半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年01月07日

「消費社会白書2020」特別コンテンツ
食生活の現実と理想
取締役 大場美子



 消費社会白書から紹介する第3弾は食生活である。食生活には、家族の変化が如実に表れる。家族揃った夕食をとっている人は半数を割り、調理時間は短縮。食事に使う器の数も減っており、一汁三菜の献立は希なものになっている。

 平日のある日の夕食から、食生活の現実をみてみよう。9割が自宅で食べているが、家族全員揃って食べた人は41%、自分ひとりが35%だった。世帯人員2人以上の世帯でみても、家族揃って食べたのは48%と半数未満であった。

 夕食に味噌汁をとっている人は22%と少数派だ。味噌汁の代わりはお茶や水など清涼飲料と、ビール類などアルコール飲料になっている。おかずはさまざまだが、その中で出現率が最も高いのは野菜サラダであった。






 主食、主菜、副菜といった組み合わせパターンをみると、一汁三菜の伝統的スタイルは3%にすぎず、絶滅寸前と言っていい。最も多いのは、主食のみと複数主食を合わせた「主食中心」で34%、次いで「汁なし二内菜食」が23%となる。

 夕食に使う器の数は、平均が3.0個、1個と2個がそれぞれ17%で合わせて34%、3個まで入れて65%であった。器の数は単身層で少なく、既婚子独立のライフステージで多くなる。






 調理時間は平均が32分、30分未満が全体の53%と過半数だった。共働き家庭が圧倒的多数派になっても、食事の準備は、女性が中心だ。限られた時間に調理し後片付けをするために、器の数は少ない方が合理的である。

 一方、食事についての考え方は保守的である。「家族揃って食卓を囲むべき」「一汁三菜が望ましい」「なるべく手作りすべきだ」という家族とあるべき食事についての考え方は根強い。

 分析してみると、こうした考え方は、男性よりも女性が強くもっている。また「生活保守」の価値観と関連しており、「ちゃんとした生活」のための食事に手を抜いてはいけないという観念があるようだ。こうした価値意識と現実との葛藤をどう解決していくかは、食に関連する商品やサービスを提供する側の重要なテーマになっている。



より詳細なファインディングは「消費社会白書2020」をご覧ください

書籍イメージ
消費社会白書2020
見えてきた21世紀の消費-中流家庭から「豊潤生活」への転換

  • 発刊以来17年間の知見とデータから「今」を鋭く分析し、「半歩先」を提案
  • オリジナルの時系列調査から現在の消費者の実像に迫る
  • 中長期だけでなく、短期のマーケティング戦略を構築するための基本データが満載



「消費社会白書2020」特別コンテンツ


「ネクスト戦略ワークショップ」講演録


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2025.10.31

成長市場を探せ 猛暑に伸びる、3年連続過去最高更新のミネラルウォーター(2025年)

2025.10.30

25年9月の「ファミリーレストラン売上高」は43ヶ月連続プラス

2025.10.30

25年9月の「ファーストフード売上高」は55ヶ月連続のプラスに

2025.10.29

25年9月の「全国百貨店売上高」は2ヶ月連続のプラス

2025.10.28

MNEXT サナエノミクスと消費の回復ー所信表明に読む自助的自由主義

2025.10.28

25年8月の「広告売上高」は、16ヶ月ぶりのマイナス

2025.10.27

企業活動分析 第一三共の25年3月期は、主力の医療用医薬品好調で増収増益に

2025.10.24

「高市政権」樹立によって経済成長と消費復活へ

2025.10.24

25年9月の「チェーンストア売上高」は既存店で7ヶ月連続のプラス

2025.10.23

25年9月の「コンビニエンスストア売上高」は7ヶ月連続のプラスに

2025.10.22

25年8月の「旅行業者取扱高」は前年比5ヶ月連続プラスに

週間アクセスランキング

1位 2025.11.13

「消費社会白書2026」発表会 ネクスト戦略ワークショップのご案内

2位 2025.10.01

消費社会白書2026 - 欲望の拡張と価値マーケティングの新時代

3位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

4位 2024.10.24

MNEXT 日本を揺るがす「雪崩現象」―「岩盤保守」の正体

5位 2025.10.24

「高市政権」樹立によって経済成長と消費復活へ

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area