日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年09月02日
月例消費レポート 2020年8月号
消費は最悪期を脱し、水面下での回復の動きがみられる
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

消費に関する各種経済指標では、底打ちから改善への動きが目立っている。プラスに転じる領域も、徐々に広がりつつある。消費は依然マイナスながらも最悪期を脱し、水面下での回復の動きがみられる。

 JMR消費INDEXは、過去最低水準を脱したが、依然50を割り込んでいる(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きは、2020年6月時点で、チェーンストア関連の4指標が改善した。長く悪化が続いてきた衣料品、家具・インテリア、家電製品の3指標で、改善の動きが認められた点は、注目される(図表2)。

 消費を取り巻く状況を整理する。消費支出の伸びは2020年6月時点で、名目と実質ともに依然マイナスだが、伸び率の値は大きく上昇している(図表4)。

 2020年6月の10大費目別では、名目と実質ともに、10費目中5費目がプラスとなった。プラスの費目数は、前月5月よりも増えている(図表5)。

 販売現場での動きでは、日常財のうち小売業全体の売上の伸びはマイナスながらも、伸び率の値は上昇を続けている。マイナスが続いている百貨店とコンビニエンスストアでも、伸び率の上昇の動きが認められる(図表9)。

 外食全体の売上の伸びは2020年6月時点でもマイナスだが、伸び率の値は上昇している。特に、ファミリーレストランとパブ・居酒屋で、伸び率の顕著な上昇が認められる(図表13)。

 2020年8月25日に日本フードサービス協会から公表された、2020年7月時点での数値からも、外食全体でも業態別でも、伸び率はマイナスながらも上昇を続けていることが確認できる。

 耐久財のうち、新設住宅着工戸数は2020年6月時点で、全体でもカテゴリー別でも、伸びはマイナスとなった(図表12)。

 他方、家電製品出荷の伸びは、2020年6月時点で、一部の品目を除きプラスとなった(図表11)。

 また、2020年7月時点の家電出荷は黒物家電と白物家電の双方で、改善の動きが目立っている。黒物家電については2020年8月28日に電子情報技術産業協会(JEITA)から、白物家電については2020年8月25日に日本電機工業会(JEMA)から公表した。

 新車販売の伸びは大きく改善している。特に、軽乗用車では、伸びは10か月ぶりにプラスに転じている(図表10)。

 消費を取り巻く環境条件のうち、雇用環境は、有効求人倍率で悪化の動きが続いている。一方、完全失業率では悪化の動きが一旦止まっている(図表6)。

 収入環境では、所定内給与額の伸びはプラス、現金給与総額と超過給与の伸びはマイナスが続いている。ただし、伸び率の値は、現金給与総額、所定内給与額、超過給与のいずれも、2020年6月時点で上昇に転じている(図表7)。

 消費マインドについては、2020年7月時点で、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIともに、改善の動きが続いている(図表8)。

 総合すると、消費は依然マイナスが続いているが、伸びは底打ちから改善への動きがみられる。プラスの動きに転じる領域も、ごく一部に止まっていたものが、徐々に広がりつつある。

 消費マインドでは、改善の動きが続いている。雇用環境と収入環境でも、これまで続いてきた悪化の動きに一旦歯止めがかかった。消費を取り巻く環境条件にも、底打ちの兆しがみえる。

 コロナウイルス新規陽性者数は、東京都でも全国でも、ピークアウトの気配がうかがえる。

 都心の繁華街では、にぎわいをみせているところも、一部でちらほら出始めているという。

 だが、各種イベントの解禁タイミングの再延期、飲食店に対する夜間営業時間短縮の再要請、GoToキャンペーン開催をめぐる誤算などで、回復の動きに再びブレーキがかかったところも存在している。

 秋口に向けて、景気回復の足取りが鈍る可能性も、一部ではささやかれている。

 エコノミストの間では、コロナの悪影響が雇用や収入に本格的に出始めるとしたら、2020年末か2021年明けぐらいから、との見方も有力だ。

 その前までに、回復への手がかりをつかめるかが、今後の景気と消費の行方を左右することとなるだろう。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

特集:コロナ禍の消費を読む


参照コンテンツ


おすすめ新着記事

「キレイキレイ」「ビオレu」が上位独占 ハンドソープの消費者調査ランキング
「キレイキレイ」「ビオレu」が上位独占 ハンドソープの消費者調査ランキング

コロナ感染拡大で一躍脚光を浴びたハンドソープだが、市場自体は7年連続拡大とアップトレンドが続いている。2019年の販売数量は9.7%増の100,240トン、2013年に比べ約2倍に伸長した。生活必需品として一気に注目を増したハンドソープは、新しい生活様式の定着とともに、今後も成長が見込まれる。

特集:コロナ禍の消費を読む 裾野広がるネット購買 「GoTo」で旅行関連支出も伸びる
特集:コロナ禍の消費を読む 裾野広がるネット購買 「GoTo」で旅行関連支出も伸びる

総務省公表の「家計消費状況調査」によると、二人以上世帯でのインターネットを利用した支出総額は、引き続き上昇傾向を保っている。2020年5月と6月の比較で特に伸長したのが、「宿泊料、運賃、パック旅行費(インターネット上での決済)」だ。背景要因には7月22日に開始した「Go Toトラベルキャンペーン」が挙げられる。10月からは東京都も対象となることで、さらなる伸びが予想される。ネット購買全体をみても、コロナ下で伸びてきた代表的分野を越えて裾野が広がりつつあるようだ。

陽性者報道の消費インパクトは1人3円から1円へ コロナへの関心低下鮮明に
陽性者報道の消費インパクトは1人3円から1円へ コロナへの関心低下鮮明に

当社独自の推計モデルを用いて、コロナ陽性確認者数が消費支出に与える影響の推計を試みるコンテンツ第三弾。今回は、前回モデルに7月の消費支出データを追加し、モデルの修正を行った。その結果、前日の陽性確認者数が1人増えると、消費支出の日別支出は約1円減少するという結果が得られた。前回モデルの1人増えると3円減少という結果よりもインパクトが小さいことがわかる。要因は、消費者のコロナへの関心の低下だ。






コロナ経営危機を乗り越える!中堅ビジネス向け無料オンライン相談
会員登録のご案内
消費社会白書2020
「戦略200+」比較分析ツールのご案内
マーケティングモニターのご案内
データでわかる辛口性格診断
page top

JMR生活総合研究所マーケティングサイトに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。著作権はJMR生活総合研究所に属します。

Copyright (c) 1997-2020 Japan Consumer Marketing Research Institute. All rights reserved.