半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年02月07日

第13回 ネクスト戦略ワークショップ 講演録
市場転換期の戦略対応
ミレニアルマーケティング事例
本コンテンツは2019年11月14日開催した「ネクスト戦略ワークショップ」の講演録に加筆・修正を加えたものです。
ディレクター 大澤博一

 
本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

 市場転換期の戦略では、セグメンテーションが非常に重要です。ここでは、成功事例を挙げて紹介していきます。


セグメントを見直して売上アップ

 まず、ダイハツ工業の軽自動車「タント」です。2003年に発売の後、モデルチェンジを経て、現在のタントは4代目になります。当初は、「親子にぴったりタント」というキャッチフレーズで、ファミリー向けのクルマとして売り出されました。そして狙い通りに子育てファミリーに支持されました。

 それが、2代目3代目と進んでいくうちに、ユーザーの構成が変わっていきました。特に3代目になると、シニアの比率が高くなっています。この時期のCMは、豊川悦司さんが出演していて、急な坂道でも加速できることを強調していました。

 ファミリー層向けのクルマなのに、「走り」を訴求したわけです。そのため、ターゲットがぶれて、売上も落ちてしまいました。

 そこでもう一度セグメントし直して、2019年に子育てファミリー層に向けてモデルチェンジしたタントを売り出します。この変更がターゲットとなった層に届きました。発売1ヶ月目には、月間販売台数目標12,000台を大きく上回る37,000台を受注しました。


図表1.2019年フルモデルチェンジで復活



 このクルマの特徴は、前と後ろのドアの間に柱がない「ミラクルオープンドア」で、赤ちゃんを抱えたままでも乗車しやすいこと。さらに、運転席が後方に大きくスライドするロングスライドシートを採用し、運転席に腰かけたまま後部座席の子供に向き合えるようにしています。このように、ファミリー層をセグメントしたものづくりを行いました。その結果として、売上を一気に伸ばすことができました。

 セグメントを設定するというのは、企業にとってとても重要です。

 もうひとつ例を挙げます。森永製菓の「inゼリー」です。発売されたのは1994年。当初は、「ウィダーinゼリー」というネーミングでした。CMには、木村拓哉さんを起用して、10秒でとれる朝ごはんという訴求をしていました。その後、売上200億円くらいまでに成長していきます。

 そして、2014年に発売20周年を記念したリニューアルを行いました。そのときに、10秒で朝食がとれるという訴求から、カロリー別ラインナップに変えました。具体的には、カロリーゼロやカロリーハーフといった商品を発売しました。

 ところが、これが消費者に大不評だったんです。朝ごはんとしてチャージしたいのに、カロリーゼロでは飲む意味がないといった声が、メーカーにたくさん届いたそうです。

 そこで同社が行ったのが、ターゲットとセグメントを明確にして、そこに集中することです。CMでは嵐の櫻井翔さんを起用し、20代から30代のビジネスマンに向けて展開。ここから売上も増加し、今ではゼリー飲料市場でシェア38%と、圧倒的な地位を確立しています。

 カロリー別表示から機能性別表示に変更し、ターゲットを20代30代のサラリーマンに絞ったことが、成功のポイントだったといえると思います。

 忙しいビジネスマンが、手軽に取れる食事という点をアピールし、プロモーションも東京・山手線の交通広告で大々的に行いました。さらに販売チャネルもコンビニ、特にセブン-イレブンに注力しました。ビジネスマンにとっての利便性を重視したといえます。


次は「商品・サービスを組み合わせて経験財化」
【続きを読む】(有料会員向け)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。



「ネクスト戦略ワークショップ」講演録


「消費社会白書2020」特別コンテンツ


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.26

消費からみた景気指標 24年2月は10項目がプラスに

2024.04.26

24年3月の「全国百貨店売上高」は25ヶ月連続のプラス、インバウンドや物産展が好調

2024.04.26

24年3月の「ファーストフード売上高」は37ヶ月連続のプラスに

2024.04.26

24年3月の「ファミリーレストラン売上高」は25ヶ月連続プラス

2024.04.25

月例消費レポート 2024年4月号 消費は足許で持ち直しの動きが見られる-「いつも通り」の消費の風景が戻ってくるようになれば消費回復の見通しもより確かなものに

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area