サントリーホールディングスの2018年12月期の連結決算は、売上高2兆5,173億円(酒税込み・前年同期比4.0%増)、営業利益2,509億円(同1.1%減)と増収減益となった。海外事業や米蒸留酒大手のビームサントリーやRTDなど「酒類」に加えて、天然水やコーヒー飲料が好調で売り上げは拡大した一方、「飲料・食品」で人手不足などを背景とする物流費の高騰が響いた。売上比率で51%を占める「飲料・食品」は、「サントリー天然水」ブランドが、主力のミネラルウォーターに加え「スパークリング」が大きく伸長したことで前年を上回り、コーヒー飲料では「クラフトボス」が好調を維持した。そのため「飲料・食品」は売上は4.9%増となったが、営業利益は2.5%減となった。売上比率で40.4%の「酒類」はバーボンウイスキーが好調、チューハイやハイボール缶などのRTDは前年同期比10%と2桁増。ビール類も市場全体が4%程度縮む逆風下で、主力の「ザ・プレミアム・モルツ」が"神泡"プロモーションの影響などで前年比プラスとなったことなどから、2%減に踏みとどまった。2019年は、新ジャンル主力の「金麦」をフルリニューアル、同カテゴリで新製品も発売する。さらに自社蒸留所でつくられた原酒をブレンドしたウイスキー「碧 Ao」を発売。その他セグメントでは「セサミン」などのサプリメントや、外食などの積極展開を図る。減益要因となった物流費については、長期的な視点から人工知能(AI)やロボットのフル活用などデジタルテクノロジーを活用しての費用削減を目指す。2019年12月期は、売上高が2%増の2兆5,700億円、営業利益が0.1%増の2,510億円を見込む。
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- 戦略ケース 復活するサントリーの洋酒事業 (2013年)
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