プライスリーダー(price leadership)とは、例えば、ある業界において、市場で価格支配力を持ち合わせている企業、価格先導者のことを指します。プライスリーダーは、他の企業の価格設定に対し影響力を持つため、プライスリーダーが価格を引き上げ、他社がこの価格に追随することによって形成される価格を管理価格と呼びます。価格が市場価格ではなく、一部の企業により形成される状態となり、例えば、生産効率改善などによる供給増加やコスト削減などによって実際には低価格設定することができる場合でも、プライスリーダーの存在により、この管理価格は下がりにくいものとなります(価格の下方硬直性)。
市場における企業のリスクには、価格リスクと商品リスクがあり、価格の変化は市場経済では自然で正常なことと考えられるため、こうした価格変化の抑制は不当な行為として独禁法が適用されています。
価格の変動は、企業にとっては最大の経営リスクであるため、企業は様々な方策でこれに対応しようとします。例えば、生産財の市場では、長期契約・プライスリーダーシップなどで価格リスクを分担するというやり方がみられたり、消費財市場では、メーカーが流通支配を強め、建値制により、消費者へリスクを転嫁するなどです。
さて、業界においてトップに立つことの特権は、プライスリーダーになれることです。自分で設定したい価格を設定することができ、かつ、二位以下の競合メーカーは、トップより高い価格設定がしにくく、プライスリーダーの設定した価格に追随するしかなくなります。トップ企業は、高価格でより多く販売することを通じて得た収入を、研究開発や広告宣伝に振り分けることが可能になり、善循環のサイクルをつくることが可能になります。
二位以下のメーカーは、こうした状況を放置していると、トップ企業に自社の命運を握られた消耗戦となってしまいます。これを打破するためには、トップ企業が同質化戦略を採りにくい弱点を見極め、差別化を図る必要があります。例えば、トップ企業の有する生産設備では真似しにくいという障壁を持つ差別化商品の開発、特定エリアへの営業資源の重点的な投入、独自流通開発による新しい売り方の開発と定着などの方策が考えられます。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
参照コンテンツ
関連用語
- マーケティング用語集 スキミングプライス
- マーケティング用語集 ペネトレイティングプライス
- マーケティング用語集 オープンプライス
- マーケティング用語集 プライスライニング
- マーケティング用語集 製品ラインにおける価格設定
- マーケティング用語集 需要の価格弾力性
おすすめ新着記事
成長市場を探せ V字回復で2年連続過去最高更新の炭酸飲料(2024年)
炭酸飲料が伸びている。2020年はコロナ禍で前年割れとなったが、翌21年にはコロナ前の水準に迫り、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化
コロナが明けて需要が戻った健康食品市場だったが、2024年3月に「紅麹サプリ問題」が起こった。そこで、健康食品の利用と、「紅麹サプリ問題」を受けて消費者の行動がどう変化したかを調査した。
消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い
2年連続のプラスとなった茶飲料市場の調査結果をみると、トップブランドの「お~いお茶」が全項目で首位、大手飲料メーカーの緑茶ブランド3点が熾烈な2位争いを繰り広げている。一方、再購入意向のランキングでは、麦茶ブランドが上位に入った。