森永製菓の2022年3月期の連結決算は、売上高1,813億円(前年同期比7.7%増)、営業利益177億円(同7.8%減)と増収減益であった。各事業でコロナからの回復や成長加速があり、売上高は過去最高を更新。利益面では原材料価格高騰の影響や、中長期成長に向けた基盤構築のための投資により減益となった。食品業界においては食の安全・安心の徹底や、ライフスタイルの変化で簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化をとらえた付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境は厳しさを増している。このような経営環境のもと、2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」及び、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」を基本方針とする中期経営計画を策定。初年度は事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上、事業戦略と連動した経営基盤の構築、ダイバーシティの推進に着手した。食料品製造事業では、菓子食品部門は「チョコボール」「森永ココア」などが苦戦したものの、「森永ビスケット」や発売50周年の「小枝」が好調で、国内全体が増収。海外は、米国で「HI-CHEW」の取扱いが拡大し、中国、台湾とともに前年実績を大きく上回ったため、部門全体でも増収(同4.8%増)となった。冷菓部門は、「板チョコアイス」やコラボ企画を展開した「パキシエル」などが好調で増収(同4.8%増)。健康部門は主力ブランドの「inゼリー」が、コロナ禍に対応した様々な提案を行った結果、コロナ前の売上を超えるV字回復を果たした。2023年3月期はウェルネスカンパニーへ生まれ変わる象徴として「inゼリー」のブランディングを強化し、主力ブランド注力、ウェルネス領域規模の拡大、機能部門を中心とした構造改革や強固な経営基盤の構築などにより、売上高1,900億円、営業利益165億円を見込む。
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