支出全般の伸びはプラスを保ち、費目別にみても改善が若干優勢である。
日常生活財は好調さを保つ一方、耐久財は商品間で好不調の格差が続いている。
雇用環境は改善し、収入環境は良好さを持続しているが、マインドは悪化に転じている。
物価上昇の動きは沈静化しつつあるが、輸入物価上昇の影響には今後注意を要する。
マーケットでは4月以降、株高・円高・長期金利上昇の動きが続いている。イールドカーブの動きからは更なるインフレや金利上昇も懸念される。
顕在化しつつある石油やナフサ関連製品などでの供給制約や価格高騰を契機とした、今後の物価上昇圧力や消費へのマイナス・インパクトの可能性も、気がかりな材料だ。
こうしたサプライショックを消費者の見通しやマインドの悪化へと波及させないためにも、消費者の期待を裏切らない政策対応が最優先となるだろう。
2026年2月のJMR消費INDEXは40.0となり、前月の46.7から若干低下している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出関連では3指標中2指標が悪化となっている(図表2)。
販売関連では、2026年2月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が5指標、悪化が5指標となり、両者が拮抗している(図表2)。
消費支出の伸びは2026年2月に、名目と実質でともにプラスとなっている(図表4)。
10大費目別にみると、2026年2月は、名目では改善が6費目、悪化4費目となり改善の側が優勢となっている。実質では、改善が5費目、悪化5費目となり両者が拮抗している。食料については、名目ではプラスを保っているが、実質ではわずかながらマイナスとなっている(図表5)。
物価の動きに着目すると、国内企業物価と消費者物価の伸びは緩やかなプラスが続き、伸びの値は低下が続いている。ただし、輸入物価の伸びはプラスが続き、伸びの値も上昇が続いている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、総合と財で伸びは低下を続け、サービスの伸びは横ばいとなっている(図表7)。
販売現場では、小売業の売上は2026年2月に、全体ではわずかながらマイナスとなっている。主なチャネル別では、ホームセンター以外の5つのチャネルでプラスが続いている(図表11、図表12)。
外食売上は、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。
耐久財では、新車販売は2026年3月時点で、軽乗用車はプラスに転じたが、乗用車(普通+小型)はマイナスが続いている(図表13)
家電製品出荷について、黒物家電は2026年3月時点で3品目中、4K対応薄型テレビとステレオヘッドフォンはプラスが続いているが、スピーカシステムはマイナスが続いている。白物家電は2026年3月時点で4品目中、ルームエアコンと電気掃除機はプラスだが、401L以上の電気冷蔵庫と洗濯乾燥機はマイナスである。情報家電は2026年2月時点で、ノートPCとスマートフォンはともにマイナスが続いている(図表14、図表15、図表16)。
新設住宅着工戸数は全体ではマイナスが続いている。利用関係別では、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いている。他方で、持家はプラスからマイナスに転じ、分譲住宅・マンションはマイナスが続いている(図表17)。
地域別の持家の伸びは、すべての地域でマイナスである(図表18)。
地域別の分譲住宅・マンションの伸びは、その他の地域はプラスだが、首都圏、中部圏、近畿圏の3地域でマイナスである(図表19)。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、2026年2月時点では、失業率は低下し、有効求人倍率は改善している(図表8)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いており、伸び率の値も上昇を続けている(図表9)。
消費マインドについては、2026年3月時点で、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIはともに、上昇から低下に転じている(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2月13日に終値で1ドル152円68銭を付けたのを境に円安へと反転した。その後も円安傾向で推移してきたが、3月27日に終値で1ドル160円31銭を付けて以降は、きわめて緩やかながらも円高傾向で推移している(図表21)。4月22日時点の終値は1ドル159円48銭である。
株価は2026年2月27日に終値で58,850円27銭を付けたのを境に下落に転じ、その後は上下動を伴いつつ下落傾向で推移してきた。3月31日に終値で51,063円72銭を付けて以降は急騰を続け、4月16日には終値で59,518円34銭を付け60,000円に迫る動きを見せた(図表21)。4月23日には一時、株価は6万円台に乗せている。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は2026年2月4日に終値で4.278%を付けたのを境に低下傾向へと転じ、その後は低下の動きが進んだ。2月27日に終値で3.962%を付けたのを底に上昇傾向へと反転したが、3月27日に終値で4.440%を付けて以降は再び低下傾向で推移している(図表22)。4月22日時点の終値は4.307%となっている。日本国債10年物金利は2月9日に終値で2.289%を付けたのを境に低下傾向へと転じ、その後は低下の動きが進んだ。3月2日に終値で2.087%を付けたのを底に上昇傾向へと転じ、4月10日以降は終値で2.4%台での推移が続いてきた(図表22)。4月22日時点の終値は2.406%となっている。日米金利差は2026年3月26日を境に拡大傾向から縮小傾向に転じており、4月9日以降は概ね1.8%台での推移が続いている(図表22)。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2026年1月20日をピークに右下方へと反転する動きが続いていたが、2026年3月2日を境に再び左上方へのシフトを強めている。2026年4月13日には2026年1月20日時点のカーブよりも更に左上方に位置し、残存期間20年以下の領域では2026年4月13日のカーブが2026年1月20日のカーブを上回る水準に到達している(図表23)。
総合すると、消費は底堅く推移している。
支出全般の伸びはプラスを保ち、費目別にみても改善が若干優勢の状況にある。
日常生活財は好調を保っているが、耐久財は商品間で好不調の格差が分かれている。
雇用環境では改善の動きがみられ、 収入環境も良好さを保ち続けている。ただし、マインドは足許で悪化に転じている。物価の伸びも低下が続き、物価上昇の動きは沈静化しつつあるが、輸入物価上昇は続いており、その影響には今後注意を要する。
マーケットは4月に入って以降、株高・円高・長期金利上昇の動きが続いている。特に株価は、イラン攻撃を巡る情勢により乱高下する状況にある。日本国債のイールドカーブは4月に入って以降も、左上方へのシフトの動きを強めている。残存期間20年以下の領域では最近1年内で金利は最高値の水準に到達しつつあり、更なるインフレや金利上昇も懸念される。
イラン攻撃開始から50日余りが経過する中、マーケットでは株価を中心に楽観的な見通しが出てきてはいるが、他方で、石油やLNGなどの燃料やナフサとその関連製品などを中心に、供給制約や価格高騰などの動きが徐々に顕在化しつつある。
今後、輸入物価から国内企業物価、更には消費者物価への上昇圧力がどの程度まで広がり持続しそうかは今のところ未知数だが、消費へは大なり小なりマイナスのインパクトをもたらす可能性は否めないところだろう。
こうしたサプライショックを消費者の見通しやマインドの悪化へと波及させないためにも、消費者の期待を裏切らない政策対応が最優先となるだろう。








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