ブランド・エクイティとは、ブランドがもつ資産価値を指します。資産から負債を差し引いた正味資産と言うこともできます。
この概念の背景には、ブランドはただの名前や記号ではなく無形の資産として価値があり、したがって会計上も無形資産として計上されるものだという考え方があります。
ブランド・エクイティの代表的論者には、『ブランド・エクイティ戦略』の著者であるデーヴィッド・A・アーカーや、『戦略的ブランド・マネジメント』の著者のケビン・レーン・ケラーがいます。
アーカーは、ブランド・エクイティの構成要素として、ブランドロイヤリティ、ブランド名認知、知覚されたブランド品質(品質イメージ)、ブランド連想(ブランドによる心理的・感情的な連想)、その他の資産(特許や商標や流通関係等)の五つを挙げています。たとえば、ブランド認知やブランド・ロイヤルティが高ければマーケティング・コストが抑えられます。他に比べて高い知覚品質を有していれば、競合他社より高い価格設定ができます。このように、高いブランド・エクイティは企業に多くの競争優位をもたらします。また品質イメージとブランド連想は顧客の安心感につながり、使用満足を高めることになり、企業だけでなく顧客にも価値を提供することになります。
また、P.コトラーは、ブランド・エクイティの根底にある基本的資産は顧客エクイティであると論じています。したがって、ブランド・マネジメントによってロイヤル・カスタマーの生涯価値(顧客との長期的取引からもたらされる利益)を伸ばすことがマーケティング計画の要となります。
ビジネスウィーク誌とブランドコンサルティング会社のインターブランド社が発表した2007年(2006年7月~2007年6月)世界ブランドランキングによると、トップはランキングがスタートして以来、7年連続でコカ・コーラ、次いでマイクロソフト、IBM、GE、ノキアとなっています。このランキングは、アナリスト予測や財務書類、独自の分析から、ほかの企業資産の評価と同様の方法で、各ブランドが将来稼ぎ出すであろう価値を基にブランドを評価したもので、日本企業では6位にトヨタ、19位にホンダ、25位にソニーが入っています。また、伸び率のトップはランキング20位のグーグルで前年比44%増とブランド価値を大きく伸ばしています。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ ブランド・ものづくりビジネスモデルの革新のすすめ方
―戦略思考とはどういうものか(組織論篇) - MNEXT 眼のつけどころ ブランドのロングセラー化の鍵は「うまいマンネリ」づくり
―市場溶解期のブランド再構築 - JMRからの提案 マーケティングTips ブランディング 名前のちから(2020年)
- マーケティングFAQ どうすればブランド力を強化できるか
- マーケティングFAQ ブランド認知と企業イメージ
- マーケティング用語集 ブランド
- マーケティング用語集 ブランドネーム戦略
- マーケティング用語集 NBとPB
おすすめ新着記事
![消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版) 首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水](https://www.jmrlsi.co.jp/inc/mranking411ecs.jpg)
消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版) 首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水
2023年は3年連続プラスとなった炭酸飲料。調査結果を見ると、今回も「コカ・コーラ」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「三ツ矢サイダー」の猛追が光る。再購入意向は、無糖炭酸が上位に食い込んだ。
![成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム](https://www.jmrlsi.co.jp/inc/seicho070s.jpg)
成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム
2023年度、空前の暑さを追い風に、アイスクリーム市場は初の6,000億円超えを達成、4年連続で過去最高を更新した。2023年の夏日日数は140日、実に1年の4割近くの日が「アイスクリームを食べたくなる」気温である25度を超えたことになる。
![「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 縮小する野菜ジュース市場 値上げ下でブランド継続は4割](https://www.jmrlsi.co.jp/inc/f-monthly-164s.jpg)
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 縮小する野菜ジュース市場 値上げ下でブランド継続は4割
野菜ジュースの生産量は、業界団体調べによると3年連続で減少しており、2023年は前年比5.6%減となった。今回は値上げによって、野菜ジュースのブランド選択にどのような変化が起こっているのか調査をおこなった。