
2018年の冷凍食品(家庭用)の国内生産量は前年比3.7%増の68万7,236トンで4年連続増加した。輸入冷凍食品を含む国民一人当たりの消費量も拡大、直近10年間で24%も増加した。

家庭用冷凍食品の増加を後押ししているのは、メーカーの技術革新による高品質化に加えて、高齢化や女性の就業率の増加を背景にした食の簡便化だ、省力化ニーズの高まりだ。ここ最近は、メーカーや流通、とくにコンビニなどで、容器のまま解凍・加熱が可能な一人前食べきりサイズの冷凍食品への注力が目立つ。イオンが手掛けるフランスの高級冷凍食品「ピカール」も取扱店舗を増やしている。外食チェーンでも消費税の軽減税率の適用される冷凍食品に注目、「ピエトロ」や「ロイヤルホスト」など店舗で食べるのと同程度の品質の冷凍食品を、持ち帰りとして販売する企業も増えている。
2019年は台風や水害などの際の非常食としての需要もあり、1.5~2%程度の成長が見込まれている。さらに、2020年に入り、新型肺炎の拡大防止のために不要不急の外出、さらには公立学校の一斉休校の要請などにより、家庭内で過ごす時間や子供一人での調理などが増加したことで、各地のスーパーなどでは冷凍食品の品薄が伝えられる。保存性、簡便性に優れる冷凍食品は今後も家庭の食卓での存在感を増しそうだ。
参照コンテンツ
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