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公開日:2026年04月01日

月例消費レポート 2026年3月号
消費は底堅さを保っている - 見通しやマインド維持のための迅速な政策対応が急務
主任研究員 菅野 守

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 支出全般の伸びは名目でプラスに戻し、費目別では改善と悪化が概ね拮抗している。
 日常生活財は好調を保っているが、耐久財は商品間で好不調の格差が分かれている。
 雇用環境は改善し、収入環境は良好さを持続、マインドも改善している。
 物価上昇の動きは沈静化しつつあるが、輸入物価上昇の兆しには注意を要する。
 マーケットでは株・円・債券のトリプル安が顕在化している。イールドカーブも右上方へのシフトの動きを進め、インフレ加速や金利高騰の懸念も強まりつつある。
 1ヶ月が経過したイラン攻撃の今後の戦況次第では、何らかのサプライショックの可能性を想定せざるを得ないが、消費者の見通しやマインドの悪化を波及させないための迅速な政策対応が急務となるだろう。

 2026年1月のJMR消費INDEXは40.0となり、前月の26.7から上昇している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出関連では3指標全てが悪化となっている(図表2)。
 販売関連では、2026年1月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が6指標に対し悪化が4指標となり、前月とは異なり改善の側が優勢となっている(図表2)。

 消費支出の伸びは2026年1月に、名目ではプラスに戻ったが、実質ではマイナスが続いている(図表4)。

 10大費目別にみると、2026年1月は、名目では改善が5費目、悪化5費目となり両者が拮抗している。実質では、改善が4費目、悪化6費目となり悪化の側が優勢となっている。食料については、名目ではプラスを保ち、実質でもマイナスからプラスに転じている(図表5)。

 物価の動きに着目すると、2026年2月は、国内企業物価と消費者物価の伸びは緩やかなプラスが続き、伸びの値は低下が続いている。ただし、輸入物価の伸びはプラスが続き、伸びの値も上昇が続いている(図表6)。

 財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、2026年2月は、総合と財で伸びは低下を続け、サービスの伸びは横ばいとなっている(図表7)。

 販売現場では、小売業の売上は2026年1月に、全体ではプラスに戻した。主なチャネル別でも、すべてのチャネルでプラスとなっている(図表11図表12)。2026年3月31日に公表された2026年2月分の数値では、小売業全体では99.8%と伸びはわずかながらマイナスとなっており、チャネル別ではホームセンター以外の五つのチャネルでプラスが続いている。

 外食売上は、直近の2026年2月分までの結果を見ても、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。

 耐久財では、新車販売は2026年2月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表13

 家電製品出荷について2026年2月時点では、黒物家電は3品目中、4K対応薄型テレビとステレオヘッドフォンはプラスを保っているが、スピーカシステムはマイナスが続いている。白物家電は4品目中、ルームエアコンと401L以上の電気冷蔵庫はプラスだが、洗濯乾燥機と電気掃除機はマイナスである。情報家電では、ノートPCとスマートフォンはともにマイナスとなった。ノートPCの伸びがマイナスに転じたのは、2024年7月以来19ヶ月ぶりのこととなる(図表14図表15図表16)。

 新設住宅着工戸数は全体ではマイナスが続いている。利用関係別では、持家はプラスに転じ、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いている。他方、分譲住宅・マンションはマイナスに転じている(図表17)。2026年3月31日に公表された2026年2月分の結果では、全体では95.1%とマイナスとなっている。利用関係別では、分譲住宅・一戸建ては102.8%とプラスだが、持家は95.3%、分譲住宅・マンションは76.5%とマイナスである。

 地域別の持家の伸びは、近畿圏はマイナスだが、残りの三つの地域はいずれもプラスである(図表18)。2026年3月31日公表の2026年2月分では、持家の伸びはすべての地域でマイナスである。

 地域別の分譲住宅・マンションの伸びは、首都圏とその他の地域ではマイナスだが、中部圏と近畿圏ではプラスである(図表19)。2026年3月31日公表の2026年2月分では、その他の地域はプラスだが、首都圏、中部圏、近畿圏の3地域でマイナスである。

 消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、2026年1月時点では、失業率は上昇し、有効求人倍率は悪化した(図表8)。ただし、2026年3月31日公表の2026年2月分では、失業率は2.6%へと低下し、有効求人倍率は再び上昇している。

 収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いており、伸び率の値も上昇を続けている(図表9)。

 消費マインドについては、消費者態度指数は2025年8月以降改善が続き、景気ウォッチャー現状判断DIも2026年2月に再び改善に転じている(図表10)。

 マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2026年1月半ば頃から2月上旬にかけて上下動を伴いつつ円高傾向で推移してきたが、2月13日に終値で1ドル152円68銭を付けたのを境に再び円安へと反転し、その後も円安傾向で推移してきた(図表21)。2026年3月27日には終値で160円31銭を付け、一時160円台を突破した。
 株価は2025年12月半ば頃以降、上下動を伴いつつ上昇傾向で推移してきたが、2026年2月27日に終値で58,850円27銭を付けたのを境に株価は下落傾向に転じ、株価の乱高下が続いてきた(図表21)。2026年3月31日には、取引時間中に一時51,000円を割り込む状況もみられている。

 日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は2026年1月下旬頃から2月初頭にかけて横ばい傾向で推移し、2026年2月4日に終値で4.278%を付けたのを境に低下傾向へと転じた。その後低下の動きが進んでいたが、2月27日に終値で3.962%を付けたのを底に上昇傾向へと転じている(図表22)。3月26日の終値は4.416%となっている。
 日本国債10年物金利は2026年1月20日に終値で2.330%を付けて以降横ばい傾向で推移してきたが、2月9日に終値で2.289%を付けたのを境に低下傾向へと転じた。その後低下の動きが進んでいたが、3月2日に終値で2.087%を付けたのを底に上昇傾向へと転じている(図表22)。3月27日には終値2.380%を付け、上昇の動きに拍車がかかっている。
 日米金利差は縮小傾向から拡大傾向に転じ、2026年3月11日以降は概ね2%台に乗せている(図表22)。

 日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2026年1月20日をピークに右下方へと反転する動きが続いていたが、2026年3月2日を境に再び右上方へのシフトを強めている。2026年3月23日には2026年1月20日時点のカーブに近接し、残存期間8年以下の領域では2026年3月23日のカーブが2026年1月20日のカーブを上回る水準に到達している(図表23)その後もイールドカーブの右上方へのシフトの動きは続き、2026年3月27日には2026年3月23日時点よりも更に右上方の位置にある。。




 総合すると、消費は底堅さを保っている。
 支出全般の伸びは名目でプラスに戻し、費目別にみても改善と悪化が概ね拮抗した状況にある。
 日常生活財は好調を保っているが、耐久財は商品間で好不調の格差が分かれている。
 雇用環境は一旦悪化するも直近では改善の動きがみられ、 収入環境も良好さを保ち続けている。マインドも足許で改善している。 物価の伸びも低下が続き、物価上昇の動きは沈静化しつつあるが、輸入物価上昇の兆しには注意を要する。
 マーケットではアメリカとイスラエルによるイラン攻撃を境に、株安・円安・債券安(長期金利上昇)というトリプル安の動きが顕在化してきている。日本国債のイールドカーブも3月に入り再び反転し、右上方へのシフトの動きを強めている。10年以下の領域では最近1年内で金利は最高値の水準に到達しつつあり、更なるインフレや金利高騰の懸念も強まりつつある。
 今回のイラン攻撃開始から1ヶ月が経過する中、今後の国内外の経済に及ぼす影響の評価を巡り、マーケットを始め世間では一喜一憂の状況が続いている。今後の戦況次第で大なり小なり何らかのサプライショックの可能性を想定はせざるを得ないが、消費者の見通しやマインドの悪化へ波及させないための政策対応は前もって進めておく必要がある。そのためのメニューは既に俎上に上がっており、あとはできるだけ早く進めていくだけだ。


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特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

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特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?


   

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