兆候はあった。アベノミクス下で収入階層化が進み、消費をリードしていたのは、「東京アッパーミドル」だった。都心高層マンションに住み、夫婦共働き、月1回の星付きレストランでの食事、年1回以上の海外旅行、最新ITを装備し、子供は私学、スポーツやコンサートなどのイベントは欠かさない。

 この生活スタイルは、戦後のサザエさん的な伝統の「中流生活」をより高度にしたものだった。サザエさん一家は、職住分離による世田谷(昭和の郊外)に住み、都心で働くことを基本にしている。性別分業によって、男性は稼ぎ手となり、女性は、子育て家事を担う専業主婦という分業体制をとっている。余裕があれば、便利な耐久財を買いそろえていくというものだった。

 東京アッパーミドルスタイルは、この中流生活を発展させた新たな中流生活の進化形だった。職住一致、個性による協業と共同、選択的サービス財で経験を重ねる消費という変化だった(参照:MNEXT ミレニアルマーケティングの構築へ―豊潤生活への転換期)。

03

コロナ後の価値観―知覚された「生存欲望」

 コロナ禍が呼び起こしたのは「生存欲望」である。感染したり、感染して他人にうつしたりする恐怖がマスコミ情報の煽りによって、生まれた。そして、人々の生存欲望と感情優先の判断を生んだ。

 マスク、食品、消毒液、トイレットペーパーなどの様々な商品が買いだめされた。実際、多くの業種の小売業や外食が自粛し、営業時間を制限し、供給サイドの制限によって、生活に必要な基礎的な商品サービスが入手できないということが大きな影響を与えた。マズロー[1]の分類に従えば、もっとも基層にある生存欲望、生きるために食べる、という欲望が知覚され、再認識された(図表1)。

図表1.マズローの不可逆的欲求発達説を修正したJMR欲望循環論
図表

04

コロナ後の価値観―「承認欲望とアイデンティティ」

 コロナは、人から人へ感染する性質を持つ感染症なので、個人の生存を「危機」にさらすだけでなく、対人関係に大きな影響を与えた。個人が所属する家族、会社や学校での人間関係に影響を及ぼし、親密な距離から「社会的(空間的)距離」をとることが要求された。

 結果として、政府の要請に応えるならば、人々は、個人として振る舞うことを強いられ、「心理的な距離」が近い家族といえども、「空間的距離」をとらざるをえなくなった。長時間の無駄な会議が、価値観共有の鍵となっているコンセンサス優先の会社組織の文化には不都合なことだ。社員間の価値観のすり合わせができない。

 このことは、さまざまな社会集団の重層的なメンバーである個人にとって、帰属意識を薄れさせることになる。その結果、組織に所属することによって形成していたアイデンティティ(自己同一性、自分とは何者かを答えられる一貫性)が揺らぐことになる。欧米に比べ、組織への帰属意識がアイデンティティ形成に関与している割合は大きい。さらに、無条件で受け入れられる家族にも、距離という気遣いが必要になり、自我は孤立することになる。

 従って、他者から承認されたいという欲望が強くなった。コロナ禍で生まれたSNSの過剰なフォロワー獲得競争、度を過ぎた「口撃」がその証左である。東日本大震災のような家族の絆で困難を乗り切ることはコロナではできなかった。

 生存欲望の知覚とともに、承認とアイデンティティの確立という生活者の基本的な価値意識と欲望が呼び起こされた。

05

価値意識の変化がもたらすシンクロ消費

 これらの価値意識が、大勢が欲しいものが欲しいという「同質同調」の「シンクロ消費」を生んでいる。その特徴は、

  1. 浪費よりも貯蓄
  2. 選択支出よりも必需支出
  3. 中食よりもイエでの3度食
  4. 経験価値よりもモノ的な耐久性能

を求める傾向にあらわれている。これは、明らかに、近年の消費の傾向の「逆流」である。

06

コロナ後の消費―抑圧され変容する潜在欲望

 コロナ禍で、価値観の変化が新しい消費を生む一方で、消費として実現されない欲望がある。主に、選択的耐久財とサービスの領域だ。クルマ、IT家電、そして、住宅などの選択的耐久財の消費は、蒸発するほど激減している。衣料や化粧品などもそうだ。実際、移動目的と機会が制限され、外出が激減している影響が大きい。

 宅内時間が増え、需要が爆発している「白物家電」などを除いて、ローンを組めるような収入資産の見通しが立つ状況ではない。需要が期限のないまま「先送り」されている状態だ。

 企業が供給制限を解除すれば、需要が戻ってくるのか。個々の判断が重要だが、共通して言えるのは、これらの選択的耐久財に向かっていた欲望は消失していない。

07

対象転移する選択サービスのへ潜在欲望

 選択的サービスの領域でも同じような変化がある。海外旅行、スポーツやコンサートのイベントなどの「経験価値」を体現する財の消費は実質的に供給サイドの自粛によって提供されていない。映画などのエンターテインメント施設も制限されている。選択的サービス消費の多くは十分に実現できる状況にはない。こうした選択的サービスへの対象欲望はどうなるのか。

 原理的なことを言えば、欲望は消えない。欲望の本質は、精神のエネルギーである「リビドー」にある。リビドーの消失は「病的問題」でありえない。「精神分析」の原則だ。従って、欲望は、その対象を変更しているか、一時的に引き潮のように退潮していることになる。

 概算で消費支出の約20%を占めていた支出は、どこに向かっているのか。宅内での動画配信サービス、ネットゲームなどの娯楽費、インターネットなどの通信費の増加に繋がっているようだが、およそ5万円の代替支出になるほどはない。家計調査では、家計黒字になり、預貯金に変容しているようだ。つまり、変容先は決まっていない。選択的サービスに向かう欲望の本質は、個々人の生き甲斐ややり甲斐に結びつく自己実現欲望である。この欲望が潜在化し、貯蓄増を通じて潜在購買力となり、新たな対象を求めている。

08

消費の行方を捉える五つの視点

 現在から2020年下期及び来年にかけて、消費はどのように変化するのか。消費を分析する視点を五つに絞ってみてみる。価値観、消費水準、消費パターン、買物行動(商品選択)、そして、デモグラフィックス(人口統計)である。

 生活者、消費の面から捉えると消費者は、置かれている外的環境を自らの価値意識や価値観によって判断し、収入から支出に向ける消費性向などの消費水準を決定し、選択購入する自分の消費パターンを持っている。そして、その消費パターンを構成する商品やサービスを利用条件のもとで選択し、様々な手段で購入し、入手している。このような枠組みで整理している(図表2)。

図表2.シンクロ消費と生活行動の関連
図表

09

コロナ後の消費変容―シンクロ消費を生む行動変容

 コロナ前の消費と、コロナ後の消費への変動を仮説的に整理してみた。現在、見られる消費現象から導きだされるコロナ後の消費は、人々との「同調(シンクロ)」を求める「シンクロ」消費である(図表3)。そして、潜在化する欲望をマグマに、新たな自己実現欲望の対象が模索されている。

図表3.シンクロ消費
図表

価値観・価値意識―生きること優先の価値意識

 コロナ禍が人々の価値観に与えた影響は大きい。特に、東日本大震災の際と異なるのは、コロナ禍が全国に広がったことである。その結果、震災以上に人々の価値観に影響を与えている。特に、生きていくという基本的な生存欲求、ひとりではなく、他者に求められているという承認欲望と、自らのアイデンティティへの希求が強く意識されるようになった。マスクは社会に認められる象徴となり、新たな「国民服」となった。

 生き甲斐を求める前に、生存、やり甲斐を求める前に、仕事確保という意識が前面にあらわれ、自己実現欲望は潜在化した。

消費水準―短期低下と長期の購買力の上昇

 どれぐらいの消費水準を維持するか。指標では平均消費性向が目安となる。可処分所得に対する消費の割合が平均消費性向[2]である。総務省の「家計調査」での消費性向はおよそ75%である。年金や医療費などの政府支出が家計消費に算入されるSNA(国民経済計算)ではもっと高く、100%に近い(参照:JMRからの提案 消費低迷のマクロ経済分析-「消費低迷不安説」を超えて 第2章)。コロナ禍の4月の消費性向は、70.9%(前年同月78.3%)と大幅に落ち込んだ。月3.4万円の消費が延期された。

 理論的には、消費性向は「予想生涯所得」と、将来の「不確実性」で決まってくる(ライフサイクル恒常所得仮説[3]など)。この理論から言えば、コロナ禍によって、予想生涯所得が下がり、将来の収入予想の不確実性(リスク)が高まることによって、現在の消費水準が低く抑えられたとみられる。当然の推測だが、落ち込み幅が尋常ではない。これには、先にみたように、供給制限の影響が顕著に出ている。

 消費水準は年内の回復は難しい。解除後の「反動消費」も、ワクチン開発や世界的流行の落ち着きなどの兆候がみられない限りは難しい、とみるのが妥当だろう。

消費パターン―試される消費イノベーション

 中流生活の消費パターンとは、購入所有する商品サービスのパターンのことだ。中流生活は、「持ち家」、「クルマと最新家電」、「子供を私学へ」が「中流3点セット」である。この3点セットが大きく変わって、「東京アッパーミドル」の持ち物へと変わった。

 コロナ後はどうなるか。現在の傾向のような「必需品、3度内食、散歩とゲーム」になっていくのか。所有リスクを持たずに、必需品を適切在庫し、3食を内食ですませ、宅内でゲームを楽しみ、散歩で健康を維持する、という消費パターンが継続されるのか。

 消費者サイドでは、様々な消費パターンのイノベーションが生まれると思われる。

購買行動―買物の消失と届け物への急転換

 消費者との接点で、もっとも大きな変化が現れたのは買物だ。日本の消費者の購買行動の特徴は、都市を中心にした重層重畳商圏[4]のもとで、人口構成から単身世帯が購買の中心主体であり、多頻度小口購買をとることにある。この市場の特徴に適応して、コンビニエンスストア、食品スーパー、駅前巨大量販店やショッピングモールなどが流通の主な担い手となり、インターネットショッピングと競合している状況にあった。コロナ禍で明確になった変化は、以下の三つである。

  1. 買物から届け物(インターネットショッピング)
  2. 食品が充実する食品スーパーなどの小売業へのシェア集中
  3. 楽しむ買物(ウィンドーショッピング)から配給システムへの転換

である。

買物から届け物への加速

 商品サービスを購入するために買物に行くという行動は、届け物へと転換していくことが明確になった。これまで、食品、生鮮三品のネット購入は進まなかった。しかし、小売業の自粛によって、ネット購入に躊躇する消費者は激減した。生鮮の鮮度に厳しい日本での大きな変化である。

1日3食・年1200食の回帰で躍進した食品スーパー

 コロナ禍で売上を伸ばしたのが食品スーパーである。言うまでもなく、生鮮三品や、3度食のための食材が充実していたからである。コンビニの売上は食品の品揃えで明暗を分けた。小売シェアは、食品スーパー比重を高めることになり、寡占化が進む勢力図に影響を与えた。

買物は楽しさよりも効率性

 コロナ禍で、明らかになったことに、買物に付随する楽しさやサービスが提供されなくなったことがある。店内の回遊性は制限され、買物時間は30分内にすませることが求められた。、子供などの入店は制限され、人的説明も制限され、距離を置いて、レジにならぶことになった。

 つまり、買物のある意味での本質は、生産物の効率的な「社会的配給」であり、楽しいものではないことが、あらわになった。消費者の出向を誘導するための多目的化、アメニティ化、大規模集積化は、コロナ禍では「不要不急」とみなされ、供給サイドが自己規制してしまった。

 買物行動で起こっていることは、政府などの自粛要請に従った供給サイドの都合を、受容することでしかない。

 この結果、開店時間の制限による買物時間朝型化、計画的大口購買、買物滞店時間の短縮、効率的買物へと変わらざるを得ない。これは、買物から届け物への流れを一挙に進めることになりそうだ。

消費人口の変容-コロナ世代の誕生

 欧米での感染者数や死亡者数の数は、日本と比較すると桁違いに大きい。これは、コミュニケーションスタイルや清潔意識などの文化的な違いや、糖尿病などの基礎疾患比率の違いにあると予想できる。従って、欧米では、コロナが労働力人口を減少させるとともに、経済不況から雇用を削減する動きが顕著に見られ、所得の減少が消費の減少をもたらす傾向が強くなっている。経済を支える年代別人口ピラミッドに大きな影響を与えている。

 このような欧米の数量的な影響に対し、日本ではマクロ経済に影響を及ぼすほどの感染者数も、雇用調整も多くはない。しかし、質的には、この「社会的な危機」は新しい価値意識をもった世代[5]の誕生を予感させる。特に、現在年齢が、14-17才で、中学2年生から高校2年生の間にあり、2003年から2006年生まれの「コロナ世代」だ。消費市場に本格的に参入するには、数年を要するが、彼らが「コロナ後消費」を体現することは明らかだ。

コロナ後のマーケティング

 コロナ後の消費の変化を兆候的に読んで、幾つかの仮説を立案してみた。これらの仮説によって、コロナ後の消費の変化の洞察を深め、個々の業界の個々の企業のマーケティング問題への解決に貢献できれば有難い。

 最後に、コロナ後の予測される消費の変化に対して、一般的に、企業はどんな対応策をとるかをコメントし概括的な提案としたい。五つのおすすめである。(1)セグメント選択、(2)商品ブランド政策、(3)流通政策、(4)コミュニケーション政策、そして、(5)営業政策について触れてみる。

(1)垂直セグメントの採用のすすめ

 コロナ禍は、収入格差の拡大を通じて、消費市場を分断した可能性が高い。セグメントなしの全方位では対応できない。この分断をどう捉え、どのセグメントを選択するかを明確にした政策が課題だ。

(2)商品ブランド価値の再定義のすすめ

 消費者の価値観が変わるなかで、商品選択の基準や優先順位も当然変わってくる。これまでの基準でライバルにいつまでも優位にあると見なしているのは、変化をみないのも同然だ。商品の価値を見直そう。消費者の潜在意識に切り込んだ価値の導出が必要だ。

(3)流通からエリアプラットフォームの構築のすすめ

 食品スーパーなどの一部の業態や集客力のある場所を除いて、物的流通は当面は厳しい状況が続く。店頭はもはや有力な顧客説得の場ではなくなっている。企業の業態別対応、企業別対応、年間交渉で対応できる条件は失われた。企業のエリアで持つ最大の強みを生かして、業種の商品性を越えた幅広いアプローチが要求される。全国の10大都市圏の重層重畳商圏には、顧客の悩みを総合的に解決する、売り手と買い手を結ぶプラットフォームを構築し、エリア密着のプラットフォーマーになることがこれからの流通政策だ(参照:高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法)。

(4)自前メディアによる価値メッセージ発信のすすめ

 売れる広告とは、商品と企業の価値を伝えられることだ。テレビなど受動メディアと、情報をネットで検索する能動メディアはほぼ拮抗している。コロナは後者の影響力をさらに拡大した。宅内視聴が増えたテレビは、情報の同質性と客観性のなさから信頼感を低下させた。

 You TuberやSNSのフォロワー100万人超えが多数乱立し、マスメディアとネットメディアが相乗効果を生むメディア空間のなかで、売り手の価値メッセージを伝えることは極めて難しい。自前メディアによる価値メッセージが、消費者説得の一歩だ。

(5)エリアマーケターとしての営業再構築のすすめ

 多くの消費財メーカーは、多くの営業マンを抱えている。多種多様な取引先に対応するために地域ごとに営業拠点を持ち、取引先との関係のマネジメントを基本に、数十の取引先を担当し、様々なサポートを提供している。取引先が、小売なら、自社製品の前バケ(購入)促進、POPなどの売れる状態づくり、自社の店頭優位置確保、店頭確保などの活動をしている。その目的は、自社との目標の共有による長期継続取引の維持だ。

 コロナ禍は、この活動を完全停止させた。営業削減、営業無用論が強まっている。営業は、消費者に利することになる長期の研究開発と低品質低価格競争を避けるために必要だ。それには、従来の営業活動を効率化し、テレビ会議などの手段を多様化することが求められている。そして、営業先の顧客、顧客の住むエリアを対象にしたエリアプラットフォーム(前述)を構築することが、これからの営業だ。ルートセールスから、顧客の問題に総合的に解決できるエリアマーケターに変わることが必要だ。

 この提案の確証は、2020年に調査分析し、発刊予定の「消費社会白書2021」にまとめ、テレビ会議などで報告させていただくとともに、事例研究、事前調査、質的調査や本研究などで新たな知見が得られ次第、情報発信させていただく予定である。

【注釈】

  • 注1 米・心理学者、A.マズローの欲求5段階説とは、人間の欲望を階層構造で説明している。生理的欲求や安全欲求といった下位の欲求が満たされると、その上の欲求を欲するようになる。最終的には、最上位にある自己実現の欲求の充足が目指される。
  • 注2 消費性向とは、可処分所得のうち消費支出に当てられる金額の比率を指す。収入から税金などの非消費支出を引いた残りである可処分所得は、消費と貯蓄に分けられる。消費性向は、そのうち消費に回される割合。家計の消費威力を示す指数といえる。消費性向が高いほど消費意欲も高い。
  • 注3 経済学で、現在から将来にわたる消費と貯蓄の最適決定を示す、基礎的な理論。この理論では、現在の消費や貯蓄の水準は、現在の所得の水準のみで決まるのではなく、予想される将来の所得の水準も考慮して、現在と将来の間で消費水準に落差が無いように決めるのが最適とされる。この理論からは、現在所得の変化だけでなく、将来所得の変化予想や変動リスクなどによっても、現在の消費や貯蓄の最適水準は変化することが知られている。
    参照:JMRからの提案 消費低迷のマクロ経済分析-「消費低迷不安説」を超えて
  • 注4 コンビニエンスストア、食品スーパー、商店街、専門店、駅ビル、百貨店など様々な業態が存在し、幾重にも重なっている商圏。大都市に多い。このような商圏には需要が集中する。
  • 注5 世代とは、同年代生まれの集団が、心理、道徳の発達段階や同じ社会的な役割を担うライフサイクル期に、社会的節目となるような同時代体験をすることによって、同質的な価値観や考え方を共有し、社会現象を生む社会集団のことを指す。(松田久一著、「ジェネレーショノミクス」、2013年、東洋経済新報社

 「消費社会白書2021」調査結果に基づき、本稿で提示した仮説の検証を行った。その中間総括をコンテンツとしてまとめたのでご一読いただきたい。

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