JCBの2014年3月期決算は、年間取扱高18兆9,348億円(前年度比 21.3%増)となり、大幅に取扱高が増加したものの、営業利益は▲7%、経常利益は▲8%の減益となった。会員数は8,447万人(同5.3%増)で、そのうち海外の会員数は1,735万人と、同18.4%増と大幅に増加した。加盟店数も同12.8%増となっており、会員数と加盟店数の好循環が続いている。この背景には、フィリピン、ラオス、インドネシア等東南アジアを筆頭に諸外国の大手銀行との加盟店業務提携を増やしたことがある。しかし、事業環境は依然として厳しい側面もある。また、カード発行と加盟店拡大をフランチャイズ化しているVISA、MasterCardなど他の国際ブランドと同様、JCBも海外事業においてはフランチャイズ化に転換したが、世界シェアは会員数、ショッピング取扱高ともに大きく水をあけられている。今後は、VISA、MasterCardのシェアに少しでも近づくためにも、強みでもある柔軟性(Flexibility)を持ったブランドの差別化をすることで、それぞれの国に適した独自の国際ブランドになるべきであろう。そして、加盟店手数料の引き下げを武器に、大きくシェアを伸ばした中国・韓国市場を皮切りに、他のアジア諸国でいかに会員数・加盟店数を伸ばせるかが今後の重要課題である。また、業界の再編・淘汰の多いマザーマーケットである国内においても、引き続き新たな提携カード、地銀との提携でより一層の地位確立も求められる。
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