半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2022年09月22日

月例消費レポート 2022年9月号
消費は改善基調を保っている-値上げの悪影響は続く気配
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

 消費は改善基調を保っており、先行き不透明感も徐々に払拭されつつある。
 支出全般はプラスを保ち、小売販売もプラスが続く。外食でも改善の動きが続いており、コロナ感染拡大の悪影響もみられない。耐久財では低迷が長期化しているが、一部で改善の動きも出始めている。
 雇用環境と収入環境は改善基調を保ち、マインドの悪化にも歯止めがかかっている。
 コロナ感染拡大もピークアウトしたとみられ、消費への悪影響の懸念も徐々に後退しつつある。
 ただし、食費や光熱費など一部で値上げの悪影響が続いており、10月以降も数多くの品目で値上げが予定されている。
 消費はこの先、少なくとも年内一杯は、値上げの悪影響が続きそうだ

 JMR消費INDEXは2022年7月に66.7となり、前月6月よりも改善した。近似曲線も、上昇トレンドを維持している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、7月は支出関連3指標全てが改善しており、販売関連10指標で改善した項目数は6月と同じである(図表2)。

 消費支出の伸びは、名目と実質ともにプラスとなっている(図表4)。

 10大費目別では、2022年7月は、名目ではプラスが9費目を占め、実質でもプラスの側が優勢である。光熱・水道や食料は、名目ではプラスだが実質ではマイナスとなり、値上げの悪影響が続いている(図表5)。

 販売現場では、小売業全体の売上は5ヶ月連続のプラスである。

 チャネル別では、業態間での好不調の格差が続いている。百貨店、コンビニ、ドラッグストアはプラスが続き、ホームセンターはマイナスが続いている(図表9図表10)。

 外食売上は、全体では8ヶ月連続のプラスである。

 業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、5ヶ月連続のプラスである(図表18)。

 新車販売では、2022年7月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスとなっている(図表11)。

 家電製品出荷については、2022年7月は、白物家電は総じてプラスとなっているが、黒物家電は一部の財を除き概ねマイナスが続いている。情報家電は、スマートフォンでプラスが続いているが、ノートPCはマイナスが長期化している(図表12図表13図表14)。

 新設住宅着工戸数は、全体では3ヶ月連続のマイナスである。

 利用関係別では、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いているが、分譲住宅・マンションは再びマイナスとなり、持家はマイナスが続いている(図表15)。

 三大都市圏別の推移をみると、持家は、全ての地域でマイナスとなっている。マンションでは、その他の地域はプラスだが、近畿圏は再びマイナスとなり、首都圏と中部圏ではマイナスが続いている(図表16図表17)。

 雇用は改善基調を保っている。完全失業率は横ばい、有効求人倍率は改善が続く(図表6)。

 収入も、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。

 消費マインドについても、2022年8月には悪化の動きに歯止めがかかった。景気ウォッチャー現状判断DIも消費者態度指数も、ともに上昇に転じている(図表8)。

 総合すると、消費は改善基調を保っており、先行き不透明感も徐々に払拭されつつある。

 消費支出など支出全般はプラスを保っている。

 日常生活財のうち、小売販売では、業態間の格差が残ってはいるものの、全体の売上はプラスが続いている。外食では、7月に入ってからも改善の動きが続いており、コロナ感染拡大第7波の悪影響も今のところはみられない。

 耐久財では、概ね低迷が長期化してはいるが、白物家電やスマートフォンなど一部では改善の動きが出始めているようだ。

 雇用環境と収入環境は改善基調を保っている。マインドの悪化にも歯止めがかかっている。

 専門家の間からも「コロナ感染拡大第7波のピークは越えた」との見方も示されており、消費への悪影響の懸念も徐々に後退しつつあるようだ。

 ただし、食費や光熱費など一部で値上げの悪影響が続いており、10月以降も数多くの品目で値上げが予定されている。

 消費はこの先、少なくとも年内一杯は、値上げの悪影響が続きそうだ。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

特集1.値上げの価格戦略

特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.26

消費からみた景気指標 24年2月は10項目がプラスに

2024.04.26

24年3月の「全国百貨店売上高」は25ヶ月連続のプラス、インバウンドや物産展が好調

2024.04.26

24年3月の「ファーストフード売上高」は37ヶ月連続のプラスに

2024.04.26

24年3月の「ファミリーレストラン売上高」は25ヶ月連続プラス

2024.04.25

月例消費レポート 2024年4月号 消費は足許で持ち直しの動きが見られる-「いつも通り」の消費の風景が戻ってくるようになれば消費回復の見通しもより確かなものに

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area