通常、ひとつの製品しか販売している企業は少なく、複数の製品を扱っていることの方が一般的です。製品ラインにおける価格設定とは、取り扱う複数の製品価格を個々に設定するのではなく、扱う製品全体の利益が最大となるような価格設定をすることを意味します。製品ラインにおける価格設定は、抱き合わせ価格戦略、キャプティブ価格戦略、プライス・ライニング戦略の三つに分類されます。
抱き合わせ価格戦略とは取り扱っている複数の製品やサービスを組み合わせ、単品で購入するよりも安い価格設定をすることです。売り手にとっては、在庫処分することや、販売する手間を削減することができます。しかし、消費者にとっては1回の購入金額が単品ごとに購入するより高くなるので、安いことが実感できるだけの単品あたりの値引きをしないと効果がありません。
抱き合わせ価格戦略の例としては、アトラクション料金が含まれたテーマパークの入場料や朝食つきの宿泊パック、アプリケーションがインストールされたパソコンなどがあります。
キャプティブ(Captive)とは、「捕虜、とりこ」という意味があります。キャプティブ価格戦略とは主製品の価格を安く設定し購入させることで「捕虜」を獲得し、附随製品の価格を相対的に高く設定することで利益を得ることです。
キャプティブ価格戦略を取ると、主製品を安く設定しているので消費者へのアピールがしやすく、購入者がそのまま固定客(=捕虜)になります。さらに附随製品を購入してもらうことで長期・安定的に収益をあげることができます。
キャプティブ格戦略の例としては、ラスベガスのホテルの宿泊料金が有名です。ラスベガスのホテルは部屋の広さ、豪華さに比べると格段に安く宿泊料金が設定されています。これは、宿泊料金から利益を得なくてもカジノで利益を得れば良いと考えているからです。
プライス・ライニング戦略はマーケティング用語集「プライス・ライニング」をご参照下さい。
参照コンテンツ
- マーケティングFAQ 価格設定の方法
- マーケティングFAQ 新製品の価格設定
- マーケティングFAQ 「需要の価格弾力性」とは
- JMRからの提案 価格差別化戦略-利用チャネルをシグナルとした戦略的プライシング
関連用語
- マーケティング用語集 スキミングプライス
- マーケティング用語集 ペネトレイティングプライス
- マーケティング用語集 オープンプライス
- マーケティング用語集 プライスリーダー
- マーケティング用語集 プライスライニング
- マーケティング用語集 需要の価格弾力性
おすすめ新着記事

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。

「食と生活」のマンスリーニュースレター 食卓に浸透する市販の惣菜 4割弱が週1回以上惣菜を購入
流通にとって重要性を増しているといわれる「惣菜」について調査を行った。週1回以上惣菜を購入する人や4割弱、今後の購入意向のある人は7割にのぼり、とくに上の年代で意向が高い。さらに、惣菜の購入はチャネルの利用意向にも影響を与えているという結果がみられた。



