ニチレイの2023年3月期の連結決算は、売上高6,622億円(前年比9.9%増)、営業利益は329億円(同4.9%増)と増収増益であった。売上高は主力事業において海外を中心に引き続き堅調に推移したことにより増収、営業利益は主力事業の収益改善に加え、バイオサイエンス事業が好調に推移したことなどにより増益となった。加工食品事業では、価格改定を進めたことに加え、主力商品や新たな付加価値商品を拡販したことや、海外での売上げも伸長し増収となったが、原材料・仕入れコストや動力燃料費の高騰などコストアップが響き、減益となった。低温物流事業では、物流ネットワーク事業や地域保管事業の売上げが堅調に推移したことに加え、海外事業も好調に推移し増収、電力料金などのコストアップを集荷拡大や業務効率化などでカバーし増益。水産事業は調達コストの増加に対応した販売価格の改定を進め増収、営業利益は海外事業が貢献したことなどにより前期並みを確保。畜産事業は中食・外食向けに加工品や輸入冷凍品が伸長したことにより増収となったが、飼料価格の高騰などにより増加した調達コストを吸収できず減益となった。2022年度からは新中期経営計画「Compass Rose 2024」がスタート、「2030年の姿」実現に向けた「変革の期間」と位置づけ、サステナビリティ経営の加速と資本効率を追求する。初年度の2022年度は売上高・営業利益とも目標数値を上回ったが、環境変化に即応した収益基盤構築に課題を残した。2023年度は柔軟かつ迅速に施策を実行し収益力を強化することで、持続的な成長を目指す。
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