
ネットワーク外部性とは、同じ財・サービスを消費する個人の数が増えれば増えるほど、その財・サービスから得られる便益が増加する現象を指します。電話やファックスなど、通信ネットワークにおいて顕著にみられます。ネットワーク外部性が存在する財・サービスには、利用者の増加が更なる利用者の増加を促す"正のフィードバック"が発生します。
たとえば電話網への最初の加入者の便益はゼロです。ほかに電話網に加入している人がいなければ電話網に加入していてもメリットはないからです。しかし2人目の加入者には、1人目の加入者と通信ができるというメリットがあります。2人目の加入者はこの便益を電話網加入に伴う費用と比較して、実際に加入するかどうかを決定することができます。加入者が増えれば増えるほど、通信できる人が増えていくので電話網利用の便益は高くなり、新たな加入者を引き付けることになります。
また、ネットワーク外部性においては便益を生み出しているのが財・サービスそのものではなく、利用者側、しかも特定の利用者個人ではなく、利用者全体であるという特徴があります。電話網の例では電話そのものの性能ではなく加入者の数の変化により便益が変化します。
ネットワーク外部性が見られるのは通信ネットワークと関係している財・サービスにおいてだけではありません。PCでは、マイクロソフト社のWindowsが、OSの圧倒的シェアを維持し続けています。Windowsの方が他のOSに比べて量的に普及しているため、より多くの販売が見込めることから、ソフトウェア・ベンダーはWindows向けの製品を優先して販売します。その結果Windows用にはより多種類のソフトウェアが提供されるようになり、ユーザーにとってもソフトウェアの選択肢が増えるため、Windowsを選ぶメリットが高まります。同様の効果を持つものにビデオやDVDプレイヤー、家庭用ゲーム機、クレジットカードなどがあります。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法(2018年)
- 戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ(2019年)
- 戦略ケース 自動車メーカーの生き残り戦略 ―移動システム産業で成功するためには(2018年)
- JMRからの提案 キャッシュレス競争の勝者は?―プラットフォーム視点で分析(2019年)
- JMRからの提案 流通業と2サイドプラットフォーム(2007年)
関連用語
おすすめ新着記事

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。

「食と生活」のマンスリーニュースレター 食卓に浸透する市販の惣菜 4割弱が週1回以上惣菜を購入
流通にとって重要性を増しているといわれる「惣菜」について調査を行った。週1回以上惣菜を購入する人や4割弱、今後の購入意向のある人は7割にのぼり、とくに上の年代で意向が高い。さらに、惣菜の購入はチャネルの利用意向にも影響を与えているという結果がみられた。



