
コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
ネット購買はコロナ下で伸長を続けてきたが、その勢いは足許で鈍化傾向にある。個別品目でのインターネットを利用した支出金額の伸びをみても、ネット購買の伸びの鈍化は鮮明となっている。
1.ネット購買の伸びは鈍化傾向
ネット購買の勢いは足許で鈍化傾向にある。
総務省公表の「家計消費状況調査」によると、二人以上世帯でのインターネットを利用した支出総額は、2020年6月をピークに減少が続いている(図表1)。
図表1.インターネットを利用した支出総額の推移
ログインして図表をみる
支出総額の前年同月比増加率も、2020年6月をピークに低下し続け、直近の2020年9月時点では+2.6%にまで落ち込んでいる(図表2)。
図表2.インターネットを利用した支出総額の前年同月比増加率の推移
ログインして図表をみる
2.ネット購買鈍化の気配は品目レベルでも広がりつつある
個別品目でのインターネットを利用した支出金額の伸びをみても、ネット購買の伸びの鈍化は鮮明となっている。
「インターネットを利用して購入した財(商品)・サービス」計20品目のうち、2020年5月から2020年9月までの5ヶ月間で前年同月比増加率がプラスとなった15品目だった。そのうち増加率の推移に着目すると、その値が+50%以上の品目は2020年5月に15品目中7品目、2020年6月に9品目、2020年7月に6品目、2020年8月には8品目あった。しかし、2020年9月時点では4品目にまで減っている。他方、増加率の値が+20%未満の品目は、2020年5月から8月にかけては1品目有るか無いかであったのが、2020年9月には4品目にまで増えている(図表3)。
図表3.最近5ヶ月間を通してインターネットを利用した支出金額が増加した品目
ログインして図表をみる
伸びてきたネット購買の勢いにも、鈍化の気配が広がりつつある。
特集:コロナ禍の消費を読む
- MNEXT 眼のつけどころ 市場「アップダウン」期のマーケティング戦略―コロナ後、消費の反発力はどこへ向かう?(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナの出口シナリオとV字回復戦略―日本の「隔離人口」は約39%(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 2021年「消費社会白書」の中間総括 「きちんとした」私と「ヒトとの結縁」を守る価値へ転換―id消費へ
- MNEXT 眼のつけどころ 新型コロナ禍で消費はどう変わるか-シンクロ消費と欲望の姿態変容
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第125号 認知率100%!ウィズコロナ時代を楽しむ「GoToキャンペーン」
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第122号 働き方の多様化が後押しするデリバリーサービス利用
- 企画に使えるデータ・事実 消費支出
- 企画に使えるデータ・事実 旅行業者取扱高
- 消費からみた景気指標
参照コンテンツ
- JMRからの提案 月例消費レポート 2020年11月号 消費は再び落ち込み、低迷が続いている(2020年)
- JMRからの提案 コロナ禍で強まる「外からウチへ」の消費者行動変容と消費の「イエナカ・シフト」(2020年)
- MNEXT 眼のつけどころ 新型コロナ禍で消費はどう変わるか-シンクロ消費と欲望の姿態変容(2020年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ危機をどう生き残るか-命を支える経済活動を守る戦いへ(2020年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第120号 "ウィズ・コロナ時代の新たな食生活 増える女性の調理負担
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第119号 "自粛"で変わる購買行動とライフスタイル
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 特別編
新型コロナウイルスのインパクト!コロナは購買行動にどのような影響を与えた!?
おすすめ新着記事

人種のるつぼ「川口市」 "本当に住みやすい街"は流通戦略の新たなモデルケース
テレワークの定着で職住分離が進み、生活者のライフスタイルが変化。それに伴い、人気のエリアも変わってきている。なかでも注目の街が、東京都北区に隣接する埼玉県川口市だ。川口市は、2021年度の税収が当初見込みより34億円上回る943億円になることを発表。コロナ禍で税収が落ち込む自治体が多いなか、バブル期以来の増額補正となった。買い物面では、都市型店舗と郊外型店舗が同居する"買住近接"エリアだ。居住者も多様で、ファミリーからシニア、日本人と外国人など、様々なライフスタイルが共存。多様性の街「川口市」には、今後の流通戦略のヒントを見出すことができる。

5G(第5世代移動通信システム)
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、通信規格の名称。現在の「4G」に続く最新の規格で、日本では2020年3月から商用化が開始された。4K/8Kの高精細映像などの大容量コンテンツの伝送や、自動運転や遠隔ロボットへの活用、IoTの普及などが期待されている。

テイクアウト、デリバリーで伸びる洋風ファーストフード
コロナ禍で外食全体が苦戦するなか、ハンバーガーチェーンなどの洋風ファーストフード業態は、コロナ前の2019年と比較しても116.2%と伸長している。原動力となったのは、感染症対策がしやすく、テレワークなど働き方・ライフスタイルの変化に伴うテイクアウトやデリバリーの拡大だ。原材料の値上がりや、健康意識、環境配慮意識の高まりなどの不安要素はあるものの、今後も成長が期待される業態だ。



