
トヨタ自動車が展開する自動車サブスクサービス「KINTO」が順調に利用者数を伸ばしている。2019年末には約1,000人しかいなかったが、2020年に累計約12,300人、2021年に入っても好調で6月時点で約2万人である。月間1,000人以上の利用者獲得である。
ユーザーは個人が84%、法人16%。男性が77%を占め、40才未満が43%を占める。また、40歳以上の各年代でも多く、バランスのとれた構成になっている(図表1)。
図表1.KINTO会員の年代別構成比
申し込みはWEB経由が約6割、販売店経由が約4割だ。
まだまだ利用者数は少ないが、認知率は52%と他社を圧倒する(2位はホンダ・マンスリーオーナーの13%。スパコロ調査2020年12月)。
本格的サービス開始年(2019年7月)の年末で利用者数は約1,000人に過ぎなかった。2020年以降、利用者数が増えた理由は、「お客様からのご要望をもとにサービス内容を拡大・改善を行ってきており、2020年の車種拡大、5年/7年プランの追加、若年向けのマス広告がきっかけで実績を伸ばしています」(KINTO広報)という。
具体的な取り組みは、以下のとおりだ。
- 2020年1月
-
取り扱い車種をトヨタ6車種から、トヨタ23車種・レクサス8車種に拡大
同時に法人受付開始
- 2020年4月
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ターゲットを若年層においたTVCMを展開、21年5月から「やっぱクルマいいな」というコピーを使用
- 2020年5月
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5年/7年プランを追加
契約期間中に割安な手数料で新しいクルマに乗り換えることができるサービス「のりかえGO」開始
- 2020年11月
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KINTO初の専用車「KINTOツーリングセレクション」を取扱い
- 2021年4月
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クルマライフを楽しむ「モビリティ―マーケット」開始
- 2021年6月
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GRヤリス「モリゾウセレクション」を発表(KINTO限定)
- 2021年9月
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KINTOで利用中のクルマを、家族や友人など仲間同士でシェアできる「わりかんKINTO」開始
予約、わりかん、実績管理、チャット機能をもつ専用アプリをリリース
こうした取り組みの結果、2020年6月以降、月1,000人以上の利用者増加が続いている。
「クルマのサブスク・個人カーリース市場が日本ではまだまだ小さいため、マーケットを拡大していくためにサービス認知と理解を広げていく必要があります。今後クルマの買い方の選択肢のひとつにサブスクも入り、ご検討いただけるようになることが当面の課題です」(KINTO広報)と、今後一層の市場拡大を目指している。
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参照コンテンツ
- JMRからの提案 明日のクルマはどこに飛ぶのか―次世代モビリティ展望(2022年)
- JMRからの提案 EVが変える市場と競争-「拡・自動車市場」への脱成熟と自動車メーカーの脱皮(2021年)
- 戦略ケース 自動車メーカーの生き残り戦略―移動システム産業で成功するためには(2018年)
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォームをどうつくるか
- MNEXT 眼のつけどころ ブランド・ものづくりビジネスモデルの革新のすすめ方―戦略思考とはどういうものか(組織論篇)
- MNEXT 静かに激変する「当たり前の日常」と解凍消費(2021年)
自動車業界の戦略を読む
業界の業績と戦略を比較分析する
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