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公開日:2023年04月05日

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第152号
日本人の7割はチーズ好き ぜいたくニーズに支えられ伸長


本コンテンツは、食生活についての消費者への独自調査をもとに、その分析結果をまとめたオリジナルコンテンツです。有料会員の方は、調査結果の分析パートと、主要各紙から食生活のトレンドを整理した業界クリップの2部構成でお届けするレポート形式のPDFダウンロードがご利用いただけます。


日本人の4割はチーズを週1日以上食べている

 農林水産省が公表している「チーズの需給表」によると、国内のチーズの消費量は2014年から増加傾向にある。コロナ禍においても健康志向の高まりや家呑みの拡大にともない、チーズの需要が高まったのではないだろうか。そこで今回はチーズに着目し、誰がどのような目的で食べているのか調査をおこなった。

 まず、チーズが好きと答えた人は全体の7割以上と非常に高い結果となった(図表1)。実際に、チーズを週1日以上食べる人は4割以上だった(図表2)。また、チーズを食べる頻度を今後増やしたいと答えた人は2割となっており、今後もニーズは伸長していくと考えられる(図表3)。

 さまざまな基本属性の中で、チーズを食べる頻度に特に差があったのは性別・年代で、女性30代、50代、60代では週1日以上食べる人の割合が高くなっている。その他にも生活レベルの高い人、脂質などのコントロール意識がある人ほど、チーズをよく食べていた。特にお酒とチーズの消費には強い関連があり、週に4日以上お酒を飲む人では、6割がチーズを週1日以上食べている(図表4)。こうした飲酒頻度の高い層は男性40代~60代で多かった(図表5)。

図表
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定番はスライスチーズ

 チーズの形状別に浸透状況をみていく。もっともよく食べられているのはスライスチーズで、全体の2割が週に1日以上食べている。次いで、6Pチーズ、ベビーチーズが続いている。1年前と比較して食べる頻度がもっとも増えたものは、パンなどに塗るチーズスプレッドだった。今後(も)食べたいチーズとしては、スライスチーズがもっとも高く5割を超えている。6Pチーズやピザ用チーズのような刻まれたシュレッドチーズも高く、約4割となっている。一方で、チーズスプレッドやその他のブロックタイプのチーズなどは15%前後と低めである(図表6)。

 スライスチーズやシュレッドチーズなどを中心とした、直近で食べたチーズについて購入・利用実態をみていく。購入場所は、食品中心スーパーがもっとも多く、次いで大型総合スーパーとなっていた(図表7)。購入金額をみると、200円未満の低価格のチーズを買う人がボリュームだが、500円以上の比較的高価格のチーズを購入する人も2割いる(図表8)。チーズを食べるシーンは朝ごはんや夜ごはんのときが中心となっており、このふたつのシーンで約5割を占める。お酒のつまみにした人も約2割いた(図表9)。

図表
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さまざまなニーズを満たせるチーズ

 チーズを食べる理由をみていくと、一番の理由は「味が好きだから」で約5割。次いで、「手軽に食べられるから」「カルシウムを摂取したいから」となっている。これらのさまざまな理由を「健康」「味・食感」「使いやすさ」「ぜいたく」の四つに分類し、それぞれの関連をみてみると、 「ぜいたく」と「味・食感」 、「使いやすさ」と「味・食感」はニーズの重なりが大きいことがわかった。一方で、「健康」と「ぜいたく」は相対的に重なりが小さい(図表10)。

 四つのニーズを性別・年代別にみると、女性60代は「健康」「味・食感」「使いやすさ」がいずれも特徴的に高かった。「ぜいたく」ニーズは男性20代でもっとも高くなっている。一方で、男性30代は「健康」、男性40代は「味・食感」で全体との差が大きく、年代によるニーズの違いが目立つ結果となった(図表11)。

 続いて、ナチュラルチーズの浸透状況をみていく。ナチュラルチーズの中では、カマンベールチーズがもっともよく食べられており、全体の2割強が1か月以内に食べていた。これに対して、「ぜいたく」ニーズのある人では5割弱がカマンベールチーズを1か月以内に食べていた。その他のナチュラルチーズも「ぜいたく」ニーズがある人ほどよく食べており、嗜好品としてのチーズの側面がうかがえる(図表12)。

図表
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ぜいたくニーズに支えられ、今後も伸長が見込める

 冒頭で確認したように、今後チーズを食べる頻度を増やしたいという人は約20%おり、減らしたいという人を大きく上回っていることから、チーズの消費は今後も増加していくと思われる。特に増加意向が高いのは、女性30代、女性60代の、現在もチーズを高頻度で食べている層である。また、前ページで分類したチーズのニーズごとにみると、「ぜいたく」ニーズを持っている人で増加意向が特に高く、4割がチーズを食べる頻度を増やしたいと感じている(図表13)。

 続いて、食意識別にチーズを食べる頻度の増減意向をみると、「食事で日常生活を充実させたい」「話題の食べものは積極的に食べてみる」という意識が強い人ほど、増加意向も高くなっていた(図表14)。さらに、これらの意識をどのような人が持っているのかをみてみる。「食事で生活充実」意識はチーズを食べる頻度を増やしたいと感じている女性30代や女性60代で強く、「話題の食べものを食べる」意識は男性20代、女性20代で強くなっている(図表15)。

 ここまでみてきたように、チーズはその種類の豊富さによって「ぜいたく」ニーズをはじめとする人々の多様なニーズを満たせる食べ物である。そのため、性別・年代問わず幅広い層に食べられており、一過性のブームではなく日常に入り込む食べものとして、今後も伸長していくと推察される。

図表
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* オリジナル調査結果の分析 構成(全4頁)
  1. 日本人の4割はチーズを週1日以上食べている
  2. 定番はスライスチーズ
  3. さまざまなニーズを満たせるチーズ
  4. ぜいたくニーズに支えられ、今後も伸長が見込める

* 業界クリップ 2023年2月(全7頁)
  1. 消費者の動き        【消費のマイナス続く】
  2. 売れている食品・メニュー  【コカ・コーラが「プラズマ乳酸菌」の商品投入】
  3. 東京市場          【東京駅で「ねこの日」イベント】
  4. 地産地消          【餃子消費量の日本一決まる】
  5. 食品企業の経営       【ロッテリアの売却】
  6. 製品開発          【定番ブランドの強化】
  7. 価格政策          【値上げに鶏卵不足加わる】
  8. プロモーション       【今年のバレンタイン・恵方巻の動向】
  9. チャネル政策・チャネル動向 【セブンがクイックコマースを急拡大】
  10. ヘッドラインクリップ    2023年2月の動向



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