三菱地所の2017年3月期連結決算は営業収益1兆1,254億円(前年同期比11.5%増)、営業利益1,925億円(同15.8%増)、経常利益1,699億円(同17.3%増)、当期純利益は1,027億円(同23.1%増)と増収増益、ビル事業の利益伸長等により予想を上回る実績となった 。セグメント別にみると、主軸であるビル事業では、2016年4月に竣工した「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 及び 宿泊施設棟」の収益が寄与したことから、建物賃貸収益は増収となった。丸の内への依存から脱却すべく、「大手町・丸の内・有楽町地区」全域にビジネスを拡大しつつある。生活産業事業では東京流通センターの連結等により増収となったが、前年度の一過性の収益計上により営業利益は減少している。住宅事業では、マンション売上計上戸数は前年度並みだが、1戸当たりの販売単価増により増収となった。一方、海外事業・投資マネジメント事業・設計管理事業では減収となった。中期経営計画の最終年度の2016年度は、全体としてみれば目標水準を確実にクリアし、「企業価値向上を実現する3年間」を達成したといえる。2017年度からは新たな中期経営計画のもと、これまでの収益基盤強化の成果を利益として具現化し、さらなる成長に向けたビジネスモデル革新の足掛かりをつくっていく。
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参照コンテンツ
- 戦略ケース 激増する空き家と求められる不動産仲介ビジネスの変革(2017年)
- 戦略ケース 都市再生法によって加速する東京発マーケティング革新(2002年)
- 戦略ケース 東京都心部ホテルウォーズ-超高級外資系ホテルの進出ラッシュ(2002年)
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