半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2022年06月22日

月例消費レポート 2022年6月号
消費回復の動きが鮮明に―値上げのダメージが回復の行方を左右する
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

 消費は改善の動きが鮮明になっている。支出全般はプラスに転じている。日常生活財では改善の動きが続く一方、耐久財では低迷が続いている。
 雇用環境と収入環境はともに改善が続いており、マインドも改善に転じている。コロナ新規陽性者数は減少傾向を保つ中で、外国人観光客への入国制限緩和も進み、旅行に対する需要喚起策も積極化しつつある。
 消費回復を阻む最大の要因となってきたのが、増大する値上げのインパクトである。
値上げ予定の領域は益々広がり、大幅な円安で輸入物価へも上昇圧力がかかりつつある。
 値上げのダメージの大小が、今後の消費回復の行方を左右しそうだ。

 JMR消費INDEXは、2022年4月時点で66.7となり、前月よりも上昇した。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数をみると、販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は前月並みを維持した。他方、支出関連は3指標中2指標が改善に転じており、改善の側が優勢の状況となっている(図表2)。

 消費支出の伸びは、実質では2ヶ月連続のマイナスだが、名目ではプラスに戻している(図表4)。

 10大費目別では、2022年4月は、実質ではプラスとマイナスの費目数が拮抗し、名目ではプラスの側が優勢に転じている(図表5)。

 販売現場では、小売業全体の売上は2ヶ月連続でプラスとなった。

 チャネル別でもプラスの動きが優勢となっている。提示した主要6業態中5業態で、プラスが続いている。マイナスが続いているのは、ホームセンターだけである(図表9図表10)。

 外食売上は、全体では5ヶ月連続でプラスとなった。

 業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、2ヶ月連続のプラスである(図表18)。

 新車販売では、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表11)。

 家電製品出荷については、2022年4月時点で、黒物家電と白物家電ともに、総じて不振である。情報家電では、スマートフォンは7ヶ月ぶりに改善したが、ノートPCは不振が続いている(図表12図表13図表14)。

 新設住宅着工戸数は、全体では14ヶ月連続でプラスとなった。

 利用関係別では、分譲住宅・一戸建てと分譲住宅・マンションでプラスが続く一方、持家ではマイナスが続いている(図表15)。

 三大都市圏別の推移をみると、持家は全ての地域でマイナスが続いている。他方、マンションは全ての地域でプラスとなっている(図表16)、図表17

 雇用については、有効求人倍率と完全失業率ともに改善が続いている(図表6)。

 収入についても、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。

 消費マインドについても、改善の動きが鮮明になっている。景気ウォッチャー現状判断DIは上昇が続き、消費者態度指数も上昇に転じている(図表8)。

 総合すると、消費は改善の動きが鮮明になっている。

 消費支出など支出全般はプラスに転じている。日常生活財では改善の動きが続く一方、耐久財では低迷が続いている。

 雇用環境と収入環境はともに改善が続いており、マインドも改善に転じている。コロナ新規陽性者数は減少傾向を保っている。外国人観光客への入国制限の緩和も進みつつある。旅行に対する需要喚起策も今後は積極化の方向だ。

 消費回復を阻む最大の要因となってきているのが、増大する値上げのインパクトである。

 この先、値上げが予定される領域は益々広がりつつある。大幅な円安も進行しており、輸入物価へは更なる上昇圧力がかかりつつある。

 今後、質・量両面で値上げが加速し、家計による支出切り詰めが顕在化すると、見えてきた消費回復の動きに水を差しかねない。

 値上げのダメージの大小が、消費回復の行方を左右しそうだ。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

特集1.値上げの価格戦略

特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?


参照コンテンツ


おすすめ新着記事

消費者調査データ カップめん(2025年4月版)別次元の強さ「カップヌードル」、2位争いは和風麺
消費者調査データ カップめん(2025年4月版)別次元の強さ「カップヌードル」、2位争いは和風麺

調査結果をみると、「カップヌードル」が、ほぼ全員に認知があり、4分の3に購入経験があり、半数弱が3ヶ月以内に購入、と圧倒的な強さをみせるなど、ロングセラーブランドへの上位集中が鮮明な結果となった。背景には、昨今の値上げ続きで強まる消費者の節約志向があると考えられる。「失敗したくない」という意識が安心感のあるブランドに向かっているのだ。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引

チョコレート商品の値上げが続くなか、成分や機能を訴求したチョコレートが伸びている。今回はどのような人がどんな理由でチョコレートを食べているのか調査した。

成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。  キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)
成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。 キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)

キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2025.03.06

クレジットカード決済に関する重要なお知らせ

2025.04.17

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2025.04.18

消費者調査データ カップめん(2025年4月版)別次元の強さ「カップヌードル」、2位争いは和風麺

2025.04.17

25年2月の「商業動態統計調査」は11ヶ月連続のプラス

2025.04.16

25年3月の「景気の現状判断」は13ヶ月連続で50ポイント割れに

2025.04.16

25年3月の「景気の先行き判断」は7ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.04.15

25年2月の「消費支出」は4ヶ月ぶりのマイナスに

2025.04.14

提言論文 ブランド価値ランキング - 価値実現率の低い選択的耐久財

2025.04.14

企業活動分析 アップルの2024年9月期は、サービス事業過去最高で増収増益

2025.04.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引

 

2025.04.10

25年2月の「家計収入」は2ヶ月連続のマイナス

2025.04.09

25年2月の「現金給与総額」は38ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

 

2025.04.08

25年2月は「完全失業率」は改善、「有効求人倍率」は悪化

2025.04.07

企業活動分析 日本ハムの24年3月期は食肉事業、加工事業ともに好調で増収増益

2025.04.07

企業活動分析 丸大食品の24年3月期は価格改定の効果もあり増収増益

2025.04.07

月例消費レポート 2025年3月号 消費は回復傾向が続いている - 海外発の波乱要因が消費回復の妨げとなる可能性には要注意

2025.04.04

25年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続のプラス

2025.04.03

25年2月の「新設住宅着工戸数」は10ヶ月ぶりのプラスに

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

3位 2025.04.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引

4位 2024.10.24

MNEXT 日本を揺るがす「雪崩現象」―「岩盤保守」の正体

5位 2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area