日常生活財は好調さを保っているが、耐久財は商品間で好不調の格差が続く。
収入環境は良好さを保ち、雇用環境とマインドは改善に転じている。
輸入物価では上昇が目立つが、国内の物価上昇は緩やかなものに止まっている。
マーケットでは株高・円安の動きが加速する一方、長期金利の上昇は沈静化している。イールドカーブの動きからはインフレや金利上昇の圧力は若干弱まっている。
消費を取り巻く環境は好転しており、この先、消費者のマインド改善の進展や物価上昇圧力の緩和も期待される。
マインド改善の追い風を活かせる今こそ、消費の喚起に向けた更なる政策対応を進めるチャンスである。
JMR消費INDEXは現状で横ばいとなっている(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2026年4月時点で、支出関連では3指標中、消費支出と平均消費性向の2指標で悪化が続いている(図表2)。
販売関連では、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標から現時点で未公表の旅行業者取扱額を除いた計9指標のうち、改善が7指標、悪化が2指標となり、改善の側が大きく優勢となっている(図表2)。このことから、旅行業者取扱額の結果によらず、2026年4月のINDEXの数値は前月よりも上昇することが確定している。
消費支出の伸びは2026年4月に、実質ではマイナスが続いているが、名目では再びプラスに戻している(図表4)。
10大費目別にみると、2026年4月時点で、名目では改善が6費目、悪化4費目となり改善の側が若干優勢である。実質では改善が5費目、悪化5費目となり両者が拮抗している。食料については、名目ではプラス、実質ではマイナスの状況が続いている(図表5)。
物価の動きに着目すると、2026年5月は、国内企業物価と消費者物価の伸びは、緩やかなプラスが続いている。他方、輸入物価の伸びはプラスを保ち、伸びの値の上昇も続いている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、総合、財、サービスのいずれも、伸びは緩やかなプラスが続いている(図表7)。
販売現場では、小売業の売上は2026年4月も、全体でプラスが続いている。主なチャネル別でも、六つのチャネルすべてでプラスを保っている(図表11、図表12)。
外食売上は、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。
耐久財では、新車販売は2026年5月も前月同様、乗用車(普通+小型)はプラスを保っているが、軽乗用車はマイナスが続いている(図表13)
家電製品出荷について、2026年5月時点では、黒物家電は3品目のいずれもマイナスが続いている。白物家電は4品目中、ルームエアコンと401L以上の電気冷蔵庫はプラスだが、電気掃除機と洗濯乾燥機はマイナスである。情報家電ではノートPCとスマートフォンのいずれもマイナスとなっている(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は2026年4月時点で、全体では6ヶ月ぶりにプラスに転じている。利用関係別では、分譲住宅・マンションでマイナスが続いているが、持家と分譲住宅・一戸建てはプラスに転じている(図表17)。
地域別の持家の伸びは2026年4月時点で、すべての地域でプラスに転じている(図表18)。
地域別の分譲住宅・マンションの伸びは2026年4月時点で、首都圏内以外の3地域ではマイナスが続いているが、首都圏はプラスに転じている(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、2026年4月時点では、有効求人倍率は横ばいとなり、失業率は低下している(図表8)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いており、伸びの値も緩やかな上昇傾向を保っている(図表9)。
消費マインドについては、2026年5月は、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIはともに上昇に転じている(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は5月に入って以降、円安傾向で推移している。特に6月に入ってからは、160円台での推移が続いている(図表21)。6月22日には一時1ドル161円92銭を付け、約2年ぶりの円安ドル高水準となっている。
株価は、5月7日に終値で6万円を突破。一時下落の動きをみせるも、5月20日を底に反転上昇し、その後も株価の上昇は加速している。6月18日には終値で7万円を突破している(図表21)。6月22日には一時72,831円73銭を付け、年初来高値を更新している。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は4月半ば頃を底に上昇傾向へと転じたが、その後5月19日に終値で4.669%を付けたのをピークに低下傾向に転じた。6月に入って以降は、4.5%前後での推移が続いている(図表22)。
日本国債10年物金利は5月に入って以降も上昇傾向での推移が続いてきたが、5月19日に終値で2.787%を付けたのをピークに低下傾向に転じた。その後も緩やかな低下の動きが続いたが、6月に入ってからは若干の上下動を伴いつつ2.6%台での推移が続いている(図表22)。
日米金利差は5月に入って以降緩やかな縮小傾向にあったが、6月に入ってからは若干の上下動を伴いつつ1.8%台での推移が続いている(図表22)。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2026年1月20日以降も左上方へのシフトを続け、2026年5月19日にはすべての残存期間で、2026年1月20日のカーブを上回る水準へと到達した。その後は若干右下方へシフトしたが、2026年6月2日時点でも、残存期間40年を除いた残りすべての期間で、2026年1月20日のカーブを上回る状況にある(図表23)。
総合すると、消費は持ち直しの動きがみられる。
支出全般の伸びは名目でプラスに転じ、費目別では改善の側が若干優勢の状況にある。
日常生活財は引き続き好調を保っている。耐久財は商品間で依然好不調の格差が分かれているが、住宅では持ち直しの動きがみられる。
雇用環境では改善の動きがみられ、収入環境は良好さを保ち続けている。マインドも改善に転じている。輸入物価では上昇の動きが目立ってはいるが、国内企業物価や消費者物価の上昇は緩やかなものとなっている。
マーケットでは株高・円安の動きが加速し、株価は7万円突破、為替レートも161円台に乗せている。他方で、長期金利の上昇は沈静化しつつある。これまで左上方へのシフトの動きを強めてきた日本国債のイールドカーブも、足許では右下方へと若干戻している。
良好な収入環境に加え、雇用環境やマインドの改善により、消費を取り巻く環境は好転している。米国とイランが戦争終結に向けた覚書に署名したことは、マインド改善を更に後押しする材料となるだろう。この先、ホルムズ海峡を巡る危機も収束していけば、輸入物価を始めとする物価上昇の圧力も緩和されていくことが期待される。
マインド改善の追い風を活かせる今こそ、消費の喚起に向けた更なる政策対応を進めるチャンスである。








![戦略家のための知的羅針盤[エム・ネクスト]product by 松田 久一](/img/mnext-sub-title.png)