半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2007.11)
「最高の週末」提案し驚異の成長続ける
「ザ・プレミアム・モルツ」



 サントリー・ザ・プレミアム・モルツの06年販売実績は、前年比437%の550万函、07年は8月段階で前年実績をクリアした。このように驚異的な成長を続ける「ザ・プレミアム・モルツ」について、昨年5月までプレミアム戦略部長としてマーケティングの指揮を執られ、現在は首都圏営業本部営業企画部長である松岡一衛氏にお話をうかがった。

構成
1.倍々ゲームで構成比1割に達したプレミアムビール市場
2.前年比4倍増を達成した「ザ・プレミアム・モルツ」成功の軌跡
(1)新ジャンルに振れた市場の潮目をいち早く捉える
(2)最高金賞をバックボーンにオケージョンを提案<
(3)銀座・新地を核に「プレミアム営業部」で攻める
(4)コア層を核に周辺を取り込む
(5)社長の旗振りと集中投資
3.急成長後の課題と展開


1.倍々ゲームで構成比1割に達したプレミアムビール市場
─── まずは新ジャンルも含めた現在のビール市場と、そのなかでのプレミアムビール市場についておきかせください。
ビール・発泡酒・新ジャンル市場(2001~2007年)
サントリーニュースリリースより
松岡氏 ご存じのようにビール市場はシュリンクを続けており、昨年もビール全体は前年を若干割り込んでいます。今年は各社いろいろ新製品を出しましたが、ビール市場は新製品で新たにポジションをとるとかカテゴリーを確立するのが難しい市場で、今年の新製品も既存品と入れ替わっただけで残念ながら需要増分にはつながりませんでした。この猛暑でも全国、全社ベースでほぼ前年並みです。
 その中で、「ザ・プレミアム・モルツ」をはじめ、「ヱビスビール(以下ヱビス)」、アサヒさんの「プライムタイム」などが属するプレミアム市場は急速に伸びています。04年以前はビール市場の構成比で1~2%でしたが、05年には5%前後、今年8月現在8%ほどで、3年間で3倍ぐらいになっています。
 これには料飲店の樽生も含まれていますので、家庭用消費がほとんどを占める缶ではもう1割を超えていて、プレミアムビールは完全にカテゴライズされたと思っています。

─── 市場は急成長していますが、競合他社の参入も活発です。
松岡氏 プレミアム市場は成長期ですから、ある程度参入がなかったら伸びません。ラインナップが広がるということは、カテゴリー全体を加速度的に広げていく効果があると思います。
 そうなると当然トライアルも増えてきます。例えばキリンさんのファンの方でしたら、キリンさんのプレミアムビールを試されるでしょうし、同じプレミアムということで「ザ・プレミアム・モルツ」にトライしてくださる方も出てくるでしょう。
 それに、プレミアム市場は、新ジャンルのように店頭でいかに大量陳列するかの陣取り合戦をするカテゴリーではありません。新ジャンルだと、価格も手ごろですからちょっと試しにということでブランドスイッチが簡単に起こります。プレミアムカテゴリーは、衝動買いが少ない代わりに飲まれたら定常化するチャンスがある商品ですから、店頭フェイスが広がるということはものすごく大事なことです。
 ですから、我々が「ザ・プレミアム・モルツ」を売り出すときに一番最初に「プレミアムビールコーナーをつくりませんか」と、ご提案しました。そのコーナーには、「ヱビス」も、キリンさんのチルド系も入れましょう、もちろんその真ん中には「ザ・プレミアム・モルツ」を大きく置いてください、というご提案です。
 お陰様でプレミアム市場は急拡大していますが、この伸び率のほぼ過半は「プレミアム・モルツ」が乗った分です。「ザ・プレミアム・モルツ」は倍増のピッチで増えていて、去年1年間の販売総量はこの8月でもう販売いたしましたので、あと4ヶ月強は、上乗せの期間になります。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)へのご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員ご登録についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。



新着記事

2024.10.10

24年8月は「完全失業率」は改善、「有効求人倍率」は悪化

2024.10.09

24年8月の「消費支出」は4ヶ月連続のマイナスに

2024.10.09

24年8月の「家計収入」は4ヶ月連続のプラス

2024.10.08

企業活動分析 味の素の24年3月期は販売単価の上昇や為替の影響で過去最高益を更新

2024.10.07

MNEXT 価値の根拠は何か―欲望を充当するもの(要約版)

2024.10.07

企業活動分析 株式会社ニトリHD24年3月期は決算期変更の影響もあり減収減益

2024.10.04

消費者調査データ 紅茶飲料(2024年10月版) 首位「午後の紅茶」、「紅茶花伝」に水をあける

2024.10.03

24年9月の「乗用車販売台数」は2ヶ月ぶりのプラス

2024.10.02

24年8月の「新設住宅着工戸数」は4ヶ月連続のマイナス

2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2024.09.30

企業活動分析 しまむらの24年2月期は全事業で既存店1店舗当たりの売上高が上昇し増収増益へ

2024.09.30

企業活動分析 ファーストリテイリング23年8月期は売上・営業利益ともに3期連続で過去最高を達成

2024.09.30

消費からみた景気指標 24年7月は7項目が改善

2024.09.30

24年8月の「ファーストフード売上高」は42ヶ月連続のプラスに

2024.09.30

24年8月の「ファミリーレストラン売上高」は30ヶ月連続プラス

2024.09.27

24年8月の「コンビニエンスストア売上高」は9ヶ月連続のプラスに

2024.09.27

24年8月の「全国百貨店売上高」は30ヶ月連続のプラス、高額品やインバウンドがけん引

2024.09.27

24年8月の「チェーンストア売上高」は既存店で再びプラスに

2024.09.26

24年7月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.09.26

24年7月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のプラス

2024.09.25

24年7月の「商業動態統計調査」は4ヶ月連続のプラス

2024.09.24

MNEXT 価値で捉え、群れ集団を狙えー2025年のマーケティング

2024.09.24

24年8月の「景気の先行き判断」は5ヶ月ぶりに50ポイント超え

2024.09.24

24年8月の「景気の現状判断」は6ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.09.20

消費者調査データ ミネラルウォーター(2024年9月版) 全項目首位「サントリー 天然水」、リピート意向の高いPB

週間アクセスランキング

1位 2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2009.05.08

中国市場の現在 世界一は中国一になれるか?-ウォルマートの上海進出

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area