流通経路の中で主導的な役割を果たし、商品や情報の流通をコントロールするものをチャネルリーダー(チャネルキャプテン)といいます。チャネルリーダーは、その流通経路の中で総合的なパワーが最も大きいものが占めます。この総合的なパワーは、時代とともに変化してきました。江戸時代中期から戦前までは、卸売業者がチャネルリーダーとして機能していました。江戸時代以前は地産地消が中心でしたが、江戸時代中期に生産地と消費地を結ぶ機能を持つ卸商人が登場し、取引単純化や集中貯蔵、情報の縮約や斉合という主導的な役割を担ってきたという歴史的な背景に依ります。戦後の復興期を経て、高度成長期に入るとメーカーによるチャネル開拓の動きが本格化します。大量生産体制を確立したメーカーは、大量販売のため、卸売段階・小売段階を開拓し、自社ネットワークへの組織化・系列化を進めました。こうして、戦後は、マス広告を使った情報発信と商品開発・生産力を武器に流通経路をメーカーが主導する時代を迎えました。
さらに近年では、チェーンオペレーションを行い、大量仕入・大量販売を広域に展開する組織小売業がそのバイイングパワーを武器に、チャネルリーダーの位置を占めるようになっています。そして、さらにインターネットの普及を背景に、消費者が小売や卸売を中抜きし、直接生産者とやり取りできる環境が整ってきており、チャネルリーダーは消費者に移行していくという見方をすることもできます。
さて、現在では消費財の様々な分野で、組織小売業がチャネルリーダーとなっています。結果的に組織小売業が小売市場に占めるシェアが拡大し、各社とも価格競争を激化させています。価格競争の行き着く先は、メーカー、小売とも利益がゼロになるという事態です。
こうした状況を打ち破るためのメーカー政策は、収益が取れるチャネルを主力チャネルに、低価格で勝負する低収益チャネルを補助チャネルとする差別的チャネル政策があります。補助チャネルよりも高い価格で販売する主力チャネルとの売り方開発がこの政策の鍵になります。
また、もうひとつの政策として、メーカーが直販チャネルを構築することが考えられます。価格に依らないブランド価値の伝達を基軸に、一般の店頭販売とは異なるバージョンの商品の提供などを通じ、ブランド育成と収益獲得を狙うものです。
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