支出全般の伸びは名目と実質でともにマイナスに転じたが、費目別では改善と悪化が拮抗している。
日常生活財と耐久財のいずれでも、商品やチャネル間で好不調の格差が分かれている。
雇用環境は悪化しマインドは方向感が定まらないが、収入環境は良好さを保ち続けている。
価上昇の動きも沈静化しつつある。
マーケットでは一旦円安への反転と株価上昇がみられたが、イラン攻撃を境に株価は大幅な反落を続け円安は加速している。長期金利の上昇は落ち着き、インフレや金利急騰の懸念は後退しつつある。
イラン攻撃が今後の経済に及ぼす影響について不確定要素は残るが、消費は今後回復の動きが更に加速するか否かの分岐点にあり、消費の再成長に向けて、収入と支出の両面から家計を後押しする政策対応が不可欠となる。高市政権の経済政策により、物価上昇を上回る賃上げと消費喚起の実現が強く期待される。
2025年12月のJMR消費INDEXは26.7となり、前月の60.0から大きく低下した(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出関連では3指標中、消費支出と平均消費性向の2指標は悪化に転じた。消費支出は10ヶ月ぶり、平均消費性向は14ヶ月ぶりの悪化である(図表2)。
販売関連では、2025年12月は、(チェーンストア売上高を除いた)全10指標中、改善が4指標に対し悪化が6指標となり、5ヶ月ぶりに悪化の側が優勢となっている(図表2)。
消費支出の伸びは2025年12月に、名目と実質ともにマイナスに転じた。名目では14ヶ月ぶり、実質では10ヶ月ぶりの悪化である(図表4)。
10大費目別では、2025年12月は、名目と実質の双方で改善が5費目、悪化5費目となり、両者が拮抗している。食料でも、名目プラス・実質マイナスの状況に戻っている(図表5)。
物価の動きに着目すると、2026年1月の輸入物価の伸びは、わずかながらプラスとなっている。他方、国内企業物価と消費者物価の伸びは緩やかなプラスが続いているが、伸びの値は低下が続いている(図表6)。
財・サービス別に消費者物価の伸びの推移をみると、2026年1月は総合、財、サービスいずれの伸びも低下し続けており、とりわけ財の伸びは大幅な低下が続いている(図表7)。
販売現場では、小売業の売上は2025年12月に、全体で4ヶ月ぶりにマイナスに転じた。主なチャネル別では、スーパー、コンビニエンスストア、家電大型専門店、ドラッグストアでプラスが続いているが、百貨店とホームセンターはマイナスとなっている(図表11、図表12)。2026年2月27日に公表された2026年1月分速報では、小売業全体でもチャネル別でも、売上の伸びはプラスに戻っている。
外食売上は、全体でも主要3業態でも揃って、息長くプラスを保っている(図表20)。2026年2月25日に日本フードサービス協会から公表された2026年1月分の結果でも、プラスが維持されている。
耐久財では、新車販売は2026年1月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスとなっている(図表13)。2026年3月2日に公表された2026年2月分の数値でも、両者の伸びのマイナスは続いている。
家電製品出荷について、黒物家電は3品目中、4K対応薄型テレビとステレオヘッドフォンはプラスだが、スピーカーシステムはマイナスである。白物家電は4品目中、ルームエアコンと洗濯乾燥機はプラスだが、401L以上の電気冷蔵庫と電気掃除機はマイナスである。情報家電では、ノートPCはプラスが続き、スマートフォンはマイナスが続いてきた(図表14、図表15、図表16)。ただし、2026年2月25日に公表されたパーソナルコンピュータ国内出荷実績(2026年1月分)では、ノートPCの出荷台数の伸びは19ヶ月ぶりにマイナスに転じている。
新設住宅着工戸数は2025年12月時点で、全体ではマイナスが続いた。利用関係別では、分譲住宅・マンションと分譲住宅・一戸建てはプラスだが、持家はマイナスとなった(図表17)。2026年2月27日に公表された2026年1月分の数値では、全体は引き続きマイナスであり、利用関係別では持家と分譲住宅・一戸建てはプラスに対し分譲住宅・マンションはマイナスである。
地域別の持家の伸びは、その他の地域はマイナスだが、首都圏と中部圏と近畿圏はいずれもプラスであった(図表18)。2026年1月分の数値では、近畿圏のみがマイナスであり、残りの三つの地域はプラスである。
地域別の分譲住宅・マンションの伸びは、中部圏とその他の地域ではマイナスだが、首都圏と近畿圏ではプラスであった(図表19)。2026年1月分の数値では、首都圏とその他の地域ではマイナスだが、中部圏と近畿圏ではプラスである。
消費を取り巻く環境条件をみると、雇用環境について、失業率は横ばいで推移してきた。有効求人倍率は、2024年5月以降緩やかな低下が続いてきたが、2025年12月には改善に転じた(図表8)。2026年3月3日に公表された2026年1月分の数値では、失業率は上昇し、有効求人倍率は再び低下している。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに息長くプラスが続いている(図表9)。
消費マインドについては、消費者態度指数は2025年8月以降改善が続いているが、景気ウォッチャー現状判断DIは2026年1月に再び悪化の動きがみられる(図表10)。
マーケットの動きとして、まず円ドル為替レートと日経平均株価の推移をみると、為替は2025年12月半ば頃から2026年1月半ば頃にかけて円安傾向で推移してきた。2026年1月半ば頃から2月上旬にかけては上下動を伴いつつ円高傾向で推移してきたが、2月13日に終値で1ドル152円68銭を付けたのを境に再び円安へと反転した(図表21)。
株価は2025年12月半ば頃以降、上下動を伴いつつ上昇傾向で推移し、2026年2月10日に終値で57,650円54銭を付けた後、株価は乱高下が続いた(図表21)。
その後、2026年2月28日に勃発したアメリカとイスラエルによるイラン攻撃を境に、株価は大幅な反落を続け、円安も加速している。2026年3月3日時点での終値は、為替は1ドル157円71銭、株価は56,279円05銭となっている。
日米の長期金利の推移をみると、米国債10年物金利は2025年12月末頃から2026年1月下旬頃にかけて上昇傾向で推移の後、2026年1月下旬頃から2月初頭にかけては横ばい傾向にあった。2026年2月4日に終値で4.278%を付けたのを境に、低下傾向へと転じている(図表22)。その後も低下の動きが進んでいたが、2月27日に終値で3.962%を付けたのを底にわずかながら上昇している。3月3日の終値は4.045%となっている。
日本国債10年物金利は2026年入り後も上昇の動きが続いてきたが、2026年1月20日に終値で2.330%を付けて以降、横ばい傾向で推移してきた。2月9日に終値で2.289%を付けたのを境に、低下傾向へと転じた(図表22)。その後も低下の動きが進んでいたが、3月2日に終値で2.087%を付けたのを底にわずかながら上昇している。3月3日の終値は2.148%となっている。
日米金利差は縮小傾向にあり、2026年1月14日以降は2%を割り込み1.9%台での推移が続き、2月に入ってからは一時1.8%台にまで縮小する状況となった(図表22)。その後も日米金利差は1.9%前後での推移が続いている。
日本国債のイールドカーブの変遷をみると、2025年8月5日の位置以降、左上方へのシフトの動きが続いてきたが、2026年1月20日をピークに右下方へと反転する動きをみせている。2026年2月20日時点でのイールドカーブの傾きは、2026年1月20日時点に比べより緩やかなものとなった(図表23)。その後も、イールドカーブの右下方へのシフトと傾きのフラット化の動きは続いている。
総合すると、消費回復の動きは一旦小休止の状況にある。
支出全般の伸びは名目と実質ともにマイナスに転じたが、費目別にみると改善と悪化が拮抗している。
日常生活財と耐久財のいずれでも、商品やチャネル間で好不調の格差が分かれている。
雇用環境は直近で悪化の動きがみられ、 マインドは方向感が定まっていないが、収入環境は良好さを保ち続けている。 物価の伸びも低下が続いており、物価上昇の動きは沈静化しつつある。
マーケットでは為替は円安へと反転し株価は上昇への弾みがついたが、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を境に株価は大幅な反落を続け、円安は更に加速している。一時上昇を続けていた日本の長期金利も、足許では低下に転じ、2%を若干上回る水準で落ち着いている。左上方へのシフトが続いてきた日本国債のイールドカーブも右下方への反転を続け、傾きもより一層緩やかになっており、インフレや金利急騰の懸念は後退しつつある。
消費は今後回復の動きが更に加速するか否かの分岐点にあり、消費の再成長に向けて、収入と支出の両面から家計を後押しする政策対応が不可欠となる。
今回のイラン攻撃が今後の国内外の経済に及ぼす影響について不確定な要素が残るものの、消費は現在、回復の動きが更に加速するか否かの分岐点にある。今後の消費の再成長に向けて、収入と支出の両面から家計を後押しする政策対応が不可欠となる。








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