ニーズ(needs)とは、コトラーによれば人間の基本的要件、すなわち、人間が生きていく上で基本的に必要となる条件を指します。例えば、食料、空気、水、衣服、風雨を避ける場所、教育、娯楽などがニーズです。
ニーズは欲求とは異なります。ニーズが特定の物に向けられたものが欲求で、例えば、食料というニーズがある時、そのニーズを満たすためにハンバーガーを欲するというのが欲求です。さらに、特定の製品に対する欲求が需要であり、買う気があってしかも実際に買うことができる人がどのくらいいるか、ということになります。
ニーズと対比的に使われる言葉にシーズ(seeds)があります。シーズとは企業がもっている材料や技術、アイディアなどを指します。顧客(お客様)が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズ、企業が「こんなものを提供したい」と思うのがシーズと言うことができます。
マーケティングにおいて、顧客のニーズに重点を置き、ニーズを満たす製品を作ろうとする発想をニーズ発想(ニーズ志向)と言います。あらかじめ顧客ニーズを把握しておき、そのニーズを満たすにはどのような商品やサービスが必要かを考え、開発します。
これに対し、シーズに重点をおくのがシーズ発想のマーケティングで、企業は自社の材料や技術で作ることができ、作りたいと思う製品を開発します。シーズ発想の製品は、顧客のあいだに既に存在しているニーズを満たそうとはしませんが、顧客自身が認識していない潜在的ニーズを掘り起こす画期的商品になることもあります。ただし、技術のみが先行すれば、消費者が必要としていない商品を提供することになり、顧客の支持が得られない場合もあるため、企業は商品開発に当たりニーズとシーズを一致させることが課題となっています。
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