サントリーホールディングスの2023年12月期の連結決算は、売上収益3兆2,851億円(酒税込み・前年同期比10.6%増)、営業利益3,172億円(同14.7%増)と増収増益となった。原材料費や物流費などサプライチェーンコストの高騰が続くなど、厳しい経営環境ながら、グローバルな食品酒類総合企業としての強みを発揮、業績予想を大きく上回り、売上収益・営業利益ともに過去最高を達成した。売上比率で48%を占める「飲料・食品」セグメントについては、国内で水、コーヒー、無糖茶カテゴリーを中心にコアブランド強化方針の下、新商品発売やマーケティング活動が奏功、記録的な猛暑も寄与し、過去最高の販売数量を達成。アジアパシフィック、欧州、米州の各エリアでもコアブランド集中活動・マーケティング強化などにより堅調に推移、セグメント全体で売上収益・営業利益ともに前年同期を上回った。売上比率42%の「酒類」セグメントでは、海外でアジアや欧州を中心に売上が伸長、国内では4月新発売の「サントリー生ビール」ブランドが好調に推移、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランド、「パーフェクトサントリービール」ブランドも伸長し、ビールカテゴリーが大きく伸長。セグメント全体では大幅な増収増益となった。その他セグメントは、健康食品事業では「ロコモア」「VARON」ブランドなどが好調、外食事業の売上収益も好調に推移し、売上・利益ともに前年を大きく上回った。現在、目指す姿として「世界で最も信頼され、愛される、オンリーワンの食品酒類総合企業」を掲げており、酒造メーカーと清涼飲料メーカーを兼ね備えるユニークネスを活かし、「RTDで世界一の企業になる」ことを目指している。2024年12月期は市場環境の変化に迅速に対応し未知なる価値の創造へ挑戦するとともに、さらなる成長と収益力の強化を図り、売上収益(酒税込み)3兆4,500億円(前年同期比5.0%増)、営業利益3,200億円(同0.9%増)を見込む。
企業活動分析レポートのダウンロード
- バックナンバー
企業活動分析に関する基調論文
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ ePOPで成熟ブランドのリブランディング― 2022年春の提案(2022年)
- MNEXT 2022年の消費の読み方-価値拡張マーケティング(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法(2018年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- 戦略ケース クラフトビールはさらなる成長エンジンを見つけられるのか(2017年)
- 戦略ケース 復活するサントリーの洋酒事業 (2013年)
- 戦略ケース ビール3社の震災後マーケティング (2011年)
- 戦略ケース 出荷量過去最低でも全社営業増益 2008年のビール市場と2009年の展望(2009年)
- 戦略ケース コーヒーショップとのコラボ展開 サントリー、UCC(2008年)
- 戦略ケース 価格据え置きでサッポロ逆転 サントリーのビール事業、黒字化なるか(2008年)
- 戦略ケース 「最高の週末」提案し驚異の成長続ける「ザ・プレミアム・モルツ」(2007年)
- 消費者調査データ ノンアルコール飲料(2022年3月版) 拡大する市場、「オールフリー」「ドライゼロ」認知や飲用経験増加
- 消費者調査データ RTD(2022年2月版) 「氷結」「ほろよい」の2強に「檸檬堂」「贅沢搾り」はどこまで迫るか
- 消費者調査データ コーヒー飲料(2021年2月版) 安定の「BOSS」、追う「ジョージア」
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター コロナ禍で存在感放つプレミアム系ビール(2021年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 酒税改正でどうなる!?家呑みカテゴリー間競争(2020年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 試し飲みされるストロングビール 味訴求でロイヤリティ獲得が今後の鍵(2018年)
競合他社の業績と比較分析する
おすすめ新着記事
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。