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消費に関する各種経済指標では、改善に転じる動きがみられたが、足許では、その勢いに一旦ブレーキがかかっている。雇用・収入環境では、改善の動きが認められるものの、消費マインドでは悪化の気配がみられる。
JMR消費INDEXは13ヶ月ぶりに50超の水準へ戻している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、消費支出と平均消費性向は2019年9月以来13ヶ月ぶりに改善となった。(チェーンストア売上高を除いた)販売関連10指標のうち、改善となったものは、2020年9月時点では2指標であったが、10月には6指標へと増加した。11月については、現段階で判明している9指標のうち、5指標が改善となっている(図表2)。
2020年10月の消費支出の伸びは、名目と実質ともにプラスに転じた。名目と実質の両方がプラスとなったのは、2019年9月以来13ヶ月ぶりである(図表4)。
10大費目別では、2020年10月の名目増減率は10費目中7費目がプラス、実質増減率は10費目中8費目がプラスとなった。前月9月は、名目と実質ともにマイナスの費目が10費目中9費目であり、マイナスの側が圧倒的優勢となっていた。10月は、プラスの側が優勢へと転じている(図表5)。
販売現場では、日常財のうち、小売業全体の売上は2020年10月以降、プラスに転じている。スーパーは10月以降プラスを保っているが、コンビニエンスストアと百貨店はマイナスが続いている。伸び率は、小売業全体、スーパー、百貨店で、10月をピークに11月は低下に転じている(図表9)。
外食の売上は、全体ではマイナスが続いている。ファーストフードは2020年10月以降プラスを保っているが、ファミリーレストランとパブ・居酒屋はマイナスが続いている。伸び率は、これまで全体でも業態別でも上昇傾向にあったが、10月をピークに11月は低下に転じている(図表13)。
耐久財のうち、新設住宅着工戸数は、全体ではマイナスが続いているが、持家と分譲住宅・マンションでは2020年11月にプラスに転じている。伸び率は、全体でもカテゴリー別でも、11月時点で上昇している(図表12)。
家電製品出荷は、2020年10月以降、概ねプラスを保っている。ただし、伸び率は11月時点で、一部を除き低下に転じている(図表11)。
新車販売の伸びは2020年10月以降、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、プラスに転じている。ただし伸び率は、2020年10月をピークに11月は低下している(図表10)。
雇用環境は、改善に転じている。有効求人倍率は2020年9月を底に上昇を続けている。完全失業率は10月をピークに11月は低下に転じている(図表6)。
収入環境では、所定内給与額の伸びは2020年9月以降プラスとなっている。しかし、現金給与総額は2020年4月以降、超過給与の伸びは2019年9月以降、マイナスが続いている。伸び率は、現金給与総額、所定内給与額、超過給与のいずれも、上昇傾向にある(図表7)。
消費マインドについては、消費者態度指数は改善の動きが続いているが、景気ウォッチャー現状判断DIは2020年10月をピークに11月は低下に転じている(図表8)。
総合すると、消費は、2020年10月を境に改善に転じる動きが目立っているが、直近の11月時点ではその勢いに一旦ブレーキがかかっている。
日常財でも耐久財でも、2020年10月以降、総じて改善の動きがみられる。ただし伸び率は、直近の11月時点で低下の動きが目立っている。
雇用環境と収入環境はともに、改善の動きが認められる。消費マインドはこれまで、改善の動きがほぼ一貫して続いてきたが、足許では一旦、改善の勢いの鈍化やマインドの悪化が顕在化している。
内閣府が2020年12月22日に公表した2020年12月分の月例経済報告によると、景気の現状判断は据え置きとなったが、個人消費については3か月ぶりに判断が下方修正された。個人消費の下方修正は、その前後で公表されている2020年11月時点での消費関連指標の伸び悩みを先取りした格好となっている。
2020年12月に入って以降、コロナウイルス新規陽性者数の上昇が続いてきた。飲食店への営業時間短縮の要請も、東京都や大阪府での期間延長にとどまらず、全国各地へと広がった。GoToトラベルなどの各種キャンペーンも、一時停止となった。
2020年12月31日に新規陽性者数が東京都で初の1,000人超え、全国でも初の4,000人超えとなったことを受けて、2021年1月2日には首都圏1都3県の知事から政府に対し緊急事態宣言再発出の要請が行われた。一部報道では、早ければ1月7日にも、政府より緊急事態宣言が発出される見通しといわれている。
各種経済指標で悪化の動きが顕著になるとすれば、恐らく2020年12月分あたりからと見込まれ、公表数値として明らかとなるのは概ね2021年1月後半以降となるだろう。1月前半で明らかとなる消費マインド関連指標で、どの程度のダメージが出ているかによって、景気や消費の先行き展望も、大きく変わってくることとなりそうだ。
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