日常生活財は好調さを保っている。耐久財は好不調の格差が続くが、一部商品で改善の動きが目立っている。
雇用環境は方向感が定まらないが、収入環境は良好さを保ち、マインドは改善が続く。
輸入物価と国内企業物価で上昇が目立つが、消費者物価の上昇は緩やかなものに止まっている。
マーケットでは株安・円安の動きが進んでいるが、長期金利の上昇は一旦落ち着き、イールドカーブの動きからも金利上昇の圧力は沈静化しつつある。
良好な収入環境とマインド改善の持続により、消費を取り巻く環境も堅調さを保っている。消費改善の動きを盤石なものにするため、消費喚起への更なる政策対応が求められる。
2026年5月のJMR消費INDEXの値は46.7となり、前月よりも低下している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2026年5月時点で、支出関連では3指標全てが悪化となり、そのうち消費支出と平均消費性向の2指標では悪化が続いている(図表2)。
販売関連では、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が7指標、悪化が3指標となり、改善の側が優勢となっている(図表2)。
消費支出の伸びは2026年5月に、実質ではマイナスが続いているが、名目ではプラスが続いている(図表4)。
10大費目別にみると、2026年5月時点で、名目と実質でともに、改善が7費目、悪化3費目となり改善の側が優勢である。食料についても、名目と実質の双方でプラスとなっている(図表5)。
物価の動きに着目すると、2026年6月は、消費者物価の伸びは緩やかなプラスが続いている。他方、輸入物価と国内企業物価の伸びはプラスを保ち、伸びの値の上昇も目立ってきている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、総合、財、サービスの伸びはいずれもプラスだが、財では伸びの値の上昇が続く一方、サービスでは伸びの値は横ばいないし緩やかな低下傾向にある(図表7)。
販売現場では、小売業の売上は2026年5月も、全体でプラスが続いている。主なチャネル別でも、六つのチャネルすべてでプラスを保っており、特に家電大型専門店の売上は顕著な伸びを示している(図表11、図表12)。
外食売上は、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。
耐久財では、新車販売は2026年6月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、伸びはプラスとなっている(図表13)
家電製品出荷について、2026年6月時点では、黒物家電は3品目中、ステレオヘッドホンとスピーカシステムはプラスとなったが、4K対応薄型テレビはマイナスが続いている。白物家電は4品目中、ルームエアコンはプラスが続き、洗濯乾燥機はプラスに戻したが、401L以上の電気冷蔵庫はマイナスに転じ、電気掃除機はマイナスが続いている。情報家電ではノートPCとスマートフォンのいずれもマイナスが続いている(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は2026年5月時点で、全体ではプラスが続いている。利用関係別でも、持家、分譲住宅・マンション、分譲住宅・一戸建てのすべてでプラスとなっている(図表17)。
地域別の持家の伸びは2026年5月時点で、すべての地域でプラスが続いている(図表18)。
地域別の分譲住宅・マンションの伸びは2026年5月時点で、首都圏と中部圏ではプラスだが、近畿圏とその他の地域ではマイナスが続いている(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、2026年5月時点では、失業率は横ばいとなり、有効求人倍率は低下している(図表8)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いている(図表9)。
消費マインドについては、2026年6月時点で、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIはともに上昇が続いている(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は6月以降も、円安傾向で推移している。6月前半は160円台で推移していたが、6月後半には161円台、7月に入ってからは162円台を突破し、7月21日以降は163円台に乗せている。7月23日には終値で1ドル163円85銭を付け、164円台をうかがう動きも見せた(図表21)。7月29日時点の終値は1ドル163円38銭である。
株価は、6月に入って以降も上昇傾向で推移してきたが、6月25日に終値で72,366円34銭を付けたのをピークに、その後は大幅な上下動をしつつ低下傾向で推移している(図表21)。7月29日時点の終値は61,434円19銭である。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は6月26日に終値で4.372%を付けたのを底に、その後は上昇傾向で推移している。7月23日には終値で4.703%を付け、一時4.7%台に乗せた(図表22)。7月29日時点の終値は4.622%である。
日本国債10年物金利は6月に入り概ね2.6%台で推移してきたが、6月26日に終値で2.611%を付けたのを境に、その後は上昇傾向が続いた。7月9日に終値で2.866%を付けたのをピークに一時低下傾向で推移したが、7月15日に終値で2.697%を付けたのを境に、その後は再び上昇傾向に転じている(図表22)。7月29日時点の終値は2.757%である。
日米金利差は6月に入って以降概ね1.8%台での推移が続いてきたが、6月下旬から7月上旬にかけて1.7%台へと縮小した。7月中旬以降は再び1.8%台へと戻すなど、金利差は足許で少しずつ広がりつつある(図表22)。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2026年6月2日以降、左上方へのシフトを続け、2026年7月9日には2026年5月19日時点のカーブと概ね重なる水準まで到達した。(図表23)。その後は、2026年7月9日のカーブと2026年6月2日のカーブとの間での、上下動が続いている。
総合すると、消費は底堅さを保っている。
支出全般の伸びは名目でプラスを保ち、費目別では名目と実質でともに改善の側が優勢である。
日常生活財は引き続き好調を保っている。耐久財は商品間で依然好不調の格差が分かれているが、住宅では好調が続き、自動車でも持ち直しの動きがみられる。
雇用環境は方向感が定まらないが、収入環境は良好さを保ち続けている。マインドも改善が続いている。輸入物価と国内企業物価では上昇の動きが目立っているが、消費者物価の上昇は緩やかなものとなっている。
マーケットは株安に転じ、円安の動きも加速している。7万円台に乗せていた株価は足許で一時6万円強の水準まで落ち込み、為替レートも164円台をうかがう動きもみせている。長期金利の上昇は一旦落ち着いたが、足許では上昇の気配もみられる。日本国債のイールドカーブの左上方へのシフトの動きも再び強まったが、足許では沈静化しつつある。
良好な収入環境とマインド改善の持続により、消費を取り巻く環境も堅調さを保っている。ただし、米国とイランの対立・紛争の余波が今後どう出てくるかは、依然不確定要素として残っている。7月に入り再び相次ぐ値上げの影響にも、注意を要する。
2026年7月30日に開かれた自民党臨時役員会の場で、食料品の消費税減税に関し、来年4月から2年限定での税率1%への引き下げと中低所得層への給付により実質ゼロにする方針が高市首相より示された。消費改善の動きをより確かなものにするためにも、消費喚起への更なる政策対応が引き続き求められる。








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