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公開日:2022年03月11日

女性が生み出す6.9兆円の市場
―アフタヌーンティーは都心高級ホテルを救えるのか
【第1回】
クリエイティブ・マネジャー 麻生友美


構成

    第1回(2022.03.11 公開)
  1. アフタヌーンティーで「ヌン活」を楽しむ女性たち
  2. 「ヌン活」女性の活動状況
  3. 都心ラグジュアリーホテルの取り込み状況
  4. 第2回(2022.03.22 公開)
  5. 危機下の都心ラグジュアリーホテルの生き残り
  6. 第3回(2022.03.29 公開)
  7. ホテルに学ぶ女性消費リーダーの取り組み

アフタヌーンティーで「ヌン活」を楽しむ女性たち

 たくさんの可愛いデザートや軽食が目の前に並べられ、お茶とともにゆっくりと優雅な時間を楽しめるアフタヌーンティー。それが近年「ヌン活」と呼ばれ、女性たちの間で話題になっている。依然コロナ禍の状況であっても、アフタヌーンティーを提供するホテルなどは予約が取れないほど賑わいを見せている。今回当社が独自に調査した結果では、アフタヌーンティーの推計市場規模は全国で約2,652億円と、予想外に大きいものであった。

 今回は、アフタヌーンティーの市場規模を推計し、その背景となる11時から17時の日中充実ニーズ、アフタヌーンティーを支える女性の行動を検証し、都心ラグジュアリーホテル(以下MLH)*1の経営状況を分析する。アフタヌーンティー市場は窮地のホテルを救うことができるのか。また、他業種の消費財メーカーが女性を攻略する教訓として学べることは何かを明らかにしたい。このコンテンツは、全国の女性5,963人の調査(2022年1月、20~69才)に基づくものである。


アフタヌーンティーの市場規模

 まずは、アフタヌーンティーの市場規模を推計した。アフタヌーンティー利用(ホテル以外含む)の市場規模推計は、全国で約2,652億円、1都3県で約872億円、東京で約319億円である。これは消費財のメインブランドの市場規模に匹敵し、レストランの1メニューとしては良い結果としてとらえることができる。しかし、アフタヌーンティーの効果だけが不況のホテルを立て直す打開策になるのかは微妙なところだ。

 MLH15ホテルのアフタヌーンティーの市場規模は全国で219億円、1都3県で108億円、東京では59億円である。東京の市場規模の18.5%を15ホテルが占めており、その貢献度は高い。しかし、最近は街場のレストランやカフェでも様々なバリエーションのアフタヌーンティーを展開している。それは、洋食に限らず、和食やインド料理、バーにも広がっており、その脅威は免れない(図表1-1)。


図表

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成長する日中充実市場―約6.9兆円

 女性にアフタヌーンティーが人気である背景には、「自分の時間を充実させたい」という願望がある。レストランで食事をしたい、アフタヌーンティーを楽しみたい、ショッピングを楽しみたい、そんな願望を叶える時間帯、11時から17時の日中充実市場規模を調べてみた(図表1-2)。


図表

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 11時から17時の充実意向の市場規模は、全国で6兆8,806億円、1都3県では2兆796億円、東京では8,376億円である。参考に他の産業では家電、ドラックストア、金属製品、ゲーム、半導体などが6兆円から7兆円の市場規模である。これは取り込むべき巨大市場である。

 MLHを1年内に利用した人(宿泊など含む)をベースにした市場規模は、全国で3,876億円(205万人)、1都3県では2,011億円(114万人)、東京では1,055億円(59万人)である。注目してもらいたいのは、MLH利用者ベースの日中充実ニーズは全国から1都3県、東京へと範囲が狭まるにつれて割合が高くなっている。これは、MLHがより効率的に取り込む余地があるということである。11時から17時の女性の日中充実ニーズを読み取れば、MLHは1都3県で2,011億円のビジネスを取り込める可能性がある。


「ヌン活」女性の活動状況

女性たちが活動する時間

 アフタヌーンティーを利用する女性たちは、いつ、どんな時に、充実させたいと考えているのか。ここでは、全国女性MLH利用経験者をベースに、利用者像について詳しくみていく(図表1-3)。


図表

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 まず、充実させたい時間の割合を平日か休日かで見てみると、休日の方が高い。

 休日の11時から17時は、全体的に大きなバラつきはないものの、ランチタイムの早い時間帯は子育て層の割合が高く、午後は既婚子なし層の割合が高い。職業別でみるとフルタイム勤務者、個人年収別では200万円から400万円未満の割合が高い。

 平日の11時から17時は子手離れ・子独立層、子育て層の割合が高く、専業主婦、個人年収は200万円未満の割合が高い。18時以降では、独身社会人、既婚子なし、フルタイム勤務者、個人年収は600万円以上が高い割合を示している。

 ここで言えるのは、休日の日中充実活動を行っているのは、休みを満喫したいフルタイム勤務者であるということだ。そして平日の日中充実活動を主に行っているのは専業主婦であり、子供に手をかけなくてよい合間の時間帯、あるいは子供が手離れし、自由な時間を利用して楽しもうとしている層だと言える。


女性たちがやりたいこと

 次に、充実したい時間を利用して何をしたいのか、11時から17時を充実させたい女性をベースに属性別にみてみる(図表1-4)。


図表

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 1位はレストランで食事をする(62.8%)、2位はアフタヌーンティーを楽しむ(57.3%)、

 3位はショッピングを楽しむ(55.4%)という結果であった。実施したい活動を五つ以上答えた人は、属性別に見ても全体的に大きく差はないが、活動を叶える為のある程度の経済力と時間に比例していると推測できる。


都心ラグジュアリーホテルの取り込み状況

 こうした女性たちをMLHはそれぞれどの程度取り込めているのか。

 女性1都3県居住者をベースにMLHの利用状況を見てみる(図表1-5)。


図表

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 全体のうち36.3%がMLH利用経験者である。その内訳は25.5%が宿泊利用やランチディナーなどアフタヌーンティー以外の利用経験者、10.8%がアフタヌーンティー利用経験者である。

 次に、各ホテル別に利用経験率をみてみる。全体のホテル利用経験率は、旧御三家が圧倒的に高い。アフタヌーンティー利用経験率は、ザ・ペニンシュラ東京が8.1%と旧御三家2社よりも高くなっている。ザ・ペニンシュラ東京のアフタヌーンティーは、特に話題性や人気度が高いことが推測される。東京の市場規模59億円のアフタヌーンティーを先駆するホテルである。


評価の高かったホテルのアフタヌーンティープランの事例

 ここで、アフタヌーンティーについて評価が高かった3社の事例をみてみる。

帝国ホテル

『Strawberry Pink Afternoon Tea ¥7,150-(税込み・サ別) 期間:2022年2月1日(火)~2022年3月25日(金)』

『ピーターラビットのバースデーアフタヌーンティー \7,700-(税込み・サ別) 期間:2022年3月26日(土)~2022年6月30日(木)』

 シーズナルで女性に安定的な人気の苺スイーツに、目の前でサプライズを楽しめる特製デザートもあるという。帝国ホテルならではの顧客とのコミュニケーションを図るライブ感を大事にしている。そして、次のアフタヌーンティーとして待機しているキャラクターとのコラボレーションも差別化を図るひとつである。


ホテルニューオータニ

『新アフタヌーンティーセット~あまおう~ ¥6,820-(税込み・サ別)期間:~2022年5月8日(日)』

 季節のフルーツを取り入れ、「スーパースイーツシリーズ」というホテルニューオータニの独自の商品を取り入れて差別化を図っている。「スーパースイーツシリーズ」とは、こだわりの厳選された素材や材料、豆乳クリームを使用するなど味やヘルシーさにこだわった商品である。


ザ・ペニンシュラ東京

『ストロベリーアフタヌーンティー \7,337- (税サ込)期間:2021年12月26日(日)~2022年3月14日(月)』

 定番のシーズナルメニューではあるが、ザ・ペニンシュラ東京では、ラウンジの1店舗だけではなく、2店舗で同じメニューが楽しめる。そしてテイクアウトも可能である。機能性でより多くの接触の機会を与えている。イギリスの植民地であった香港を受け継いだ優雅で気品のあるアフタヌーンティーが、より本物を求める客層にも人気なのではないだろうか。


アフタヌーンティー利用者の波及力

 アフタヌーンティーの展開に力を入れることは正解なのか、その先のホテル施設利用に繋げることができているのか。任意5ホテルの好感度から今後の宿泊意向への波及力を調査した。(図表1-6)


図表

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 各ホテル利用経験者のうち、アフタヌーンティー利用経験者、非利用経験者を対象に、好感度、推奨度、今後の宿泊への利用意向を表している。5ホテルのうち、アフタヌーンティー利用によって好感度、推奨度が高かった割合のトップは帝国ホテルである。アフタヌーンティー利用が今後の宿泊意向に最も結び付いたのはザ・リッツカールトン東京であった。全体として見てわかるように、アフタヌーンティー利用者の方が圧倒的に高い割合で、好感度、推奨度、宿泊意向を獲得している。


【第2回】危機下の都心ラグジュアリーホテルの生き残り へ


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著者プロフィール

麻生友美

1980年代生まれのマーケティングクリエイター。JMR生活総合研究所・クリエイティブマネジャー。

経験財を提供する様々な産業を経てクリエイターに。イラストを得意とした店頭コミュニケーションで実績があり、評判も高い。消費者説得の「こころのマーケティング」を目指している。


参照コンテンツ


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