一般的な意味は「競合他社と区別させることを意図して設計された『商標、銘柄』」ですが、私たちの定義は、企業と生活者の共通認知としてのブランドということになります。
詳しくは「ブランドとは企業と生活者の共通認知である。それは、売り手である企業の理念にもとづく商品化と買い手である生活者の文化によって形成される」というものです。ブランドは、ネーミングと商標登録の問題だけではないし、広告で差異を創り出せるものでもないのです。
ブランドはメーカーからみれば、
- 愛用客がつくれる
- 付加価値が得られる
- 流通交渉力を持つ
- 販売努力が最小ですむ
また、消費者からみれば、
- 選択の手間が省ける
- 選択の時間が省ける
- 安心感が得られる
などの効用をもつものです。
特に最近は、ディスカウンターやPB(プライベートブランド)などの台頭によって、価格の時代に対応するためのブランドの価値が見直されています。ブランドは「目に見えない資産」を多くもっています。その資産を運用し、価値を最大にしていくことには、あまり熱心に取り組まれてこなかったのが実情です。ブランドを育成し、ロングセラー化していくことが重要なマーケティング戦略のひとつとなっています。
ブランドの問題は商品開発の担当者やブランドマネージャーの仕事です。しかし、販売の担当者も重要な役割をもっています。
- 販売担当者は既存商品よりも新商品に販売努力が偏りがちになります。
- 既存商品は流通業者も関心が薄くなります。
- また、販売担当者は他社が新商品を発売すると、店頭での陳列スペース確保などの理由から商品開発担当に横並び商品(差別性のない類似商品)を要求しがちです。
- 既存商品を販売するために、無理な条件や押し込みをしがちです。結果として、ブランドを消す販売になります。
ブランドは、企業にとって、流通業者にとって、消費者にとって、多くの価値を提供することになります。企業にとって人・モノ・金に加えて重要な資産であるということを改めて再認識すべきでしょう。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ ブランド・ものづくりビジネスモデルの革新のすすめ方
―戦略思考とはどういうものか(組織論篇) - MNEXT 眼のつけどころ ブランドのロングセラー化の鍵は「うまいマンネリ」づくり
―市場溶解期のブランド再構築 - JMRからの提案 マーケティングTips ブランディング 名前のちから(2020年)
- マーケティングFAQ どうすればブランド力を強化できるか
- マーケティングFAQ ブランド認知と企業イメージ
- マーケティング用語集 ブランド
- マーケティング用語集 ブランドネーム戦略
- マーケティング用語集 NBとPB
おすすめ新着記事

盤石「カップヌードル」、「きつね」と「どん兵衛」和風麺は激戦区
2019年度のカップめんの生産量は、ほぼ横ばいの39億7,021万食となった。今回の調査でも前回同様、「カップヌードル」が盤石の強さを見せつけた。2位以下では「赤いきつね/緑のたぬき」と「どん兵衛」が僅差でしのぎを削っている。コロナ禍の巣ごもり消費でカップめんの需要は伸びているが、拡大した市場で今後どのようなヒット商品が生まれるかに注目だ。

運動習慣のある人は内側もケアしてる!?ニーズ高まる保健機能食品
トクホや機能性表示食品などの保健機能食品が注目を集めている。コロナ禍で健康志向が高まっているためだ。今回は、保健機能食品がどのように利用されているのか、またウォーキングやエクササイズなどの運動との関連について調査を行った。

強いカルビー「ポテトチップス」、リピート意向上位に新顔、PBも
2019年のスナック菓子市場は小売金額ベースで前年比2.6%増と、堅調な動きを続けている。今春の緊急事態宣言などで在宅時間が増加した際、スナック菓子の需要は大幅に伸びた。人気の中心は定番商品だったが、需要が拡大するなかでコストパフォーマンスに優れたPBや、健康志向を背景にしたギルティフリーを訴求したブランドのリピート意向の高まりもみられる。



