日産自動車の2020年3月期連結決算は、売上高9兆8,789億円(前年比14.6%減)、営業損失405億円(同3,587億円減)と、大幅な減収減益となった。主な要因は販売台数の減少であり、グローバル販売台数は前年度比10.6%減の493万台となった。中国市場の減速や、新型コロナウイルス感染症の影響により、第4四半期に各市場が低迷。グローバル全体需要は前年度比6.9%減となったが、それと比較しても大きく減少した。また、将来の収益性改善に向けた構造改革実施のための構造改革費用及び将来台数見通しに基づいた減損損失の影響合計6,030億円を計上したことで、連結特別損益は6,170億円の損失となり、前年度比5,482億円悪化した。2020年5月には、2020~2023年度の4か年計画「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を発表。これまでの事業規模拡大による成長戦略から転換、自社の強みに集中し、事業の質、財務基盤を強化。「日産らしさ」を取り戻し、収益性を重視しながらコストを最適化することで、持続的な成長と安定的な収益の確保を目指す。しかし2020年11月に発表された2020年度上期の業績は、第2四半期は各地域で販売が回復したものの、売上高は3兆927億円、連結営業損失は1,588億円と、厳しい結果となった。通期の業績見通しは、売上高は7兆9,400億円、営業損失は当初見通しから1,300億円改善したものの3,400億円の赤字と、苦しい状況は続きそうだ。
参照コンテンツ
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