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(2019.08)
キャッシュレス競争の勝者は?
―プラットフォーム視点で分析
キャッシュレス決済研究チーム



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はじめに―キャッシュレス戦国時代の到来

 近年、注目を集めているキャッシュレス決済。特にQRコード決済事業者の勢いは、このところめざましい。2018年12月には、PayPayが展開した「100億円あげちゃうキャンペーン」が大きな反響を呼んだ。2019年に入ってからも、PayPayに追随する形でLINE PayやOrigami Pay、楽天Payと各社次々にキャンペーンを継続して展開。消費者にとっても、キャッシュレス決済の注目度が、これまで以上に高まってきている。


キャッシュレス決済市場拡大の火付け役となっているQRコード・バーコード決済

 キャッシュレス決済拡大の背景には、スマートフォンの普及がある。スマートフォンを利用したQRコード決済は、サービス事業者の新規参入が相次いでいる。

 楽天の「楽天ペイ」やOrigamiの「Origami Pay」、LINEの「LINE Pay」などのほか、2018年にはNTTドコモの「d払い」、アマゾンジャパンの「Amazon Pay」、ソフトバンクとヤフーの「PayPay」、ローソンが手がける「ローソンスマホペイ」など、QRコード決済に参入した。2019年4月9日にはKDDIが「au PAY」を開始し、楽天やメルカリが提供するメルペイと連携して加盟店拡大を図っている。

 日本能率協会総合研究所によると、国内QRコード決済市場は2023年度に8兆円に拡大するとされており、その伸びしろはまだまだ十分ある。


図表1.国内キャッシュレス事業者



キャッシュレス戦国時代の主役たち

 QRコード決済事業者の相次ぐ参入により、クレジットカードや電子マネーも含めたキャッシュレス決済市場は、非常に激しい加盟店・サービス利用者獲得競争となっている。現在サービスを展開している有力なQRコード決済業者と非接触型決済業者を、加盟店舗数と顧客基盤の観点から考えてみる。

 QRコード決済業者でみると、LINE Payと楽天Payが圧倒的だ。コミュニケーションアプリによるプラットフォームを有するLINEや、楽天経済圏と呼ばれるプラットフォームを築いている楽天は、今ある自前のプラットフォームの基盤を、キャッシュレスプラットフォームに転換している。


図表2.QRコード決済事業者比較


 非接触型決済業者で注目したいのは、やはりSuicaだ。加盟店舗数や顧客基盤となる発行枚数では、楽天Edyに劣る。しかし、日々の通勤や通学、コンビニエンスストアでの買い物など、日常的に使用する機会が多く、消費者の生活に浸透しているという大きな強みを持つ。ジェイアール東日本企画の2011年のデータでは、「東京30キロ圏居住の18歳~49歳の生活者の内、85.9%がSuicaまたはPASMOを保有している」となっている。


図表3.非接触型決済事業者比較



市場プラットフォーム競争としてのキャッシュレス化競争

 キャッシュレス化競争の主役となっている各決済サービス業者は、決済サービスという市場プラットフォームの担い手であり、一般にプラットフォーマーと呼ばれている。

 市場プラットフォームに該当するものは、現代社会に数多く存在している。

 AGFAとして知られているAmazon、Google、Facebook、Appleの4社は、市場プラットフォームの代表的なプラットフォーマーだ。

 決済プラットフォームとして古くから知られているものが、クレジットカードのビジネスだ。クレジットカードの決済システムが市場プラットフォームであり、プラットフォーマーがカード会社である。

 カード会社は、クレジットカードの会員を募り、カードでの支払いを受け入れてくれる加盟店を募る。クレジットカードによる支払いのサービスを可能にすることで、カードの会員と加盟店とを結びつけている。

 アメックスやVISAなどのカード会社はこれまで、決済プラットフォームの主たるプラットフォーマーとして君臨し続けてきた。彼らの牙城にいま新たに食い込んできているのが、楽天ペイやLINE Pay、PayPayなどのQRコード決済や、Suicaやnanaco、Apple Payなどの非接触型決済といった、クレジットカードとは別の決済プラットフォームのプラットフォーマーたちである。

 決済プラットフォームの世界では現在、複数のプラットフォームの仕組みが並立する状態(マルチホーミング)となっている。どの仕組み、どの決済業者がキャッシュレス決済市場の覇権を握るか、今まさに激しい競争の最中なのである。


次は「キャッシュレス化競争の成否を分けるカギとなるネットワーク外部性」
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参考文献

デヴィッド・S・エヴァンス, リチャード・シュマレンジー著、平野敦士カール訳(2018)『最新プラットフォーム戦略 マッチメイカー』朝日新聞出版


参照コンテンツ


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