
ツー・サイド・プラットフォームとは、提携関係を結んだ2種類のユーザー・グループ(典型的には売り手と買い手)に取引を促すためのインフラとルールを提供し、結びつける製品やサービスを指します。このような製品やサービス(プラットフォーム)はある共通の取引基盤を提供し、ユーザー・グループに参加の資格を与える、という仲介業者のような役割を担います。プラットフォームは双方のユーザー・グループにサービスを提供し、それぞれに利益を得るので、どちらのユーザー・グループに対してもコストと利益の両方が存在します。
具体例としてはカードビジネスがあります。カード会社はユーザーからカード発行代を取って、もう一方でそれが使えるお店に対して、そのお店が使えることを保障してお店からもお金を取ります。つまりこれは二面、売り手と買い手という関係からいうと、二面市場ということになるわけです。売り手の、ユーザーからみると、使えるお店が増えるとそのカードの利用価値は上がりますし、お店の方からみると、発行枚数が増えれば増えるほどお客様は増える、という相乗効果が生まれます。その他にも、パソコン市場におけるOS、ゲーム機、携帯電話などがあります。
ツー・サイド・プラットフォームの特徴は、2種類のユーザー・グループが互いに引きつけられる「ネットワーク外部性」が働くことです。「ネットワーク外部性」とは「お客さまが増えれば増えるほどお客さまの効用が上がる」という関係のことです。このネットワーク外部性のために、売り手が他の売り手もプラットフォームに参加すると予測すれば、売り手のプラットフォームへの参加が増え、結果大きな買い手の需要につながります。一方、売り手が他の売り手がプラットフォームに参加しないと予測すれば、売り手のプラットフォームへの参加が減り、買い手の需要も小さくなります。結果としてツー・サイド・プラットフォーム市場では「収穫逓増の法則」が働きます。つまり、ユーザーの数が増えれば増えるほどプラットフォームの利益が大きくなるのです。
また、プラットフォームを変えることによるコスト、スイッチングコストと言いますが、この変更コストが高いかどうかという点も影響します。たとえばパソコンのOSを替えるとなると操作の問題、ハードの買い替えなど大変な苦労を伴います。このようにスイッチングコストが高いことも強いプラットフォームの特徴と言えます。
市場の成熟化が進むと、少数のプラットフォームによる独占もしくは寡占が起こります。クレジットカードはその典型といえます。パソコンのOS市場では1社が市場をほぼ独占しています。このように、ツー・サイド・プラットフォーム市場での「勝者」は大きな利益を得ることになります。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法(2018年)
- 戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ(2019年)
- 戦略ケース 自動車メーカーの生き残り戦略 ―移動システム産業で成功するためには(2018年)
- JMRからの提案 流通業と2サイドプラットフォーム(2007年)
- JMRからの提案 キャッシュレス競争の勝者は?―プラットフォーム視点で分析(2019年)
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