
空前の「第7次ワインブーム」が叫ばれるなか、ワイン(果実酒)の課税数量は2015年までに10年連続、販売数量ベースでも8年連続で拡大を続けており、2006年比ではともに160%前後の伸びとなっている(国税庁「酒のしおり」、「酒税課税統計」)。

背景要因としては、ここ数年で「ヴィノシティ」を始めとするリーズナブルにワインが飲めるバルの出店が相次いだこと、そして一本1,000円未満の低価格な新世界ワインの台頭が挙げられる。特にチリ産ワインについては、日本―チリ間で締結されたEPA(経済連携協定、2007年発効)により、関税の完全撤廃に向けた段階的な引き下げを実施、これが追い風となって2015年、2016年と2年連続で国別の輸入量トップとなった(財務省貿易統計)。
「国産ぶどうのみで醸造されたワイン」と定義される日本ワインにおいても、原産地呼称管理制度の創設(2002年、長野県)、日本ワインコンクールの創設(2003年)などを機に、その認知度・関心が年々高まっている。
2016年には中央葡萄酒(山梨県甲州市)のスパークリングワイン「グレイス エクストラ ブリュット2011」が、英国の「デキャンタ ワールド ワイン アワード2016」でアジア初のプラチナ賞を受賞するなど、日本ワインの品質向上を裏付ける結果となった。
このように、家飲み、外飲みを問わず気軽に飲めるようになったことでワインが大衆化し、日常に浸透してきているといえそうだ。
2016年のワイン市場は、チリ産を中心とした低価格帯における価格競争の激化などの影響で、11年ぶりに減少すると見られている。
一方で2015年に日本―オーストラリア間でEPAが発効、段階的に関税が引き下げられていくほか、2017年現在EUとの間でも締結に向けて交渉が進められている。成り行き次第では、今後も安価な新世界ワインの輸入拡大が見込めそうだ。
第9回 ネクスト戦略ワークショップ 講演録




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