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公開日:2020年10月15日

気になるあの街に行ってみた! Vol.1 渋谷
いつ行っても工事中!若者から大人の街へとシフトし始めた渋谷再開発の今を巡る!(前編)
文・撮影/東郷奈穂子


 新型コロナウイルス一色に染まってしまった今年の上半期。2月頃からザワザワし始め、3月に入り、なんかヤバいんじゃない?と危機感を覚えたのも束の間、4月には緊急事態宣言が発令。日本も例外なくパンデミックに飲み込まれ、東京の繁華街からは嘘のように人が消えました。

 その様子を顕著に伝える場所として、多くのテレビ局が放送し始めたのが、渋谷のスクランブル交差点の映像。『今日の渋谷スクランブル交差点は人並みもまばらです...』。そんな風に、同じ場所が毎日映し出されるものだから、渋谷の街がどんどん寂しくなっていく様子が手に取るようにわかり、ついには、その日の歩行者の人数まで数えられるようになっていました。でも、そんな珍しい渋谷の風景に驚いたのは最初のうちだけ。しばらくすると、さすがに見慣れて、ほとんど気にも留めなくなりましたが...。

 一方で、嫌というほど見せられるうちに、渋谷スクランブル交差点という場所は、どんなに再開発が進もうとも、渋谷にとっては不動の存在なのだと実感したのも事実です。少し前まではインバウンドがワンサカ集まり、交差点のど真ん中に立ち止まっては写真や動画を撮っていた大人気の撮影スポットだったのに、コロナの影響で、今はそういったインバウンドはほぼ皆無。しかし、世界中で知られる「世界で最も有名な交差点」であることには違いないので、渋谷=スクランブル交差点という図式は、どんな時代になろうと、どんな状況になろうとも変わることなく、今でも確固たる渋谷のシンボルとして君臨しているのだということにも気づかされました。


 1960年代半ば、経済成長と交通網の整備のおかげで、いち早く百貨店を開業した新宿や銀座は瞬く間に商業地として賑わうようになりました。しかし、谷あいの小さな街だった渋谷は、百貨店が誕生するまで素通りされていたといいます。

 そんな渋谷に、最初に百貨店を開業したのが「丸井渋谷店」(1967年)。次いで「東急百貨店」(同年)、「西武百貨店」(1968年)。わずか1、2年の間に三つの百貨店が開業したことで、渋谷は一気にお買い物タウンへと飛躍したのです。さらに、「渋谷パルコ」(1973年)の誕生でセンター街に若者が集まるようになったのを機に、駅前の交差点がスクランブル化し、この時から渋谷は流行発信地としてのブランドを確立させたのです。

 約50年に渡り、街の歴史を見守り続けてきたスクランブル交差点。ことに、スクランブル交差点から延びる渋谷センター街や若者のファッションビル「109」を自分たちの遊び場にしてしまったアムラー、子ギャル、ヤマンバ、チーマーなどの存在は、昭和・平成の歴史を語るうえでは欠かせないカルチャーといえます。

 今、渋谷は大規模な再開発プロジェクトが進行中です。

 2012年、「渋谷ヒカリエ」が誕生した時は、本気で渋谷を大人の街にしようとしてるな...と感じたのを覚えています。続けて、「渋谷キャスト」「渋谷ストリーム」など、ニョキニョキと建設された高層ビル群は、どれも若者たちの居場所を避けるように誕生。それはまるで、『スクランブル交差点周辺は、どうぞそのまま若者たちの遊び場にしてください。その代わり、それ以外の場所は、オシャレでカッコいい大人の渋谷にさせていただきますね』と、ビル群が若者たちを窘めているかのようにさえみえます。

 そんな大人な渋谷を真正面からコンセプトにしているのが「渋谷フクラス」。2019年に渋谷駅西口の「東急プラザ渋谷」跡地に誕生した複合施設です。「東急プラザ渋谷」も、2階から8階に入居。閉館から4年8ヶ月を経て復活しました。商業施設ゾーンを手掛けたのは、世界的デザイナーの森田恭通氏。ターゲットは"都会派で感度が高い成熟した大人たち"。狙いは完全に大人です。

 このビルの目玉は、なんといっても「SHIBU NIWA」と名付られた17階のルーフトップガーデン。無料で出入りできる展望スペースです。敷地内にハイセンスなカフェバーを有するこの屋上から、若者が闊歩するスクランブル交差点を見下ろせば、自分がちょっぴり余裕のある大人に思えるかもしれません。さらに、1階のバスターミナルでは、一般路線バスに加え、羽田・成田空港にアクセスできる空港リムジンバスの運行もスタート。グローバルワーカーな大人たちをも引き寄せています。


渋谷フクラス
渋谷フクラス

 そして、やはり2019年11月に第一期東棟として開業したのが「渋谷スクランブルスクエア」。地上47階地下7階からなる渋谷で最も高いビルとして誕生。このビルが開業した時は、高層ビルの大トリの登場とでもいうべき貫録を備えていました。高さが自慢ですから、もちろん、ここの目玉も45階から屋上にかけて作られた展望施設「SHIBUYA SKY」。地上約230メートルの日本最大級のオープンエアです。ここから見下ろすスクランブル交差点は、もはやジオラマの世界。その高さを実感します。最上階の47階は、芝生が敷かれた憩いの場になっているので、天気のいい日のお昼や夕暮れ時は特にオススメ。こちらの展望台は有料で大人2,000円しますが、チケット代を払う価値あり、と評判も上々です。エレベーターの天井に映し出される宇宙空間のような映像に誘われ超高速で屋上に到着。芝生広場で味わったことのないオープンエアの風を感じた瞬間、なんともいえない開放感に包まれます。

 ひとつ下の階はカフェを併設した屋内展望施設になっており、流行りのフィットするソファ「Yogibo(ヨギボー)」に座りながらリラックスできる空間に。さらに下の階のお土産コーナーには、完全にインバウンドを狙ったハイセンスな和風グッズが数多揃っているので、コロナが収束した暁には、世界でも指折りの観光地になるに違いないと確信しました。ちなみに、第二期西棟の開業予定は2027年というから、渋谷スクランブルスクエアはまだまだサグラダファミリア状態が続くようです。

 また、この10年、高層ビルばかりが林立するせいで見落としがちですが、実は地上でもステキな再開発が行われていました。それが、約600メートルにわたる渋谷川沿いの遊歩道。2018年、官民連携で「渋谷リバーストリート」を誕生させました。これまで、ほとんど水が流れていなかったどぶ川状態の渋谷川に水流を作り、その両サイドに遊歩道を整備。渋谷駅南街区プロジェクトの再開発で生まれた高層ビル「渋谷ストリーム」と東横線の線路跡地を再生した「渋谷ブリッジ」をつなげる道として、また代官山との橋渡しをする散歩道としてイケてる大人たちから注目されています。


渋谷リバーストリート
渋谷リバーストリート

 かつては、「谷」に「渋谷川」が流れていた渋谷は、その地名からもわかるように、どことなく込み入ったごちゃごちゃした街を形成してきた歴史があります。それが、大変貌を遂げようとしているのですから、工事もそんなに簡単には終わらないわけです。今回の再開発は、起伏の激しい谷の地形をスムーズにつなぐためのエスカレーターやエレベーターなどの縦軸アクセス(アーバン・コア)をクリアしながら、新しい複合ビルの建設だけでなく、街の動線をも考慮した大がかりな街づくりに着手。「渋谷マークシティ」「渋谷ヒカリエ」「渋谷ストリーム」「渋谷スクランブルスクエア」をつなぐアーバン・コアのおかげで、渋谷の街はひとつの大きな回遊式タウンに変身しようとしています。それは同時に、駅構内やバスターミナルの利便性も向上。

 これまで、スクランブル交差点に集中していた人並みを見事に拡散し、渋谷の象徴であるスクランブル交差点を守りつつも、大人の街への一歩を踏み出したのです。


アーバンコア
アーバンコア

 そして、渋谷再開発ラッシュの最新スポットであり、おそらく第一期再開発ラッシュのゴールでもある「レイヤード ミヤシタパーク」が、2020年8月4日、コロナの影響により約1ケ月遅れで開業。これまでの高層ビルとはまったく異なるエンターテインメントな新スポットとして誕生しました。目玉は、全国のふるさとの味を一同に集めた「渋谷横丁」というフードエリア。次回は、そんなオシャレな空間と昭和スタイルが共存するユニークな渋谷の最新スポットに注目します。


>> 後編(レイヤード ミヤシタパークに行ってみた!)


今回訪ねた街はコチラ!

著者プロフィール

東郷奈穂子

放送作家。
日本脚本家連盟、日本放送作家協会会員。
コピーライターから放送作家に転身後、日本テレビ「11PM」でデビュー。番組における最初で最後の女性作家に。テレビ、ラジオ、イベントなど数々の番組等に関わり、1993年渡米。NY、イスラエル、ロンドンでの約7年の居住を経て帰国。その後は、番組構成をはじめ、雑誌ライター、書籍の執筆、イベント運営など、幅広く活動している。既婚。2児の母。

コピーライター作品「フルムーン旅行」
放送作家作品「テレビ東京/出没!アド街ック天国」ほか


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