
価格は、一般的にはコスト(費用)、需要、競争の三つの要素で決定されます。まずコストを基本に置き、企業が安定した利益を得ることを目的として価格を設定する方法がコスト志向型価格設定です。
コスト志向の価格決定方法としては、三つ(大別するとふたつ)の方式が挙げられます。
- コストプラス法(原価加算法)
- マークアップ法
- 目標収益法
コストプラス法とは、ある一定の利益率または利益額を製品のコストに加えて価格を設定する価格決定方法のことです。計算式で示すと、価格=直接費+間接費+一定の利益、となります。
小売業者や卸売業者による売価決定法であり、仕入れ原価にある一定の利益率または利益額を加えて価格を設定する価格決定方法のことです。コストプラス法の変種と言えます。
損益分岐点分析を利用した価格決定方法であり、企業の目標とする投資収益率(ROI:return on investment)を実現するように価格設定する方式です。
コスト志向型価格設定のメリットとしては、自社の費用だけを基準にしているので他社情報を考慮せずに価格を決定できるところにあります。注文生産品や公益性の強いサービス産業の価格決定法としては適していると言えそうです。
デメリットとしては、競争業者の価格や販売量が無視されている点と、実際の消費者のニーズにマッチした価格かどうかが分からないという点があげられます。
企業にとっての扱いやすさもあって、現実には最もよく利用されている価格設定ですが、近年では消費者の知覚価値という点が重視されています。
コスト志向的価格設定の他にも、価格決定要因の重要な要素である「需要」「競争」に基づいて、以下のような価格設定方法が挙げられます。
- 需要志向的価格決定法
- 競争志向的価格決定法
理論的には限界収入と限界費用が一致する点に価格と販売量を決定すればよいという限界分析法と、ある価格、あるいはある製品に対して持つ消費者の独特の心理的反応・知覚に基づいて設定される心理的価格決定法があります。
競争企業の価格を模倣したり、少し安くしたりして設定する方法で、プライス・リーダーシップが確立している領域の製品に対し多く行われる方法です。
参照コンテンツ
関連FAQ
関連用語
おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 成長するコーヒー市場 6つの形態が店頭に共存するワケとは?
コーヒーの国内消費量は、2022年に4年ぶりの増加に転じた。最近では大手コンビニエンスストアがコーヒーのサブスクサービスを実験的に導入する動きがみられる。今回はコンビニを中心にコーヒーがどのように買われているのか調査をおこなった。

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。



