鴻海の2017年12月期の連結決算は、売上高4兆7,067億台湾ドル((約17兆7,000億円、前年同期比8.0%増)、純利益は1,387億台湾ドル(同6.7%減)と増収減益となった。米アップルの最新型スマートフォンの組み立て需要が寄与し、2年ぶりに過去最高売上を更新。1991年の株式上場から2015年度決算までの25年間、売上高増収を達成し続けてきたが、2015年9月にアップル社から発売された「iPhone 6S」の不振や、中国における人件費上昇の問題の影響から、2016年度は株式上場後初の減収、2017年度も純利益減少と厳しい経営状態が続いている。現在、売上高の約55%をアップルに依存しているが、スマホ市場が伸び悩む中、単なるEMS企業からの脱却を目指し、自社の長期的成長を見据えた事業多角化や設備投資・生産体制の刷新、企業買収を積極的に行っている。先ごろ、少なくとも5年の現役続行を表明した郭会長のもと、人工知能(AI)やビッグデータ、モノのインターネット(IoT)分野への事業シフトを進め、グループの構造改革を成し遂げることができるのか、今後に注目したい。
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- 戦略ケース シャープPCI空気清浄機で白物家電の成長へ(2009年)
- 戦略ケース カゴメとシャープ 異業種での共同販促(2008年)
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- 戦略ケース プラズマは生き残れるか?変わる勝者の条件 (2005年)
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