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公開日:2008年08月04日

山崎製パン 国産小麦100%使用パンを拡充


食パンから菓子パンへ

 山崎製パン株式会社(以下、山崎製パン)は、2008年7月1日より、従来から食パンで展開していた国産小麦100%を使用した製品を、菓子パンへ広げ全国発売を開始した。「国産小麦パンシリーズ」と銘打たれ、同社ホームページによれば14アイテムがラインナップされている。食パン(200円)やテーブルロール(150円)に加え、つぶあんぱんやジャムパン、クリームパン(各120円)といったオーソドックスなものになっている。

 原材料では、小麦だけでなく、例えば、あんぱんでは北海道産の小豆を使用、ジャムパンでは国産いちご、クリームパンには北海道産牛乳入りクリームを各々使用するなど、国産にこだわったラインになっている。価格的にもレギュラー商品との差を抑え、量販店ではシリーズのコーナー展開を行う。

 国産小麦は、外国産小麦と比べると、グルテンと呼ばれるたんぱく質の含有量が少なく、うどんの原料には広く使われているが、製パンには向かないとされていた。しかし、山崎製パンでは研究・開発を重ね、風味やソフト感に優れた製造技術を確立し、高品質な国産小麦100%の食パンの開発に成功した。2004年9月に「国産小麦食パン」を全国発売している。今回のシリーズ展開では、新技術が導入され、しっとり感を向上させるなど改善も図られている。

 また、こうした取り組みが国内農産物の振興と日本の食料自給率の向上に貢献しているということで、2005年に農林水産大臣から感謝状が授与されている。国産小麦食パンは2006年度の「日本食品化学工学会技術賞」も受賞している。


麦価の値上がり

 2007年4月に小麦の価格改定で1.3%値上がりし、続く10月には10%の再度の値上げとなった。こうした原材料価格の上昇を受けて、製パン各社は、12月1日出荷分から主要商品の値上げに踏み切った。山崎製パンでも実に17年ぶりに価格改定を行い、約8%の値上げとなった。さらに、2008年4月から小麦の政府売渡価格が30%上昇した。山崎製パンでは5月16日出荷分から希望小売価格を平均で約8%の再値上げを行っている。

 今年のここまでの業績は、数量ベースでは前年並みを維持している。しかし、主力の「超芳醇」が二度の値上げで200円を超える価格となり苦戦している。その一方で、普及価格帯の150円前後となった「芳醇」の売り上げが拡大している。また、「ダブルソフト」は、6枚入りが200円を超える価格となったため、4枚入りに減らすことで普及価格帯にしたタイプが伸長しているという。山崎製パンでは、2007年12月、2008年5月の二度の価格改定の際に、品質維持を前提に製品を見直したため、ほぼ全商品が値上がりしている。こうした中で、普及価格帯を残すために、入数の変更や低価格品の積極販売による価格対応も推進している。


国産ブランドの神通力は

 今回拡充された「国産小麦パンシリーズ」は、レギュラー品との価格差を抑えているとはいえ、普及価格帯や低価格品と比べると一段高い価格ラインになるとみられる。山崎製パンの過去二回の価格改定は、原材料高騰が企業努力によるコスト吸収の限界を超え、こうした状況下で高品質で安全・安心な製品を提供するために、コストを価格に転嫁したものとされている。厳しい環境下にあることは理解できても、消費者からみれば、これまでと変わらない商品の値段が上がったと映ってしまう。山崎製パンがこの時期に「国産小麦パンシリーズ」を拡充したのは、単なる原材料高騰分を転嫁した値上げではなく、国産原材料という分かりやすい価値を付加し、この価値の分、一段高い価格ラインを受容してもらうことを狙ったと考えられる。

 パンに限らず、食品各社の値上げラッシュが続いている。2008年6月実施の弊社消費者調査でも「値段が高くなったと明確に感じるもの」の筆頭は「パン」になっている。また、8割弱が「値上げが家計に影響している」と感じており、価格コンシャスの傾向も高まっている。こうした中、マクドナルドが2008年7月18日より新たに「マックベーカリー」を立ち上げ、メロンパン、チョコデニッシュ、シュガークロワッサンの3種類のパンを各100円での販売を始めた。直接競合するパンメーカー以外の強敵がパンを巡る戦いに、低価格を武器に参戦してきている。

 中国産食品の問題や原産地偽装などの食品関連の不祥事が相次ぐ中、パン商品において国産ブランドの神通力がどこまであるのか。先の弊社調査では、「確実に安全な食品」なら15%程度割高でも購入するという結果も出ている。今後の動向が注目される。



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