半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2004.11)
液晶戦争に衝撃与える「シャープ65型液晶テレビ」
-業界トップの大画面・ハイエンド機種により「ものづくり優位」をアピール
戦略分析チーム



1.発表の衝撃
 2004年10月5日、千葉市の幕張メッセで開幕した「CEATEC JAPAN2004」で、シャープが世界最大となる65型液晶テレビを発表した。622万ドットのフルスペックハイビジョンパネルを採用し、三重県亀山市にある第6世代*1 の亀山工場で一貫生産されたものである。この発表は、これまで同社で最大サイズであった45型を一気に20インチ拡大し、大型化が困難とされた液晶テレビ分野に新風を吹き込んだ点で、業界に大きな衝撃を与えた。今回の発表から、シャープの液晶テレビ戦略における今後の課題と方向性を検討する。

2.シャープの抱える事情
 シャープはこれまで、最大45型までの液晶テレビで市場競争を繰り広げてきた。ここにきて65型を発表した背景は、大きく分けて2点ある。
 第一点は、大型テレビ市場の拡大である。従来の薄型テレビ市場では、40型前後を境界線として、大型はプラズマテレビ、中小型は液晶テレビという棲み分けがなされる傾向があった。しかし、近年は大型テレビの需要が高まっており、高価格帯の商品であっても需要が十分にあるという見方が出てきている。実際、プラズマテレビは販売台数の2割以上が50インチ以上であり、シャープの45型液晶テレビも、100万円弱の市場価格にもかかわらず、2004年8月の新発売から約2ヶ月間で1万台を販売している。これらの事情から、シャープは大型テレビの市場が今後も有力であると判断し、中小型の液晶テレビで確実に占有率を高めると同時に、大型テレビ分野でもプラズマテレビに対抗する方針を採用した。その結果、液晶テレビのサイズが拡大し、現在市販されている松下電器産業の世界最大65型プラズマテレビと肩を並べるレベルに至ったのである。

*1 「第〇世代」とは、液晶パネルを切り出す際の基となるガラス基板の大きさを指す。例えば、第5世代は縦1100mm・横1250mm、第6世代は縦1500mm・横1800mm、第7世代は縦1870mm・横2200mmのガラス基板となる。一般には、世代が大きいほど一枚の基板から取り出すパネルの数が増え、効率が高まるとされる。
 本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧には会員サービス(有料)へのご登録が必要です。

会員サービスご登録についてはこちらをご覧ください。
会員サービスご登録済みの方は、下記をクリックして全文をご利用ください。





新着記事

2025.02.13

24年12月の「消費支出」は2ヶ月連続のプラスに

2025.02.13

24年12月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラスに

2025.02.12

24年12月の「現金給与総額」は36ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.02.12

24年12月は「有効求人倍率」は横ばい、「完全失業率」は改善

 

2025.02.10

企業活動分析 エバラ食品工業株式会社 24年3月期は業務用好調で増収も原価率上昇で減収に

2025.02.10

企業活動分析 東洋水産株式会社 24年3月期は価格改定が奏功し売上利益ともに過去最高更新

 

2025.02.07

消費者調査データ チョコレート(2025年2月版) 首位「明治チョコレート」は変わらずも、PBのリピート意向高まる

2025.02.06

25年1月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのプラス

2025.02.05

提言論文 新しい群れ集団が生む市場ダイナミズム

2025.02.04

24年12月の「新設住宅着工戸数」は8ヶ月連続のマイナス

  

2025.02.03

企業活動分析 本田技研工業 24年3月期は、販売台数増加により増収増益、営業利益は過去最高に

2025.02.03

企業活動分析 日産自動車株式会社 24年3月期は、販売台数増加に加えコスト管理により増収増益

  

2025.01.31

消費からみた景気指標 24年11月は7項目が改善

2025.01.30

24年12月の「ファーストフード売上高」は46ヶ月連続のプラスに

2025.01.30

24年12月の「ファミリーレストラン売上高」は34ヶ月連続プラス

2025.01.29

24年12月の「全国百貨店売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2025.01.29

24年12月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月連続のプラスに

2025.01.29

24年12月の「コンビニエンスストア売上高」は13ヶ月ぶりのマイナスに

2025.01.29

24年11月の「商業動態統計調査」は8ヶ月連続のプラス

2025.01.28

24年12月の「景気の先行き判断」は4ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.01.28

24年12月の「景気の現状判断」は10ヶ月連続で50ポイント割れに

2025.01.27

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター No.168 管理職は筋トレ率2倍! 20〜30代の美容・健康意識がプロテイン市場をけん引

週間アクセスランキング

1位 2024.08.02

提言論文 値上げほどの値打ち(価値)はないー消費者の主要30ブランド価値ランキング

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2025.02.05

提言論文 新しい群れ集団が生む市場ダイナミズム

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area