半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2018.12)
第12回 ネクスト戦略ワークショップ
「消費行動のネット情報依存への転回と情報的マーケティング」講演録
食生活の理想と現実の乖離
リサーチャー 倉持里佳子



本コンテンツは、2018年11月21日開催の「第12回ネクスト戦略ワークショップ」の講演内容を要約したものです。

現代人の食スタイルの特長

 現代人の食生活を読み解くポイントは、「食の個食化」「調理の罪悪感」「罪悪感から解放するための価値訴求」の三つです。さらに、人々は理想の食生活と現実との間にギャップを抱えています。家族と一緒に食べたいけど、時間が合わない。もうちょっとちゃんと調理したいけど、できない。そういったギャップがあります。

 今回の調査では、平日の夕食について詳しく聞きました。食べた場所は、自宅が91.4%と圧倒的に高かったです。単身世帯でも自宅で食べた人が多く、88.6%でした。次に、誰と一緒に食べたかをみると、ひとりではなく誰かと食べたと答えた人が全体で65.4%でした。一方、自分だけで食べた人は33.7%でした。つまり、3分の1は「個食」ということが分かります。

 何を食べたか、誰と食べたか、何人世帯なのかなどから、夕食の食べ方を六つのタイプに分類しました。六つのうち三つは、家族と一緒に同じ物を食べているという夫婦大人型、子独立家族型、子育て家族型でした。残りの三つは、ひとりで食べる個食スタイルで、家族と住んでいるが、時間差で食べている個別差延型、ひとり食型。そして、1人で暮らしている単身世帯型の三つでした。このように、夕食の摂り方は、その人だけでなく、その人が家族の中でどういう立場なのかということが影響しています。

 続いて、食べているものをタイプ分けしてみました。これは七つのメニュータイプに分けることができました。中身をみると、主流は伝統的な一汁三菜より一菜少ない一汁二菜食で、47.2%でした。一汁二菜よりも品数が多いスタイルを、一汁四菜や多彩食としました。一方、少ないスタイルを、単品完結食、野菜食、単品セット食、コンビニ食と名付けました。

 いくつか具体的にみてみると、多彩食は野菜やサラダ、鶏のから揚げ、焼き魚、さらにサプリメントなど多彩に食べています。一方で、単品完結食はカレーやチャーハン、ハヤシライスといったように1品で済むものを食べるスタイルです。単品に1品加えた単品セット食は、チャーハンとスープ、ラーメンと餃子などです。以上のように、食べ方の組み合わせも非常に多様化していることが、わかりました。


図表1.夕食メニューは七つ ―「一汁二菜」がほぼ過半数



 分類した食事スタイルをだれが食べているのかについて、みてみました。品数が多い一汁四菜食は全体の11.7%でした。このスタイルの食事の割合が多かったのが、子育て共働き世帯(28.2%)と既婚夫婦のみ専業主婦世帯(17%)でした。子育て共働き世帯は、時間がない中でも品数が多い食事を提供しているといえます。


次は「女性が食事準備の主体」
【続きを読む】(有料会員向け)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。

より詳細なファインディングは「消費社会白書2019」をご覧ください

書籍イメージ
消費社会白書2019
ネット情報依存化する行動と消費パラドックス

  • 発刊以来16年間の知見とデータから「今」を鋭く分析し、「半歩先」を提案
  • オリジナルの時系列調査から現在の消費者の実像に迫る
  • 中長期だけでなく、短期のマーケティング戦略を構築するための基本データが満載



第12回 ネクスト戦略ワークショップ 講演録


参照コンテンツ


おすすめ新着記事

新着記事

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2024.12.23

企業活動分析 BYDの23年12月期はEV・PHV好調で大幅な増収増益を達成

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2023.07.03

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 約3割が利用する「免疫力」商品 20~30代に広がる美容・健康飲料の可能性

5位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area