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(2016.12)
第10回 ネクスト戦略ワークショップ講演録 III.
中流成熟期の収益性の高い価格戦略は何か
ディレクター 合田英了

今求められる価格差別化戦略

 セッション3では、中流社会が分解しつつある中で、どんな戦略が高い収益性を生んでいくのかについて考えていきたいと思います。

 当社として提案したいのが、「価格差別化戦略」です。これまで多くの企業がモットーとしてきた「良いものを安く」という戦略が通用しなくなってきているからです。

 ビールやアイスなど様々な商品には企業が設定した価格がありますが、消費者が実際にどれくらいまで支払ってもいいと思っているかという「支払意思価格」は人によって違います。支払意思価格が高い人には、高品質、高価格の商品を導入して、高くない人たちには標準品質、普及価格帯の商品を提供する。このように、意思額によって市場を分けることで、利益を上げていくというのが、提案したいことです。

 まずは「消費社会白書2017」の最新調査から得られたデータにもとづいて、みていきます。食品スーパーの価格帯がビール1缶当たり160円-180円であるのに対して、支払意思価格では240円以上の値を付ける人たちの集団があります。また、アイスクリームでも300円くらいまで支払い意思のあるグループがいます。その一方で、標準価格、標準品質を好む人たちの集団があります(図表1)。


図表1.支払い意思価格(WTP)の格差拡大


 このように高品質、高価格を受け入れる人たちと、標準価格を求める人たちの差が広がっていることが注目すべき現象のひとつです。この背景には、中流層の分解と、階層意識の拡大があります。実際にデータでは、自分の所属階層が高いと思っている人ほど、ビールに対して240円以上の支払意思があり、アイスクリームでも同じようなことがいえました。

 これを需要曲線との関係でみてみます。一般的に、価格が高ければ高いほど受容する人は少なくなり、価格が低くなればなるほど需要は増えていきます。ところが、高価格帯は価格が多少高くなっても、需要がそれほど減らないが、標準価格帯では価格か少しでも上がると需要が大きく変化することがデータからわかりました。

 消費者が払ってもよいと感じる金額から、その商品の価格を引いたものを消費者余剰といいます。つまり、消費者が1,000円払ってもほしいものが、500円で売られていた場合、500円が消費者余剰になります。企業は、この消費者余剰を自社の売り上げにいかに変えていけるかということを考える必要があります。


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