
2020年のビール系飲料の販売数量は前年比9%減と推計されている。市場は16年連続のマイナスとなった(ビール4社発表)。
今回は、当社が任意に選んだビール系飲料35ブランドについて、「知っている(認知率)」、「買って飲んだことがある(経験率)」、最近3ヶ月以内における「広告・記事を見たことがある(広告接触)」「店頭などで見たことがある(店頭接触)」、「3ヶ月以内に買って飲んだ(3ヶ月以内購入)」、さらに「今後(も)買って飲みたい(今後意向)」と「購入経験者における今後の購入意向(再購入意向)」という7項目について、インターネットモニターに対して行った調査結果をランキング形式でお届けする。
今回の調査では、前回(2020年6月版)と同様、「アサヒ スーパードライ(アサヒビール)が再購入意向を除く6項目で首位を獲得した。2位には同じく6項目で「キリン 一番搾り(キリンビール)」がつけている。首位と2位の差をみると、広告接触で0.7ポイント差、店頭接触で3.1ポイント差、購入経験で5.3ポイント差、3ヶ月以内購入で5.4ポイント差、購入意向で5.6ポイント差となっており、いずれも前回よりもわずかながら差は縮小している。
再購入意向では、今年4月発売のパーフェクトサントリービール(サントリー)」が、母数は52と少ないものの69.2%で首位。2位は「アサヒ スーパードライ」、3位は昨年10月発売の「キリン 一番搾り 糖質ゼロ(キリンビール)」がランクイン。1位と3位がともに"糖質ゼロのビール"となっており、新製品効果もあるものの、"糖質ゼロのビール"への高い関心がうかがえる。
また、ここ数年注目を集めてきたクラフトビールだが、代表格である「よなよなエール(ヤッホーブルーイング)」をみると、再購入意向は前回が61.2%で6位だったのに対し、今回は45.9%で16位。3ヶ月以内購入も前回の19位から今回はランク外の25位にダウンした。アサヒビールが手掛ける「TOKYO 隅田川ブルーイング」も再購入意向が前回の71.4%の1位から、今回は58.1%(母数が少ないため参考値)となった。コロナ禍で観光や外食向けの需要が縮んだことが逆風となった。
2020年は、販売数量ベースで第3のビールとも呼ばれる新ジャンルが初めてビールを上回った。コロナ禍で外食市場が大きな打撃を受けたことでビールが減少、"家飲み"ではコストパフォーマンスに優れる新ジャンルが選ばれやすいことも影響しているとみられる。その一方、家庭向けに発売されたアサヒビールの「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は、発売から2ヶ月しかたっていないが、認知はすでに32.7%、品薄が伝えられているにも関わらず3ヶ月以内購入が5.2%、今後の意向は9.4%、再購入意向は58.1%で4位につけている。"糖質ゼロのビール"の高い再購入意向などとあわせて、新機軸のビールに伸びしろを感じさせる結果となった。
- 注目ランキング
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- 3ヶ月内購入
- アサヒスーパードライ(アサヒビール) 22.9%
- キリン 一番搾り(キリンビール) 17.5%
- ザ・プレミアム・モルツ(サントリー) 11.3%
- 再購入意向
- パーフェクトサントリービール(サントリー) 69.2%
- アサヒ スーパードライ(アサヒビール) 62.6%
- キリン 一番搾り 糖質ゼロ(キリンビール) 58.2%
- 3ヶ月内購入
詳細データのダウンロード
クロス集計表 サンプルイメージ
調査概要
提示35ブランド
- アサヒ スーパードライ(アサヒビール)
- アサヒ スーパードライ 瞬冷辛口(アサヒビール)
- アサヒ スーパードライ 生ジョッキ缶(アサヒビール)
- アサヒ ドライプレミアム 豊穣(アサヒビール)
- TOKYO 隅田川ブルーイング(アサヒビール)
- キリン 一番搾り(キリンビール)
- キリン 一番搾り 糖質ゼロ(キリンビール)
- 一番搾りプレミアム(キリンビール)
- キリン ラガービール(キリンビール)
- サントリー ザ・プレミアム・モルツ(サントリー)
- パーフェクトサントリービール(サントリー)
- サントリー ザ・モルツ(サントリー)
- サッポロ 生ビール黒ラベル(サッポロビール)
- サッポロ ヱビスビール(サッポロビール)
- ヤッホーブルーイング よなよなエール(ヤッホーブルーイング)
- アサヒ スタイルフリー<生>(アサヒビール)
- アサヒ 本生(アサヒビール)
- キリン 淡麗極上<生>(キリンビール)
- キリン 淡麗グリーンラベル(キリンビール)
- サッポロ 極ZERO(サッポロビール)
- アサヒ ザ・リッチ(アサヒビール)
- アサヒ 極上<キレ味>(アサヒビール)
- アサヒ クリアアサヒ(アサヒビール)
- アサヒ オフ(アサヒビール)
- キリン のどごし<生>(キリンビール)
- キリン のどごしストロング(キリンビール)
- キリン 本麒麟(キリンビール)
- キリン 濃い味(キリンビール)
- サントリー 金麦(サントリー)
- サントリー 金麦ザ・ラガー(サントリー)
- ジョッキ生(サントリー)
- サッポロ 麦とホップ(サッポロビール)
- サッポロ ドラフトワン(サッポロビール)
- セブンプレミアム ザ・ブリュー(セブン&アイ)
- トップバリュ バーリアル(イオン)
調査設計
調査手法:インターネットリサーチ調査期間:2021年5月14日(金)~5月19日(水)
調査対象者:当社インターネットモニター 20歳~69歳
全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,016サンプル
サンプル構成(%)



参照コンテンツ
- 消費者調査データ ノンアルコール飲料(2021年3月版) 「オールフリー」「ドライゼロ」がしのぎを削る
- 消費者調査データ RTD(2021年2月版) 強い「ほろよい」「氷結」、躍進する「檸檬堂」
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コロナ禍で存在感放つプレミアム系ビール - 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 第126号
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