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公開日:2021年02月02日

特集:コロナ禍の消費を読む
消費動向速報 復活への兆しが見え始めた選択的耐久財・サービス需要
主任研究員 菅野守


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 コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。


上昇傾向が続いていた選択的支出の伸びも、水面下からの脱出を目前に一服感がみられた。
基礎的支出では、感染対策支出や宅内充実支出の伸びが続いている。他方、外食の一部では回復の動きが見えていたが、「Go To Eatキャンペーン」の停止などにより、回復の兆しも頓挫している。
選択的支出でも宅内充実支出の伸びが続く。クルマの購入やクルマ関連商品への支出、塾や予備校などの教育関連サービスへの支出といった、選択的耐久財・サービスに対する需要も復活しつつある。

1.上昇傾向にあった選択的支出の伸びにも一服感

 選択的支出の伸びは上昇傾向を保ってきたが、直近では一服感がある。

 選択的支出の伸びは2020年5月を底に反転上昇し、上昇傾向を保ってきた。2020年10月には-1.5%を記録、あと一歩でマイナスを脱するところだったが、直近の11月には、マイナス幅は再び拡大する結果となっている。他方、基礎的支出の伸びは、ゼロを挟んでの上下動が続いており、直近の2ヶ月間はプラスを保ってきた(図表1)。


図表1.基礎的支出と選択的支出の前年同月比伸び率の推移

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 消費支出に対する選択的支出の構成比も、2020年5月を底に上昇傾向を保ってきたが、2020年10月に42.6%となったのをピークに、一旦小休止となった(図表2)。


図表2.基礎的支出と選択的支出の構成比の推移

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2.基礎的支出で伸びが続く感染対策支出や宅内充実支出、回復の兆しが頓挫した外食

 基礎的支出では、感染対策支出や宅内充実支出の伸びが続いている。他方、外食の一部では、直近では回復の動きも垣間見えた。

 図表3は、2020年11月に基礎的支出の中で特に伸びている品目を示している。基礎的支出の品目のうち、2020年5月、8月、11月のいずれかで月あたり支出金額が1,000円以上のもので、前年同月比伸び率の値の上位15位以内の項目を分類した。


図表3.基礎的支出における前年同月比伸び率の上位品目

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 2020年5月と8月はマイナスだったが、2020年11月にプラスに転じたものは、「すし(外食)」の1項目である。「すし」などの外食のプラス転換に大きく寄与したとみられるのが、10月1日から開始した「Go To Eatキャンペーン」である。だがその後、コロナ感染の再拡大で、11月下旬以降、「プレミアム付き食事券」の新規販売停止の地域が拡大し、現在に至っている。コロナ下で壊滅的な打撃を受け、不振が続いていた外食に、回復の兆しがみられた矢先に、再び急ブレーキがかかってしまった。

 2020年5月、8月、11月に基礎的支出の伸びが一貫してプラスとなったものは、「保健用消耗品」「他の家事用消耗品のその他」「他の調味料」「牛肉」の4品目である。前の2つは、感染対策支出の項目である。後のふたつは食に関する支出の項目であり、コロナ下で宅内充実に寄与してきたものでもある。

 2020年8月以降プラスに転じたものは、「火災・地震保険料」「設備器具」「民営家賃」「他の入院料」「上下水道料」「プロパンガス」「ケーブルテレビ放送受信料」「年極・月極駐車場借料」「医療保険料」の9品目である。これらの項目の多くは、公共料金、家賃や賃借料、保険料などのように、具体的な財の購入というよりはむしろ、日常生活での必要経費に類する支出といえる。


3.選択的支出でも伸びが続く宅内充実支出、復活するクルマ関連支出と教育関連サービス支出

 選択的支出でも、宅内充実支出の伸びが続いている。加えて、クルマの購入やクルマ関連商品への支出、塾や予備校などの教育関連サービスへの支出等も、復活しつつある。

 2020年11月に選択的支出の中で特に伸びている品目に着目し、選択的支出の品目のうち、2020年5月、8月、11月のいずれかで月あたり支出金額が500円以上のもので、前年同月比伸び率の値の上位15位以内の項目を図表4に分類した。


図表4.選択的支出における前年同月比伸び率の上位品目

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 2020年8月以降プラスに転じたものは、「授業料等:国公立大学」「授業料等:私立大学」「保育費用」「自動車等関連用品」「住宅関係負担費」「インターネット接続料」の6品目である。「自動車等関連用品」以外の5項目は、授業料、保育費用、住居関連費用などのように、日常生活での必要経費に類する支出といえる。

 2020年5月と8月はマイナスだったが、2020年11月にプラスに転じたものは、「高校補習教育・予備校」「自動車購入」の2項目である。「自動車購入」がプラスに転じたことは、8月以降「自動車等関連用品」でプラスの伸びを保っていることともあわせて、クルマ関連支出の復活を示唆するものといえる。また、「高校補習教育・予備校」には、塾や家庭教師、予備校などの私的な教育関連サービスへの支出が含まれている。

 2020年5月、8月、11月に選択的支出の伸びが一貫してプラスとなったものは、「電気洗濯機」「植木・庭手入れ代」「他の仕送り金」「浴用・洗顔石けん」「パソコン」の5品目である。前の2つは家事の効率化や外部化のための支出項目であり、コロナ下で宅内充実に寄与してきたものでもある。「パソコン」は、テレワークの拡大に伴い、需要が長く続いている。


 選択的な耐久財やサービスに対する需要が足許で復活しつつあることは、コロナ後に向けた消費の新たな兆しとしても、注目されるところだ。



特集:コロナ禍の消費を読む


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